CHAPTER31:伝説の大戦争
「リンディアが見えたぞー! ものども! つづけーーーー!!」
ラフェルフォード王国軍兵士長を戦闘にして、群れを成すリンディア魔法国軍に特攻していった。
「ウリャアアアアアアアアアアア!!!」
リンディアが動揺している瞬間に、兵士たちは敵を切り裂く。
「うわああああああああ!」
―――悲鳴、血しぶき、死体
そのとき、リンディアの中から一筋の閃光が放射状に広がり、ラフェルフォード王国軍を一掃した。
「ウフフフフフ! あんまり調子に乗らないことね!」
ラウクは嘲笑した。
「っ!!」
そのとき、頭上から無数の矢の雨が降ってきた。
「うわああああ!」
「ぎゃあああ!」
「ぐがはあ!」
次々に魔法使いが倒れていく。ラウクはそれを紙一重でかわした。
「くっ! 袋のねずみというわけか……」
「「アアアアアアアアアアアアアアア!!」」
すぐ目の前に敵の大群が見える。全員が大声を上げて進行していた。
「さて、血祭りの始まりだ!」
フォローガルの剣が太陽の光を反射したと思えば、敵軍第一線の一角が乱れた。
「うわああああああああああああ!!」
兵士たちは驚いて後ずさる。シズはそのスキを逃さなかった。
「この戦争を通して、恐怖というものを痛感しなさい」
「ぐああああああ!!」
「ああああああああああああ!!」
「シズよ。さすがに援護なしではこれはきついぞ……」
「ええ、いくらなんでも数が多すぎます」
二人の額に汗が吹き出た。しかし、そのときだった。
「うわあ!」
「あああっ!」
「ぐはあ!」
敵兵の胸に、数本の矢が刺さった。二人は咄嗟に振り向く。
空を見ると、何千、いや、何万もの矢の雨がこちらに向かって飛んできていた。
フォローガルは微笑みを浮かべ、セレディーに向かって大声で叫んだ。
「アクスラ機関よ、感謝するぞ!」
「おいおい、なんだあの軍隊は? ……おわっと」
フルクはブラッドグリフに乗る弓兵の攻撃をかわした。
「クソッ、雑魚だと思ってナメやがって!」
そして、フルクは一本の鋭い矢を放った。
「大命中〜!」
思わずご機嫌でそういうが、空を埋め尽くすほどの敵の多さに、彼は笑みを失ってしまった。
「なんだよコレよ……打っても打ってもヘラねえんじゃねえのか?」
「相手が弓ならこちらは魔法だ。さあ、デッドソーサラーたちよ、今こそ君たちの力を見せるときぞ」
ヴィランティアは微笑んで言う。デッドソーサラーたちはラズナ荒野の手前から空に向かって手を挙げた。
「プラットライン」
「プラットライン」
「プラットライン」
デッドソーサラーたちは口々にいい、次々に白い魔法弾が荒野を越えていった。
「おーい! なんか飛んできたぞー!」
「た、隊長! 危ない!」
「あああああああああああああああああ!!!」
しかし、もう遅かった。白い魔法弾は隊長の身体を貫通し、地面さえも粉々に破壊していた。
兵士たちの間にどよめきが走り、後ずさってしまった。
先頭に立っていた下級兵士が勇気を振り絞って叫ぶ。
「おーい! あの白い光には注意しろーーー!!」
「マズイな……やはり数だけは多いか……」
斬っても斬っても一向に減る様子も無い敵軍に、フォローガルは苦しそうな表情を浮かべた。
そして、近づいてきた兵士を切り裂く。
「ああああ!」
兵士の悲鳴。
「というか、いつの間にか囲まれていますね……」
シズは息を切らしながら言った。
敵を切ることに集中して、あまり気にも留めていなかったが、二人は帝国敵軍の軍勢に囲まれていた。
フォローガルはため息をついて言う。
「へっ……そろそろ年貢の納め時というやつか?」
「バカなことは言わないでください。私はまだ死にたくないですよ」
ラフェルフォード城には、もう既にブラッドグリフ部隊が着陸し、敵部隊が進入を始めていた。
「クソ鳥部隊だけでも敵数が多すぎるな」
もう城の中は敵だらけ。城下町も荒れたい放題であった。至るところで死体が見つかり、至るところから悲鳴が聞こえる。その一つ一つが耳に障った。
次から次へとやってくるブラッドグリフ部隊に、フルクとアレイラは焦りを見せ始めていた。
「フルク!」
アレイラはフルクに剣を投げつけた。それはフルクの頬を通り過ぎて背後の敵に突き刺さる。
「センキュー! アレイラ」
フルクはウインクしてアレイラに礼を言った。
「どういたしまして! おっと」
「これでは帝国軍に攻められてばかりだな。よし……暇つぶしにアレを使うか」
ヴィランティアはそう言うと、デッドソーサラーたちの背後から風術系魔法を使い、遥か上空へと飛び上がった。
前方には荒野と、大きな雪山と、敵軍が湧く帝国領土が見えた。雲がすぐ近くある。ヴィランティアは咄嗟に両手を上げ、何かを唱えた。
そしてヴィランティアの手のひらの上に、巨大な丸い光の弾が現れた。
「フフフ、これはプレゼントだ!!」
そして、思い切り腕を振り下ろした。次の瞬間、弾は帝国軍敵勢の中を這いずりまわり、数秒後に何千人を巻き込む超大爆発が巻き起こった。
敵軍の中に大きな穴があいた。ヴィランティアはその場で高らかに笑った。
「あーあ、これを出撃させるなんて、リーダーもやることがエグイんだよな」
青い毛皮の男が言う。
法衣の女は、とても興奮している様子だった。
「ウフフフフフ、世界の破滅が手に取るようにわかるわ! さあ、早く放出しましょう」
そして歯をギラギラ輝かせながら笑う。キラはやれやれと言った感じでそれをなだめた。
「はいはい、慌てない慌てない。……今解放するか―――」
―――バーン!!
「はっ!?」
「あーあ、檻の強度が足りなかったね。血のにおいを嗅ぎつけて暴れだした」
ダークフォースを取り押さえていた檻が、ダークフォース自らの手で打ち破られた。
そして、中からとんでもないほどの数の、黒い魔獣たちがあふれ出してきた。
「まあいいわ。もう放っておきましょう」
ついに、史上最悪にして最強の、ダークフォースが放たれた。
もう場面がグチャグチャです。




