感情>理性
バス停へ向かっていると、突然体に振動が伝わってきた。ん、何だ、携帯か。ん?これは、電話じゃない…。バイオレーンズからのSOSだ。ったく、まさかとは思っていたが本当にくるとは。場所は…どこだ、ここは?まあ、急いで行くしかない。
「はあ、何で私はあんなことを…。あれ? あれは、翔じゃない。あー、あんなことした手前、もう会わせる顔がない…。ん?携帯電話を取り出して急にバス停とは別の方向に走って行ったけど…。まさか…。」
「はあはあ、くそ!こんなことなら体力付けとくんだった。しかしやばいなー、あの時は本当に相手も間抜けで運も良かったから良かったけど…。今回は…。」
見えた、やはり人目に付かないところか。まあ当然だろう。インテリージェンとて穏便に事をすませたいだろうからな。だがさすがに警戒したのか前の場所はやはりやめたようだ。
やはりここは、慌てずに状況を冷静に分析するべし。いた、バイオレーンズは…気絶している!やばい、このままではさすがにすぐ殺されてしまう。ここはすぐに出て行かないと。
「そこにいるのは分かっていますよ。君にしても出てこないとやばい状況だと思いますけど…、どうですか?」
何、気付いているだと。バイオレーンズの方を向き、俺に背中を向けたまま、話してくる。
「ヘー、さすがに気付いているんだ。前とは違うって訳ですかい?」
「ふ、俺にとって、兄さんの処分は将来に大きくひびく重大な事なんですよ。こんなところでへまする訳にはいかないんですよ。」
立ってこちらをふり向く。
「え…。」
翔があまりにもあせって走っていたから一応ついていったものの…、これどういう状況なの?翔は何もせずに男二人組をじっと見ているだけだし、その男二人は…、え、あいつは…。
「そこにいるのは分かっていますよ。君にしても出てこないとやばい状況だと思いますけど…、どうですか?」
「ヘー、さすがに気付いているんだ。前とは違うって訳ですかい?」
「ふ、俺にとって、兄さんの処分は将来に大きくひびく重大な事なんですよ。こんなところでへまする訳にはいかないんですよ。」
いったい何の話をしているの…。それにあいつ…、寝ている、いや、気絶しているあの男の人は…、あ、そうだ、この前のバス内の事件で犯人を名乗り出てきた人だわ。あの件ではあいつを邪魔したことになるから、あいつの言動から考えて…、あの男の人があいつの兄さん…!
そう、頭の中で結論が導き出されると、体が咄嗟に動いていた。後先のことは何も考えていなかった…。ただ、私の体を動かしたその何かとは…、あの時感じた後悔からくるものだった…。
ふー、余裕そうにふるまってはいるが、実際かなりやばいな。奴の手元にバイオレーンズはあるし、こちらのできることなんてほとんどなく殺されて終わりになってしまうかもしれない。とりあえず、奴がバイオレーンズを殺してしまわないように、気をこちらに向けておくしかない。その間に解決策を考える!
「それにしても、兄弟を殺すなんて考えが過激すぎないかー?他の解決策を考えた方が…、いいんじゃないか?」
焦りを悟られないよう、余裕そうな表情で言う。それにしても、驚いた。いきなり、インテリージェンの背後で突然、静乃が現れるとは…。何故かは知らんが、ここで声を出してインテリージェンに知られてしまうよりは見守っていた方がいいだろう。
「正直に言いましょうか。いや、そんなことをしている場合じゃないですね。兄さんが手本にいるから安心とはいえ、はやくすませるにこしたことはないですね。」
まずい、後ろを振り向かれては!
「な、何をしているー!」
気付かれた!静乃が存在を把握された…。まずい、殺されてしまうかもしれない。
咄嗟に足を一歩、また一歩とふみ出して行っていた。
「ま、まずい、私の力じゃ、この人を移動させることはできない。起こすしかない! 起きて!非常事態なのよ!あんたなんかの思い通りにはさせるものですか。」
インテリージェンの方へ最後そう言うと静乃はバイオレーンズの顔をビンタしたり、体をゆさぶったりし、何とが起こそうとしている。
「やめなさい!」
刃物を手に静乃に飛びかかる。
「やめろー!」
間に合った…。何とかインテリージェンの体を後ろから押さえて動きを止めることができた。
「ん、ここは…、は、そうか、俺は奴に出会ってSOSを翔に送ってそれから…。」
静乃にゆさぶられたりしてようやく目を覚ますバイオレーンズ。いいぞ、流れがこっちに来ている!
「やった、起きたわー!」
「くそ、離しなさい!」
「ぐは!」
肘で腹を何回もぶたれたせいで拘束がとけてしまった。まずい。
「はやく逃げろ! 二人とも…。」
「…。」
静乃は、事態を察したのだろう、頷いてすばやくどこかへ消えていった。これで一安心だ。とりあえず、彼女が危険な目に遭うことはもうない。
問題は…バイオレーンズだ。気絶から解けた直後ですばやく動けないのか…?
「ふっふっふ、待っていたぞ、インテリージェンよ。俺の前に姿をすぐに現すことは分かっていたぞ!」
「結着をつけようか、いや、さっさと殺してやるよ、未来の帝国のためにね…!」
体から俺を離すと、すばやくポケットから何やら注射器っぽいものを取り出し、左腕に刺した。
何をしようと…しているんだ…!?




