最終決戦
インテリージェンの取り出した物の中には紫色の液体が入っていた。それを体内に注入したインテリージェンの体にすぐに異変が起こり始める。
瞳と髪の色が黒から紫に変わり、肩甲骨あたりからは巨大な羽が生え始める。
「まずい! はやく奴から離れろ!危険だ!」
体の変化の最中にバイオレーンズもやばいと察知したようで、そのすきに、俺の方へ急いで来る。
「やばいぞ!あれは俺達の故郷、惑星ダーキシスでの俺達の姿!おそらく、今の奴はエナジーが使える。とにかく今は逃げろ!」
何!?エナジー?何だよそれ?とにかく、いつも能天気なこいつがこれほど動揺しているということはよっぽど危険な状況なはずだ!逃げて乗り切るしかない!
「さぁ、兄さん、悪いですが、さっさと決めさせてもらいます。」
うっすら笑ったままのインテリージェン。すると突然、ものすごいスピードでこちらへ襲いかかってきた。何だよこのスピード…、こんなの逃げろなんてとうてい無理じゃないか。
「ぐふ!」
いつの間にか、バイオレーンズがぶっとんでいて、壁に激突していた。あまりにも突然の出来事だったので現状を理解するのが少し遅れている。壁には少々、ひびが入っており、今の激突の衝撃で発生したものと思われる。また、今の大きな音で、まわりに人がぞろぞろと集まり始めていた。体中の至る所から流血しているバイオレーンズ。
「バイオレーンズ!?大丈夫か?立って歩けるか?」
「ああ、大丈夫だ!」
バイオレーンズの元へかけよる。そして小声で耳元に話しかける。
「奴は勝負を焦っている…。それはおそらく、あの摂取した薬の作用が短いことが関係しているのではないか?だとすると、薬の効果が消えるまで耐えきれば最悪、逃げることはできるはずだ!」
「え、何何?薬の作用が短いですって?お見事!正解です!」
何も俺達の声が聞こえていないはずのインテリージェンが俺が話した内容をにたにたしながら口にした。
「何…!聞こえている…だと…!?」
「この薬は身体機能を惑星ダーキシスにいたときの状態に戻してくれるんですよ!当然、その程度の小さな声ならこちらにはだだ漏れということになる訳ですよ。それと、確かに薬の作用は短いですが…、この通り、予備は何本もあるので関係ありませんね。」
にっこりと満面の笑みで話すインテリージェン。その説明に俺の唯一の希望が一気に閉ざされた。
「じゃあ、そういう訳で、次はこの攻撃をお見せしましょうか。」
両手の掌をこっちの方に向ける。すると突然、掌から気弾が大量に飛んできた。一瞬のことで、よけることもできなかったが、その気弾は俺とバイオレーンズには当たるか当たらないかというふうにぎりぎりで当たっていなかった。恐る恐る後ろを見ると、背後のコンクリートの壁には無数の穴が空いており、すべての穴が貫通していた。
「何だ…、あれは…。」
まわりでみていた人たちはその光景を目にしたとき、俺とバイオレーンズ除く全員が一目散に逃げていた。
「ま、この通り、壁の次はあなたたちですよ。」
恐怖を与えるため、計算されてわざとはずされたと分かっていても、ただ俺だけは本能的な恐怖で身が硬直していた。
逃げるように言われたけど、一応状況を誰にもばれないように観察してはいたけど…、
「まずいわね。」
時間制限無しであの強さ、あれならまず間違いなく、あの二人はやられてしまうわ…。この状況を打破する手だてはあるにはあるけど…、いいえ、自分のことを考えているひまはないわ…、隙を見てやるしかない!




