戦闘狂ブラザーズ!
バスに停まで歩いていく。いつもと何ら変わらない通学路。
ただただ歩いていく途中に俺の目にいつもと違う光景がうつりこんできた。
あれは…、バイオレーンズ…だよな。
そしてバイオレーンズを導いていく人間が1人。
バイオレーンズは抵抗している様子はなかったので、
連れ去られている訳ではないと思った。
しかし、普段外に出ないバイオレーンズが何故こんなところに?
そしてもう1人の男の方も気になったので少しつけてみた。
見たところ親しげに話している。昔の知り合いに出会ったとか?
まーいい。そんなことを思っているとその男は路地裏にバイオレーンズを導く。
ん?路地裏は何か怪しいな。しかもここはほとんど人通りの無いところだ。
まあそうだろう、何せここはそこそこ高いビルに四方囲まれていて
誰もそのスペースを知らないというのが容易に感じとれるほど放置され、うす暗く汚れていた。
囲んでいる1つの建物は大型デパートで人もにぎわっているだろうに。
そう思いながら彼らにばれないようについていく。すると男の方が口を開く。
「よし、この辺なら誰にも会話を聞かれる心配はないですね。」
「お前は相変わらず心配性だな。
まーしかし、ここではエナジーが使えないからな、
お前のその用心深い性格が役に立つだろう。
ところで、お前は何しにここに来たんだ?
あ、もしかしてお前も親父からここに放り込まれたのか?」
一体何の話をしているんだ?エナジー?全く話が見えてこないぞ。
「いや、僕は自主的にこの世界に来たんです。」
「そうなんか。
じゃあ、俺を惑星ダーキシスにつれて帰るために迎えに来てくれたのか。
それはすまないな。」
「そう…僕がここに来た目的は、兄さん…お前を殺して亡き者にするためだ!」
その瞬間、
バイオレーンズの弟と思われるその男は急に表情を険しいものに変化させ、
バイオレーンズの顔に向けて刃物を刺そうと足をふみこみ腕をのばす…が、
バイオレーンズは間一髪のところでかわし、頬に浅いかすり傷を負うだけですんだ。
まじかよ、いきなりどんな展開に発展してんだよ。
なんでこーなっちゃうの?あいつの兄弟事情険しすぎだろ!
「何!おい…インテリージェン、どういう事だ!」
「さっき言った通りですよ、兄さん。まあ、驚くのも無理はないですね。」
そう言ってインテリージェンという奴はさっきの険しい口調から冷静な態度を取り戻し、語り始める。
「僕は小さい頃からあなたの力に憧れていた。
そしていつか僕にもその力は発現すると信じていた。
それが、7才のとき、父上から言われましたよ、
エナジ一使用可能量は生まれ持ったものだ。
お前のそれでは兄と比べるどころか実戦投入しても役に立たないレベルだ…と。」
「…………」
「ショックでしたよ。
今まで手に入ると思っていたものが、絶対に手に入ることはないと知ったんですから。
それでも、前向きに考えようと思いました。
そこで僕は頭を使って帝国に貢献するやり方を選びましたよ。
父に頼んで各地の有能な軍師を師匠として迎えてもらい、
兄さんが遊んでいる間もずっと勉強して、将来の帝国軍の戦力になれるよう…
そして父上に認められるよう努力しましたよ。
それこそ他のことはすべて犠牲にしてね。…それなのに…。」
そこからまたインテリージェンの表情が曇る。
それに対してバイオレーンズの方は弟の暴挙にまだ戸惑いを隠せていない様子。
しかしこれは兄弟喧嘩の範疇を明らかに超えている。止めに入るべきだが…。
「普段から食べては寝て食べては寝て、
戦争が起きればその時だけハイエナのようにそのにおいをかぎつけてきて、
挙げ句の果てには、僕の立てた戦術をすべて滅茶苦茶にしてくれましたよね。
それだけならまだいい…、それなのにあなた一人で最終目標、
つまりその敵対民族の征服を達成してしまった。
今までの戦争すべてでね!」
もうその口調からは、
今すぐにでもバイオレーンズの喉笛にナイフで切りかかっていきそうな激しい怒りを感じる。
一方、バイオレーンズの方は冷静さを取り戻したようで、若干弟をあしらうように切り返す。
「ったくよー。黙って聞いてりゃ言いたい放題だな。お前の話は長いんだよ。
でなんだっけー、
要は努力してない俺が努力してるお前より戦果出してることがお前は気に入らねーってか?
言うようになったじゃねーかインテリージェンよー。
惑星ダーキシスでは俺に刃向かうことなんてなかったてのによー。
まーでも俺は安心したがな。」
何のんきなこと言ってんだ?お前は今ピンチなんじゃないのか。
何がその余裕を生んでいるというんだ…!
「何に安心したんですか、殺されることを前に頭でもおかしくなったんですか?
いや、あなたは昔からおかしかったと思いますがね、十分。」
インテリージェンの方は兄をバカにしたような目で軽蔑した。
そりゃそうだろ…今から殺されるかもしれないってのに
不敵な笑みを浮かべているバイオレーンズはどう考えてもいかれている。
…いやまてよ、さっきまでのインテリージェンの話を聞けばこの兄弟では、
兄の方が弟よりも優れていると結論づけるのが必然。
ということはバイオレーンズはこの状況を打破するかくしだまをもっているということではないか。
…今のバイオレーンズの余裕、間違いない!
よかったー、俺が助けに入らずとも兄の死亡エンドはまぬがれそうだ。
だが、一応様子を見ておこう。
「この世界に飛ばされてーヶ月強、あなたはもう気付いていようですが。
そう、この世界ではエナジーが全く使えないと。
つまりあなたの大好きな力でねじふせるという脳筋戦法は使えないんですよー。
まあ、あれは戦法とはいいませんけどねー。あーはっはっはっーー!」
初めてみたときのインテリージェンの印象、それは冷静な優等生…だが、
そいつの印象は一変、もはやその笑い声からは狂気に満ちたものを感じる。
「知ってるぜそんなこと。俺が言いたいのは、
誰に対しても優等生っぽく振る舞ってたお前が気持ち悪かったってことだよ。
お前にも醜い一面があるということに安心したってことだぜ!
お前も気付いているんだろ?自分も俺と同じで…結局根は戦闘狂だってな!」
兄と弟。今まで上っ面だけの関係だった兄弟が本音でぶつかり合う。
…とは言ったものの、状況はかなりやばい。
いつでも救出できるようにタイミングを見計らっておかねば‥‥。




