心理戦開始
「ふーん、そうか、なら親の前ではこれまで通りにしておけばいいんだな?」
「ああ、それで頼む。」
「そうか、じゃ、もう遅いし、そろそろ帰るよ。
じゃあな。ちゃんと3日間安静にしておけよ。」
「分かってるよ、じゃあな。」
「まさか兄さんにあんな厄介な奴がついていたとは驚きですねー。
しかし危なかったですよ。警察はさっきの場所をかぎつけていたみたいだけど、
あと少し目が覚めるのが遅かったら面倒なことになっていましたよ。
兄さんの服につけたGPSはマンションの一室で固定されています。
そこが兄さんの居住地なのでしょうが…、
今の私ではあそこに忍びこんで秘密裏に兄さんを殺すことは不可能でしょう。
あの時の騒ぎで外に出るときは兄さんも奴も俺を警戒しだすでしょうし…、
どうしましょうかねー?」
バイオレーンズが怪我をしてから3日たった。
つまり、バイオレーンズの奴は今日の夕方ごろ家に帰ってきてしまった。
なぜ「帰ってきてしまった」なのかというと、
バイオレーンズ無き家での生活は思ったより快適だったということに改めて気付いたからだ。
まあ、この3日間でインテリージェンに襲われることもなく、
無事に帰ってきて良かったのだがそう思ってしまう。
「それにしてもよかったな、無事に終わって。
身動きのとれない状態で奴に襲われた場合お前は確実に死んでいたよ。
しかし奴はなぜ、お前の居場所が分かったんだ?
あっそうだ、お前の星では個人の居場所を特定する手段は何がある?」
「そうだな…、ダー…、いや、GPSと直接教えるぐらいだ。」
「そうか、ならばもう1つ、お前の星でのGPSはどれくらい軽量化されている?
もしかして見えないレベルまで達していて体内に入れることもできるとか?」
「その気になれば体内に入れることもできる。
だが、我々の体では拒絶反応がひどくてな。
もし俺の体に埋め込まれているのならすぐに気付く。
しかし、GPS自体はかなり軽量化されている。
大体1平方センチメートル未満のチップ状で、細工をすれば容易に透明化できるし、
持っていても気付かない程度に軽い。だから完全に気付かないことだってありえる。
ま、でもさすがに体に直接ひっついていたら気付くけどな。」
そうか、その程度の技術力か、少し期待していたより低いなー。いや、話を戻そう。
この地球の、しかもピンポイントでバイオレーンズの場所を特定するなど、
まず間違いなくGPSを使っている。
ならばGPSがどこにあるかだが、
見えないように細工してあるとすれば、GPS単体を取り出せない。
だが、バイオレーンズに拒絶反応もでていないし、体についている訳でもない。
バイオレーンズは初めて家に来たときは、何も持ち物を持っていなかった。ということは、服だ。
服を利用すれば奴を上手く踊らせることができるかもしれないな。
場面はインテリージェンの地球のアジト。
どうやらここには、インテリージェンの持ってきた、多彩な道具があるようである。
「兄さんは別だが、あの男はどうでしょうかねー。
そろそろ兄さんに付けられたGPSの存在に気付きましたかねー。
しかし、あれは絶対に見えないし、GPSの的確な場所は分からないでしょうけどねー。
ともあれ、GPS反応の場所に一直線に飛びつこうものなら、
あの男にGPSの的確な場所を知られてしまいますからねー、
よく考えて行動しないといけませんねー。ふ、楽しみですよ。
今まで僕の作戦は兄さんに滅茶苦茶にされましたが、今はちゃんと勝負できますからね。
これであなたたちをちゃ~~~んと絶望の底まで落としてあげますよ。
ふふふふ、ふーはっはははー!」




