同居生活スタート!
「今日から高校生だな、まさか高校まで同じになるとはな。」
「何を言っているの。
県内トップの進学校とはいえ、私たちクラスになら、
入るのにそこまで苦労するほどのレベルでも無かったでしょう?」
県内トップの進学校に受かるのは、当然だといわんばかりの口調で俺に対して返答したこの女は白井静乃である。
俺は人間づきあいも面倒だと感じるため、友達を全くつくらなかった。
ましてやこの女、やけにプライドが高く、
仮に俺が友達づくりに積極的な人間だったとしても
面倒で関わろうとしなかっただろうが…、
彼女とは小学校1年生からずっと同じクラスであったため、
まあ…、成り行きで今こうやって一緒に通学するに至っている。
「これはこれは、また今日も自信過剰のようで。」
「事実を言っただけよ。過大評価でも何でもないわ。それより、そろそろ降りるわよ。」
その辺で会話を終えてバスを降りようとしたのだが、
俺の前で運転手ともめている同じ高校の制服をきている女子高生の姿がそこにあった。
「あれ?財布がない!家を出るときは確かにあったのに…。」
はー…。初日から遅刻とか勘弁してくれよ。
遅刻して入っていくときの注目される感じが俺は嫌いなんだよ。
学校は最初目立ってしまうと後々からもしばらく目立つキャラとして認知されてしまうだろーが!
いや、運転手に言って先に降ろしてもらえば済むことか。
だが、目の前で明らかに困っている人がいるのに、
見捨てるというのはさすがに人としてどうだろうか…仕方がない…、
「あのー、急いでるんで、僕が2人分払いますよ。」
「そーですか。分かりました。」
「あら、困っている女の子につけこんで何か企んだりしているのかしら?
そういう企みはいずれ失敗すると思うわよ。」
まったく、静乃はどういう冗談をぶっこんできているんだ。
俺がそんな面倒なことを企むはずがないってことくらい分かっているだろうに。
「余計な心配ありがとう。そんなことするつもりはないのでどうぞご安心ください。
学校に遅れたくなかっただけです。」
「あの、さっきはありがとうございます。このお金はすぐお返ししますので。」
さっきは後ろ姿だけで分からなかったが、その少女は美人というよりは、
可愛い系と言った方がふさわしい、子どもっぽい感じの女だった。
これはあれだ、そう、学校で男子が寄ってきそうな感じだ。
「いや、別に大した額じゃないし、気にしなくていいよ。じゃあ僕はこれで。」
そーいや、さっきの子、静乃と同じ服を着ていたが同じ時ヶ崎高校か。
入学早々他人と接点をもってしまったわけだが…まあ、あの状況では仕方ないだろう。
バスから降りて徒歩約5分、ようやく俺の入学する時ヶ崎高校に到着。
高校では、中学とは違い、穏やかな日常を3年間おくっていきたいものである。
「あれ、静乃、また同じクラスか、相変わらずまだ腐れ縁は切れんなー。」
「お前とは何よ。なれなれしいから白井さんと呼んでちょうだい。」
「いや、もうかれこれ今年で10年目の付き合いになるんだから、
白井さんとかよそよそしく呼ぶのは逆に変じゃないのか?」
「それもそうね。だったらせめて呼び捨てにするなら苗字の方にしてくれないかしら。
ってこれ、中学生の頃からずっと言っているんですけど。」
「今さら、呼び方を変えるのも変な感じがするし、このままでいいだろ。」
「あなたとこの話をしても今まで何の進展もなかったしね。
もういいわ。…それよりあの子もこのクラスだったのね。」
げっ。見た目からして、年上ではなさそうだから同級生だとは思っていたが…、
まさか同じクラスだとは。
他のクラスであればさっきのお金を返してもらったら
関係はそれで終わらせられそうなものだったのだが。同じクラスでは話は別!
入学したばかりで、友達のいないこの状況では、
ちょっと知り合った俺に対してさえもしゃべりかけてくる可能性が高い。
…いや、だが席が遠ければちょっと接点があるだけで名前も知らない俺に話しかけてくるよりも、
近い席の奴とコミュニティーを築こうとするだろう。
「今朝は助かりましたー。いやー、うっかり財布を落としちゃったみたいで、
今すぐには無理ですけれどー、明日には返しますのでー。
今朝偶然知ったのも何かの縁ということでー、これから仲良くよろしくおねがいしまーす。
あっ私、佐々木咲っていいます。」
席も斜め前だとーーー!これもう無関係つらぬくのは無理じゃないか。
しかもこいつ、すごい愛想いい奴だし、絶対友達多くつくるタイプだよな。
こいつを繋ぎとしてこいつの友達と付き合わされたりなんかは勘弁だぞー!
「ああー、俺は影路翔だ。で、こっちが白井静乃って奴で、
小学校からの腐れ縁だ。まあ、よろしく。」
「あー、なるほど。それで下の名前で呼び捨てだったんですね。
振る舞いからしててっきり恋人同士かと思ってましたよ。」
思わず笑ってしまった。俺と静乃が恋人なんてな。
「あー、ないない。ただの腐れ縁だから。」
「良かったじゃない。こんな可愛い子と仲よくなれて。これで目標達成に一歩近づいたんじゃない?」
まだ言ってんのか。違うって言ったのにさー。
もうこのやりとりさすがに飽きたんだけどなー。それにしても静乃ってSなのか?
人をからかうとき随分と楽しそうなんですけど…。
「だから違うって今朝言ったろ。いいかげんその冷やかしやめろよ。
大体人間付き合いも面倒だと思うこの俺がそんなこと企むと思うか?
今朝のはシチュエーションからしてあれがベストの選択だっただろ、
俺らにとっても佐々木さんにとっても。」
「そうね。でも、あなたなら先に降ろすよう、
バスの運転手にいってそのまま学校に行くと思っていたわ。
だってあなた、他人と関わりをもつのをいつもいつも避けようとするじゃない。」
こいつ、さすがに俺の性格よく知っているな…、
だが俺にはまだ善の心が残っているのだ、はっはっはっ…。
「ふ、俺はお前が思っているよりも善人なんだよ。
困っている人を助けるのが正しいというのは小学校の道徳で習わなかったか?はっはっはー。」
…言っている途中でむなしくなった。ああ…俺何言ってんだろ…。
「何それ、自分に酔っているのかしら、気持ち悪い。」
静乃は俺に対して汚物をみるような目で明らかにひいていた。
その扱いはいくらなんでもひどくないか?
しかし、俺はメンタルが強い…と思うのでそんなことはいちいち気にしない。
「いやーでもー、私はうれしかったですよー。
危うく無銭乗車?になっちゃうところだったんでー。ほんと感謝感謝でーす。」
静乃の毒舌の一方で、佐々木さんの言葉は俺の心に優しく響いた。
やはりいいことってするものだな。
「まあ、その話はおいといて…、財布落としたとか言っていたけど、
帰りはどーするんだ?佐々木さん、バスだろ?」
「ああー大丈夫大丈夫、今日、翔くんと帰ることにしたから。」
「………」
あー、そういうことね…。
場面はダー覇族の故郷:惑星ダーキシス。
「ちっ、やはり父上は僕を次期皇帝とする気ではないのか…!
くそ!ん?GPS反応?兄さんのか!場所は…地球か!
…ふっふっふっ、そうかそうか、まさか、念のためにとさっきの作戦のとき、
作戦の主要メンバーの位置を確認するため密かに仕込んでいたGPSがここで役に立ってこようとは!」
場面は夜の東京。老人に強制的にループされたはずの若者の姿がそこにはあった。
「んんんー。どこだぁーここ?…そうか、親父に何かされたんだっけ。
まーいい、そこの奴らにきいてみるか。おい、そこのチンピラども!
死にたくなければ俺様の質問に答えやがれ。」
「はー、だれだてめーは!初対面でそれはないんじゃないのー!」
なんだこいつらは、覇族の俺に向かって生意気な野郎どもだ。
気に入られねーな、消してやろう。
「ごちゃごちゃうるせー奴だなー、望みどーり死なせてやるよ!
はーー!……なに!…エナジーが使えない…だと…。」
「あっははは!何だこいつ!頭いかれてんのかーよ!調子のってんじゃねーぞ!おら!よっと!」
「うっ……。」
まさか…そんなはずは、この俺がこんなカスどもに一方的に蹴られることしかできないなんて。
しかしこの星ではエナジーが使えないとは…くそ、あのジジイ、面倒なことしやがって。
「おいそこ、何やっている!」
「やベー、サツだ、づらかるぞ」
サツって何だ?それにしてもとりあえず危機は去ったか。これからどうしていくか…。
「君、大丈夫かね。ずいぶんやられていたけど…、
うん、どこも大きなケガは無いね。よかったよかった。
見たところ高校生といった感じだけれど…家はどこかね。
もうこんな時間だし…、送っていこう。」
なんだ、こいつは、この俺に無礼にも気安く話しかけてきやがって。
まーいい、今の俺はこの世界では何もできないのだ。
いまは周りを利用して然るべきときまで耐え忍ぶときだ。
「いくつか質問に答えてもらいたい。実は俺は気付いたらこの場所にいたのだ、
その前は故郷にいたのだがな。とりあえず、
この世界でいきていくための拠点はどのように手に入れればよいのだ?」
まー、ここに追いやった親父に復讐するため、ここを支配するつもりだなんていえないからな。
何よりエナジーが使えないのではどうにもならない。
「それは、家がどこか分からないから、とりあえずは、住むところがほしいってこと?」
「まーそういうことだ」
「困ったなー、記憶がとんでいるってことなのかな…、
とりあえず、私の家についてきなさい。記憶がもどるまで、家にいさせてあげるから。」
何、それはまずいな。他人と同居となると、
ここを支配するという計画がばれてしまうおそれがある。
やはり、ここは1人だけでじっくりと計画を練ることのできる拠点がほしいな。
「いや、見ず知らずの他人のそなたにそこまで迷惑をかけるわけにはいかない。
やはり、自分の力でこの世界を生きぬくことにする。
このご恩は忘れない、感謝する。それでは。」
「でも、この世界ではお金がないと何もできないよ。」
「お金…とは?」
なんだその聞きなれない言葉は。そういえば思ったけど
何で俺は今ままで異民族と会話しても滞らずにスムーズに言葉が通じているんだ?
ま、今はそんなことはどうでもいいが。
「この世界で生きていくには絶対不可欠なものだよ。
知らないってことは、やっぱりもっていないんだよね。
家を手に入れるにも、それなりのお金が必要なんだよ。」
お金だと、もっていないと生きていくのが難しいということは…、
俺の故郷でいうエナジーといったものか!
「もっていないし、使えない…。」
「やっぱり家に来なよ。迷惑だなんて思ってないからさ。」
くそ、ここで生きていくためにはこいつの力を借りるしかないか、仕方がない…。
「では、申し訳ない…。」
「ただいまー。」
「おかえり、あなた…って、え、どうしたのこの子?」
どうやら、男の妻らしいその女は俺を見るとさぞ驚いて言った。
この世界では家のない者を連れ帰るのが普通なのかと思ったが、
やはり、この男がおかしかっただけのようだな。
「実はな拾ってきたって言ったらあれだけど、簡巣にいうと、
家がないらしいからしばらくうちで預かろうってことだよ。」
「急にそんなこといわれても…でも家がないんなら仕方がないわね。
でもうちには余分な部屋はないわよ。どうするの?」
「翔の部屋にすればいいんじゃないかな?
多分年が同じくらいだし、その方が仲良くなれて、お互いにいいんじゃないかな?」
翔って誰だ?俺と同じくらいの年齢ということは…こいつらの息子か。
「でも、翔が嫌がったときはどうするの?」
「そのときに私の部屋に住まわせることにするよ。
翔に無理強いするわけにはいかないからね。」
「そう、ならそうしましょうか。」
「うん、翔いるかい?ちょっと部屋に入らせてもらうよ。」
「何だい、父さん?あれ、その人は?」
「この子は家がないみたいで、うちで預かることになったんだよ。
で、空いている部屋がうちにはないからどこの部屋に住まわせようかと思っていたところ…
年が同じくらいの翔の部屋にすれば仲良くなれていいんじゃないかと思ったんだよ。」
「ヘー、なるほどね。」
部屋に他人が入ってくるのか、少し面倒だな。
まあ、でも、こいつも俺と同じなのだろう…、気持ちは分かる。
「俺は別にいいよ。今日からよろしく、ええと…そういえば名前は何だい?」
「あ、そーいえば聞いていなかったね。」
「俺の名はダー К バイオレーンズだ。よろしく頼む。」
「ダー…?この人は外国人なのか?」
「いやー、私も初耳だったよ。記憶を失っていたようだったが、まさか外国人だったとは。それにしてもいったいこの子はどこから来たんだ…?」




