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平穏主義者の活動録  作者: ペーパードライブ
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不穏と和解

 「今日からお前にGPSを常備してもらいたい。」

 「は?」

 バイオレーンズは何を馬鹿なことを、といったような視線を向けてくる。

 なんか少しつらい。だが、そんなくだらないことを気にしている場合ではない。

 

 「お前は常に奴から命を狙われているんだ。

よって出来るだけ一番安全であうう家の中にいてもらうが、

外に出るときはいつ攻撃されるか分かったものではないからな。」

 

 「お前さ…、常に俺がお前から監視されてるのってどんだけ気色悪いか分かってんのか?

それに奴のGPSは俺の服についていて、その服はずっとこの家からは持ち出さない予定だろ?

だったら、あいつから見れば俺はいつも家にいるようにうつるから攻撃したりなんてしないだろ。」

 

 「お前には用心深さというものが足りないな。

確かに、奴のGPSは付いているとすれば、まずまちがいなくお前の着ていた服に付いているだろう。

だが奴は宇宙から来ているんだ、どんな道具を持っているか分からん。」


 しかし、宇宙の文明はどこまで進化しているんだろうか?

 進化しすぎていたら厄介だし、大して地球の文明と変わらないとしたらショックだし、複雑な気分だな…。

 

「よってお前が何と言おうともGPSは常備してもらう。

あ、そうそう、このGPSには1つ機能を追加してあるんだ。

もしお前がピンチの状況になったら、1つボタンがあるだろう?そこを押してくれ。

そうすれば、俺はお前の異変にすぐ気付けるからさ。」


 ふ、ここまですれば簡単にはインテリージェンに出し抜かれることはないだろう。

 奴にはさっさと殺しをあきらめて帰ってほしいものだよ、まったく。

 「ったく…まあ、しょうがない。この間の件では迷惑かけたしな。

次も同じことが起こらないようにするのは当然か。」


 

 インテリージェンの襲撃から一週間が過ぎた。

相変わらず、奴は息をひそめているのか、諦めて帰ったのか…それはないだろうけど、

とりあえず平和に時間は過ぎていく。


 インテリージェンの襲撃のインパクトがあまりにも大きかったため、

忘れてしまっていたかもしれないが、今俺は学校内でも問題を抱えている。

 そう、静乃との問題だ。


 もうこの一週間まともに会話していない。

 

 毎日登下校は一応一緒にしているものの、俺と静乃はほとんどだんまりで、

佐々木さんが1人でべらべらと必死で場を盛り上げようとしゃべっているだけである。


 今まではさすがに一週間も立てば、この溝は自然消滅していたものだが、

今回は長びいてしまっていて正直結構やりづらい。


 静乃も一応は俺の成績についての原因は知っていて、

仕方がないと頭では分かっていると思うのだが、

やはり、心のどこかで納得できないものがあったのだろう。


 それでも今まで我慢していたが、今回でつい爆発してしまったのだろう。

 あいつにしては感情的で涙目にまでなってしまっていた訳だし。


 静乃のことは責められない。そろそろ仲直りしなければ。

 ちなみに今はバスから降りて、佐々木さんとは別れているので、

2人っきりで歩いて帰っている訳だ。ここで話すしかない。


 「あ、あのさ、この間のことなんだけど…、何かごめんな。」

 「…ごめん、って?」


 静乃もこの間のことをかなり気にしているのだろう。

 いつもとは真逆のような態度、

つまり、相手をうかがうような自信のなさげなか細い声で聞いてくる。

 

 だが、それは、普段とは違うということは、

いつになく真剣にこの問題を捉えているということだ。

 弱々しい声の静乃は、いや、いつもと違う弱々しい声だからこそ、

いつも俺に強気でものを言ってくる静乃よりも、

俺にとっては、はるかにプレッシャーを与えているように感じた。


 「い、いや、だから…、力をわざとセーブして、周りから目立たないようにするなんて、

努力しているお前からすれば、むかつく行為だってことは分かってはいたんだ。

でも…、昔のことがまたくり返されると思うと…、

やっぱり目立ちたくないという考えが先走ってしまう。だから…、やっぱり全力は出せない。」


 「そう…、私もこの間は言いすぎたわ。

あなたが全力を出せなくなったのって、あなただけのせいでは無いのにね。

でも、もしあなたが全力を出して他の人があなたを妬んだりするようなら、

私がやめさせるから…、だから、その…、一緒に徐々に改善していきましょう。」


 「お、おう。あ、ありがとう。努力していくことにするわ。」


 仲直りできてよかった…。

 それよりも俺は静乃の素直な優しさに心を打たれた。


 まあ、今回の件でこの問題には根本的に2人で向き合えたと思う。

 これからは自分の気持ちだけを優先させず、

静乃の気持ちも考えて、本気の出せる環境をつくっていこう。

 やはり、女の子を泣かせるなど、人の悲しむことを続けるなんて、俺の人間の理想像にはない。

 

 「じゃあ私はここで、また明日会いましょう。」

 「ああ、また明日な。」


 

 「ほう、あれは翔と親しい仲にある者ですかねー?

邪魔な翔をどうにか排除しようと奴をここ数日外に出ているときは観察していましたが…、

ふっふふふ、なるほどなるほど。どうやらひらめいてしまったようです。

さーて、奴はどんな表情を見せてくれますかねー?!」


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