やっと来たか、おっせーよ。
兄弟そろってお互いに同じような不気味な笑みを浮かべ目を大きく見開いている。
その表情からは、相手を殺すことに何の躊躇も感じていない、
どころか、やっとお前を殺すことができると歓喜している両者の心情が読み取れる。
「あなたなんかと一緒にされたくはないですね!」
インテリージェンはそう言いながらバイオレーンズにまた襲いかかっていく。
右手でバイオレーンズの腹めがけてナイフで突く。
よし、この程度なら余裕ぶっていたバイオレーンズは普通にかわせる
…と思いきやよけきれず脇腹にささる。
「ぐ…!ふん、この程度か…さんざん…殺すアピールしていたわりにはたいしたことない…な。」
…え、…もしかしてハッタリですか、余裕ぶっていたのってハッタリですか。
しかも、めっちゃ下手やん、演技。
おい、バイオレーンズ、
セリフからとても痛そうな雰囲気が滲み出てしまっていることに目をつぶったとしてもな…
刺された瞬間膝から崩れ落ちるのは完全にアウトだろ……。
刺された箇所を手でおさえながらバイオレーンズは後ろにステップし、
インテリージェンからすばやく距離をとる。
「やれやれ、本当は痛いくせにやせ我慢ですか。
そうそう…あなたはバカですから、気にもとめなかったかもしれないですけど、
惑星ダーキシスとは全く関係ないこの星の住人と
なぜ最初からコミュニケーションが円滑にとれるのか知っていましたか?」
たしかに、そういえば俺はあいつとの会話に困ったことがない。
ああ、もちろん、こいつとの人間関係に困ったことがないのではなく、
言語の違い的な問題に直面したことが無いということだ。
「父上はあなたに地球で学習するための最適な環境を配備したのですよ。
気付きませんでした?父上があなたをここに送るとき、
あなたの脳内にこの民族の使う言語をインストールしたんですよ。
腹立たしいことに、あなたを成長させて帝王にさせる気満々なんですよ。
帝国の将来をどちらが真面目に考えているかを考えれば
どちらが帝王にふさわしいのかは明らかだと思うんですけどねー。
あなたは、帝国のため云々ではなく、ただ戦闘を楽しんでるだけなのに…!
お前に俺の気持ちが分かるか!?」
インテリージェンは兄をバカにしながら言う。
っていうか、お前らの父ちゃんやばくね?なんで人の脳内改造してんの?
お前らの父ちゃんってア○キパンもってんのかよ!ドラ○もんか!
そんな馬鹿なことを思っているとバイオレーンズの方が立ち上がる。
「ふ、笑わせてくれるねー、お前の気持ち?知るわけねーだろー。
才能ないお前の気持ちなんてこの俺が知ってどーすんの?才能あるのに。
お前の努力が報れない責任を他人の俺に求めている時点でお前は負け。
分かる?努力すれば報れるとか、
才能ない奴らが自分を慰めるための都合のいい現実逃避だよな。
現実見ろよ、つ・ま・り、努力は才能に敵わない。諦めてさっさと帰れ。
俺が死んでお前が率いることになる帝国軍に未来があると本気で思うのか?
本当に帝国のためを思っているなら潔く帝王の座を諦めるべきだ。
それができないってんなら…、
お前は帝王になりたいとだだをこねるただのガキってことだ。」
バイオレーンズの言葉にしっくりきた。
確かにあいつの言っていることは努力している人全員を敵に回してしまう超問題発言だ。
だが、これは弟であるインテリージェンを客観的に見た感想だ。
いくら努力したって結果が出なければ意味はない。
インテリージェンの言い分は、努力した自分は結果が出ていないとしても、
努力なしで結果を出す兄よりえらいという…、
ある意味自分大好き補正がかかっていて説得力がない。
残酷なようだが、努力を評価されるのは結果を出した成功者のみだ!
あいつ…ただのだめ人間だが、言うときは言うじゃねーか。
ここは俺もあいつにならって参戦するべきかな。
何たって…、自分の家族がピンチって場面で見捨てれば自分が廃るってもんだからな!
「最後まで不快な兄ですねー。
まーでも、その体では血が足りず、立ってるだけで精一杯、
素早く動くなんてもってのほか。
それが最期の言葉でいいですよね?もう死んでもらいますんでっ。」
右手にカッターナイフをもち、更にポケットから切れ味の鋭どそうな包丁が出てきた。
両手に刃物をもち笑いながらバイオレーンズにゆっくりと近付いていく。
やばいよこいつ、殺すどころかこの様子じゃ、
まじで解体ショーでも開きかねないほど狂気に満ちている。
もう自分が帝王とやらになったつもりなのか表情はゆるんでいた。
「ふ、そのようだな。ここで死ぬのが運命ってんならしゃーねーな。
ここまで好き勝手やってこれたからな。一生分人生謳歌したさ。
今死んでも特に悔いはねーよ。」
悟ったようにバイオレーンズは語る。
やべえ、昨日までぐーたら生活を送っていたほぼニートが今日はめっちゃかっけーな。
死ぬ時潔い収って少しあこがれるわー。俺も死ぬ時はこんな感じでいこう!だがな…
「おいおい、何その若さで人生満足しちゃってんの、もったいない。
お前のそのずば抜けた才能とやらを、
自分の人生を満足させるのに使っちまったっていうんなら今度は…
帝国軍の未来のために使うっていう大仕事がまだ残ってんだろー。」
死ぬにはお前は若すぎる。
お前の死を悟る姿には年齢を重ねた者だけがもつ貫禄というものがお前には全くたりてねーんだよ。




