骨格艦の設定覚書き
作品の主役である所の骨格艦の設定をざっくりと書き出しました。
「骨格艦」
作中の主役ロボットにして本来は惑星探査船。外宇宙船の艦載戦力。
“全長100mの宇宙戦闘艦がチャンバラをする”というのがThe SterShipCruiserSの趣旨。
名前の割に某スターシップトルーパーズとはあんまり関係性はなく、バグズのような敵性宇宙生物は今のところ既知宇宙では見つかっていない設定。
小惑星サイズの宇宙怪獣を、骨格艦が解体する話なんかも面白そうではあるけど(パニック映画な感じで)
構造はモノコック構造体(箱もの)の「頭部艦橋」「胸部居住区」「臀部動力炉」を、N字関節と言う可動式の骨格フレームで接続した人型の宇宙船。
描写に関しては、デザイン画でも描ければもっと美術的な表現も出来たかもしれないけど、そんなセンスは無かったので、宇宙船の描写のように区画分けして構造を表現し、後のイメージは読者に丸投げする方針で出来るだけ構造的な表現とカテゴライズを優先した。
骨格艦の出自は「高次精神生命体ブラフマン」が人類と接触した後に、ある人間の設計図を受けて作り出した宇宙進出に特化した人体構造のコピー。
人型なのはその為で、その際に人間の持つ自我に興味を持ち、システムであるストラコアに自我を発生させるルーチンを仕込んだ。
尚、作中で言及される最初に現出した108のストラリアクターは、外宇宙船建造に用いられた。
遺跡船ディエスマルティスやサンバルシオンなどはこの108の内の一隻。
フィラディルフィアやナインハーケンズの超級ストラリアクターは後に人類が建造したレプリカ。
外宇宙船も、骨格艦と同様にリアクター艦やコンテナ艦などを骨格フレームで接続する方式。
「エーテルシュラウドと超構造体化効果」
”骨格むき出しのロボット”のイメージを補足する為の設定。
主な機能は骨格艦に推力、出力を与える“偏向重力”。分かりやすくポピュラーに“反重力”でも良かったけども、反重力の出力を細かく制御出来る意味で“偏向重力”とした。
また当初、この偏向重力で衝撃や自重、応力なども吸収している設定にしていたが今一つ「“重力刃”でないと破壊できない」と言うところにイメージが繋がらなかったため、
超構造体化効果を追加で付随した。
超構造体化効果は、同名、同効果のモノが有名SF漫画(弐瓶勉作品全般)に登場するので、ルビを振ろうと思って考えたのがセメンテッド・ストラクチャか、セメンテッド・エフェクト(参考までに超硬合金鋼がセメンテッド・カーバイド)
これはあまりにダサかったのでそのままにした。
ロボット物的には、バリアや超合金Zなどの防御要素。
SF的には超巨大構造物を構成するための要素に相当。
また、無重力合金鋼は無重力化で生成する特殊な金属でエーテルシュラウドの伝導率が高い金属ではあるが、それ自体の強度は並で加工に向くというモノ。
無重力合金鋼に星間物質を持続的に焼き付けて「超構造体化効果」
その焼き付けたエーテルから「偏向重力」を発生。
それらを制御しているのが「ストラリアクター」
この辺りは物語としてはどうでもいい部分の割に、無暗にとっちらかり過ぎなので、今後こういうものはもっとシンプルに表現出来るようになりたい。
「頭部艦橋」
骨格艦の頭部。
西暦側のクラウンシェル筐体とインテリアデザインは同じ(内部構造や機能はもちろん別物)
艦橋となっているけども、内部は10~20mロボットのコクピットサイズ。戦闘機のコックピットを二回りほど広くしたようなイメージ。
「胸部居住区」
骨格艦の胸部。
宇宙船としての生命維持機能その他を担当する区画。
箱型ではなく船型(MS的ではなくMH的な)
また胸と肩の間、鎖骨部分は可動域(両手持ちなど)の為に骨格フレームで構成されていて、百m級の艦船の居住区としては特に横幅が狭くクルーザー程度の広さしかない。
横幅が狭いのは、胸部居住区と肩部の間(鎖骨や肩甲骨に相当)が脊椎フレームと同系統の骨格で繋がっている為。
本来、人間の体幹構造を利用した出力の仕方で、パンチしたりキックしたり剣を振るったりする場合、この部分が柔軟に動く必要がある。
武術的な「肩や腰を入れる」「肩を見る」であるとか、或いは投手の「肩で投げる」であるとか。
箱型ロボットはどうしてもこの動作が想像出来ない(その系統のロボットが嫌いと言うわけではないです)
「臀部動力炉」
骨格艦の骨盤。後ろに長く、そこに可動式格納庫が接続している。
骨格艦の心臓部であるストラリアクターが搭載されている箇所。
上記二つを含む、この三点が骨格艦のバイタルパート。
「N字関節型四肢骨格構造」
N字構造の事。肩や肘、股関節から、腰や鎖骨部などの体幹寄りの駆動部に至るまで、すべてこの構造で構築されている。
イメージ的には頸椎、腰椎や肋骨部等の体幹側は、N字関節で作ったマジックハンドのような構造(曲がり、捻り、伸縮出来る)の集合体。
作中では頸椎フレームと腰椎フレームしか言及していないが、胸部居住区と肩部を繋ぐ可動フレームもある。
が、この辺りはただでさえクドイ説明が脂ぎっていたのでN字関節で一纏めにし、端折った。
主に固い物体が、体幹を柔軟に捻ったりするための構造設定。
そんな構造では強度も保持力も全く足らないだろうけども、強度は「超構造体化効果(骨のように作用する)」が、保持力は「偏向重力(筋力のように作用する)」が十全に補強している。
肘と膝部はハッキリN字型の関節とわかる構造をイメージしていて、これは二つのフレームの中央で自由に動く軸がある、工業機械のアームのような構造。
四肢と付いているのは、骨格艦の骨格フレームを最初にこの設定から作り始めた名残。
基本的に骨格部分に内部構造は存在せず(流動金属を用いた動力伝達を効率化する為の油圧系統だけはある)、すべて偏向重力で駆動しており、超構造体化効果によって応力集中や脆弱性を無視できるため、そのような構造をしている。
「外装甲板」
可動式装甲板。ロボットのアニメ表現の際「本体の挙動から一瞬遅れて追随するパーツや装甲」がイメージの源泉。要はブーバブルフレーム。
と言っても、小さなアームで保持する盾の様な構造物なので、装甲と言われると違うので「“外”装甲“板”」或いは「“外装”“甲板”」
とにかくほかに比べて簡易な設定の割に、案外と表現に困ったパーツ。
防御の理屈は、リアクティブアーマー(壊れて逸らす)や、戦車のシュルツェン(少し放してくっつけてある板)。
骨格艦は重力刃以外では基本的に損傷しないので、装甲がモノコック構造である必要性が無い為。
整備性も理にかなっている。はず。
外宇宙船の表層外壁も同様の構造をしている。
主な被害担当箇所。骨格艦の行動に支障が出る致命ダメージ以外は、大体コレが吹っ飛んだり割れたりしている。
「剣戟兵装と重力刃」
理屈の源泉は、超硬合金の加工方法が「より硬いもので削る」と言う割と力業なことから(最近は別の方法が取られてるとかなんとか)
面で骨格を守る外装甲板(偏向重力)に対して、線で叩き切る重力刃と言う感じのもの。
飛び道具の効果が極端に薄いのは、そもそも骨格艦は貫通攻撃があまり破壊効果を及ぼさない構造であるため(炸薬も衝撃以外の効果が無い)
また偏向重力は、エーテルシュラウドを経由して発生させる為、ストラリアクターからの伝達経路が無い重力子弾は時間や飛翔距離による減衰が激しく、アンカーユニットのようなロープで繋げた弾頭の場合は連射が出来ないなど、問題点が多い。
よって最終的に、刃状にして溶断する武器が一番手っ取り早いということになった世界の主力兵器が、骨格艦。
「余談とモノネタのようなものを幾つか」
骨格艦のそもそもの着想は、劇場公開のゴティックメードから。もう五年ぐらい前になるかな。
さらにはFSSのVサイレン等のネイキッドモーターヘッド群
それらのインスピレーションからイメージを膨らませてヘブンズハースの自機になり(書き出しは近未来ロボットゲーム物だった。ブレイクエイジ、バトルテック、バーチャロン当たり)、最終的に宇宙船の設定と結びついて現在の形に。
これにヤクト・ミラージュの巨大さと可動式ベイルのイメージを足して、大まかな脳内シルエットを形成した。
特徴的でイメージしやすい構造として「N字関節の骨格フレーム」がありますが(骨格艦の名の由来でもある)これはもちろん、ゴティックメードの関節構造の設定を自己流に解釈、アレンジしたもの。
(あちらのツインスイング関節はZ字関節と表記されている資料もあったはず。多分)
外装甲板の構造等はヤクトミラージュのベイルなど、サブアームで保持している盾をイメージ。これを全身に装備している。
或いは、装甲全部がサンダーボルト版フルアーマーガンダムの盾と同じ構造で、鎧のような形をしている……とか。
ムーバブルフレームのイメージも多分に入っている。と思う。
この辺りも機構として特徴を出すことでイメージしやすいように……と考えて作ったものの、成功しているかは謎。存在しないものを言葉で説明するのは難しい。
しかし、ゴティックメードの先行していたイラストレーションではそこまででもなかったのですが(その頃はまだモーターヘッドの方がいいなぁと)、映画で実際にカイゼリンが動いているのを見たときビビッと来たんです。いやホント。
「最後に」
ストーリーより何よりも、骨格艦のイメージが読んだ人の頭に浮かんでいれば、それが一番うれしいです。
何せ骨格艦のイメージありきで書き上げた小説なもので。