タイミングは人のテンションを大きく左右する。
「単刀直入にいうとな、あの女、変装したインテリージェンだったんだぜ。」
「あの女って、痴漢されたって叫んでたあの女か?」
「そうだ。」
なんてこった。そういうことだったのか。…まさか、静乃がおかしかったのもそれが原因…?
「とは言っても、何で分かったんだ?」
「ん?あー、インテリージェンの正体のことか?あれね、嫌いだったとはいえ、長い間一緒に暮らしてきたんだぜ。変装してたとしても、あの性格のゲスさは遠目からでも分かるのよっ!それによ、あそこでたとえ人違いだったとしても問題ないだろ。俺はお前と違って社会的組織に属していないからな。全く問題なーし!」
満面の笑みで自信満々に手をグッドマークにしている。
こいつ…考えがメチャクチャすぎるぜ…。まぁ、だがあれが無ければやばかったし結果オーライだな。
「で、最後に、何でその現場にお前がいたんだ?」
ぶっちゃけ、これが一番気になる。家にいるはず、あるいは、家の近くにしか出歩かないはずなのになー。
「んー、それはちょっと言えんなー。ま、そんなことどーでもいーじゃねーか。小さいことー、気にしてるよーじゃー…、大義は果たせんぜー。男は黙って結果だけで語れーや!」
少し困ったような表情、そして片手をふり、ごまかすように言っている。こいつに何か言って不都合なことでもあんのかー? っていうか、最後の一言二言余計じゃね?少し厨ニ要素入っちゃってるぜ、全く。
…ま、いっかー。
「んじゃ、行くぜー、奴をぶっとばしに、お前の彼女もお前も、それでハッピーエンドだろ?」
「うるさいわ!彼女じゃねー、ただの腐れ縁だ、とにかく行くぞ!」
ったく、かっこつけてんじゃねーよ。どや顔で、彼女認定しやがって。
「って、行くってどこに…?」
「ん…、知らん!」
アホだこいつ…、それに一瞬でも便乗した俺もアホだと思うと我ながら情けない。
「ま、とりあえず、あいつが現れるまで待つしかねーな。」
「はあー…」
全く、あんなに燃えてたってのに、しょうもねえー!
「ふっふっふ、待っていたぞ、インテリージェンよ。俺の前に姿をすぐに現すことは分かっていたぞ!」
「結着をつけようか、いや、さっさと殺してやるよ、未来の帝国のためにね…!」
何、こんなに早く奴が俺たちの目の前に現れるとは!…なーんて、そんな訳は断じてない。
そこまで事はうまく運んでいない、つまり!あれから半月後だ。すぐ!では決してない。
バイオレーンズはそんなこと言っているが、奴は自分に酔っているだけだ。
家にずっといたせいでアニメ見まくった結果、とも言うべきか。
まあともかく、ここに至るまでにはそれなりに経緯があったということだ。
全く、あの心が燃えていた時に、あのバスから家に帰ってから間をおかずに奴と対面していれば…、ったく、タイミングもしょーもねー!




