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THE FINAL:最強の指導者

 スホウはパードラグリフにつかまり、島の中心へと向かっていた。


 あたりは白い霧に包まれ、とても空気が薄かった。風はなく、でもどこかひんやりと寒い。空気は湿っていて、しっとりとした空気がスホウを包み込んでいた。


 しかし、どうやらスホウは{秘境}の位置を把握しているみたいだった。迷うことなくただ一点を目掛けてパードラグリフを誘導している。先に進むごとに彼の表情は険しくなり、そして哀しくなった。


 「ここに来るのは久しぶりだな」


 スホウがそう言った瞬間、あたりの霧は一気に晴れ、そこに大きな草原が現れた。


 そこは山頂が円形にくぼんだようなところで、とても寂しげな雰囲気を醸し出している、スホウの思い出の場所である。そこに生えそむる草は全て青緑色で、草丈は地面を隠すくらい。大きくもなく小さくないくらいだ。


 「いつになっても変わらないな……」

スホウは懐かしそうに言った。パードラグリフから手を離し、草原に降り立つ。そして、眼前で紫色に光る大きなクリスタルに向かい合った。


 クリスタルはいかにも人々の闇を蓄積したような、菖蒲色の蒸気を空に放出していた。そしてそれを守る番人かのように、クリスタルに腰掛ける一人の男がいた。


 「やはりお前がやっていたのか……まさか、こんな形で再開するとはな……」

スホウは哀しそうに呟いた。そして目を閉じる。


 腰掛けていた男は、クリスタルから離れ、スホウに向かって歩き出した。


「久しぶりですね……お父さん」


銀髪で、顔立ちは良く、身体も細い。黒い麻の服に、黒いボロボロのマントを羽織って、腰にはイカツイ形状の剣を掛けていた。切なく寂しい紅い瞳は、彼独特の雰囲気を醸し出す特徴であった。


 「長いこと見ない間にたくましく成長したな」

スホウは微笑んで言う。銀髪の少年は軽く会釈した。

「おかげさまで」


 銀髪の少年は、とても礼儀正しく、堂々としていた。スホウはそれを見て、とても嬉しそうに、でもどこか悲しげに感じていた。


 「お父さんな……寂しかったんだ」

スホウは静かに口を開いた。


「お前がよ、こんな大騒動を引き起こした元凶だって聞いてよ……」


そして険しい顔に戻る。


「心の中から、許せないと思ったんだよ!」


威厳のある声。鋭い目。全てはわが子に対する怒りから来るものであった。



 銀髪の少年は低く笑った。スホウは少年を睨む。


「俺は責任を持ってお前を倒させもらうぜ、ファーロックよ」


修行のときでも、お喋りをしているときでも、怒ったときでも、決して見せなかった心の怒り。スホウは身体から威圧のオーラを出し、銀髪の少年に立ちはだかった。


「いいよ、やってみなよ」


少年はニっと笑って言う。



次の瞬間、スホウは剣を抜いて駆け出した!





今まで誰にも言わず、ずっと隠してきた親子関係。

共に修行をした思い出の場所で、フィアーシル島の未来をかけた最終決戦が幕を開ける。




第二部はここで完結なので、できれば感想・評価等お願いします!

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