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平穏主義者の活動録  作者: ペーパードライブ
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作戦概要

 「奴はあの場から去った俺を見て何を思ったか?大きく分けて3つある。

1つは俺が逃げたということ。

2つ目は俺が助けを呼びに行ったということ。

最後は、俺が助けに行くと嘘をついて何か企んでいるということ。

1つ目、2つ目だが、俺が助けを呼ぶと突然走り出していったから、

奴は他に知られてはならないと、思わずとっさに俺を追ってくるとふんで、

それを上手くかわしてお前をさっさと救出してしまおうと思ったんだが…、

奴には状況を正しく把握する冷静さがあったらしい。

冷静に考えれば、俺が逃げようが、助けを呼びにいこうが

助けが来る前にさっさとお前を殺して逃げればすむ事だという事ぐらいすぐ分かる。

奴が元の星に帰ってしまえばお前が死んだという事件は迷宮入りしてしまうわけだからな。

まあ、結果は成功したらいいものの、そのときはこの手に引っかかってほしかったんだよ。」


 ふー、長く話して疲れたぜ。


 話す前は別に大したことをした訳ではないと思っていたが、

こうして自分の作戦をいざ話してみるとなんか、

自分がものすごく頭のいいことを考えていたという気分になる。

 いわゆる自己満足というものに似ている。


 どうでもいいが、自己満足というのは別に俺は悪いことでは無いと思う。

 よく、「あの映画は誰得作品だよ、視聴者が何を求めているのかを考えていない。

あんなのは製作者の自己満足のための作品だ。」なんてネットの掲示板で見かける。


 しかし、自分のやりたいことを無理矢理抑えて大多数のニーズに答えるのもいいが、

自分のやりたいことをやって自己満足を得るというのもいいと思う。


 その結果、小数のニーズに答えることになったり、

自由に型にはまらないでやったことにより、革新的なことをやりとげることができるなど、

長期的に見れば両者に利が多いように思える。


 世にいう偉人、例えばエジソンなんかは発明が好きで

その好きなことをひたすらやった結果成功を収めたという。


 これを、エジソンは自己満足というのはちょっとアレだが、

自己満足も突き詰めれば、立派な武器になるのではなかろうか。


 無理矢理やらされる分野での成功はありえないのである。

 故に自己満足最高一!Q.Е.D.


 「で、結局どうやってあの場を切り抜けたんだよ。

もったいぶってないでさっさと教えろよ。」


 かなり気になっているのか、バイオレーンズは先を急かしてくる。

 俺も別にもったいぶりたい訳ではないので、

キレられるまえにさっさと話すことにする。


 「いやな、あのときとったのはもう1つの方の作戦だったんだ。

あの場を囲っていた大きな建物の1つは大型デパートだ。

そのトイレの窓の真下にはあの状況がはっきりと見える訳さ。

そこから、俺の10Kg近くある通学用の鞄を落として奴に当てて気絶させるという作戦だ。

ただしこれは非常に運要素が強くてな、はっきりいって失敗してお前は死ぬと思っていたよ。

あれな、まず俺がトイレの窓にたどり着くまでにお前が殺されておかないことが絶対条件だし、

落とした鞄が上手く奴に当たるかもしれんし、最悪お前に当たって死んでいたかもしれんし。

まあ、上手くいったし、結果オーライだよな。ははははー。」


 「お前…、あんなに格好つけて登場したわりにろくな作戦考えてなかったのなー。

そんな運要素ばかり絡んだ作戦なんてもはや作戦とは呼ばねーだろ…。」


 あきれられていた…。なんかさっきまで自己満足に浸っていた自分があほらしく思えてきた。

 何これ、俺って運が良かっただけなの?そうなの?


 「まあ、助かったのはお前のおかげでもあるしな。そこは素直に感謝するぜ。ありがとな。」


 お、普段はほんっとウザいだけだが、素直な一面があるじゃないか。

 おかけで少しは俺もいいことした気になれたぜ。ありがとよ!バイオレーンズ。


 「お、おう。ところで、この話はこの辺にして…、お前、宇宙人だったんか?」


 「まあな、もう聞かれてしまったお前には隠してもしょうがないが、

お前のご両親には言うなよ。言ったところで向こうも迷惑だろうし、

俺の方もごめんだ。…そう、俺はなぜか親父によってここに飛ばされてな。

まあ、俺から見ればお前らも宇宙人だがな。」


 ふーん、やっぱり宇宙人っていたんだな。まさかここまで人間に近いとは、

いや、もうほとんど人間だが…。


 やはりこいつの故郷の星も地球と似た環境なのだろうか?

それならば人間に近くても納得できるが…、

地球人の住めるような環境でなければ、人体構造というのはそれなりに、

生物の究極の構造に近いのだろうか?


 それにしても、地球に来れるってことは相当技術力の高い文明であることは間違いない。

 …ふっなかなかおもしろいじゃないか。いやいや、話が脱線してしまった。


 「ところで、お前これからどうするつもりなんだ?やっぱり故郷に帰る方法を探すのか?」

 「俺は地球を征…いや、地球を去って故郷に帰る方法を探すことにするよ、うん。」


 ん?地球をせい…、何か隠しているのか?ま、いいや。宇宙人かー、おもしろそうだ。

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