表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/37

CHAPTER26:F・I

 背後で二発目の大爆発が巻き起こった。爆風の影響で、スカイボードはさらに加速する。


 ミクレスは女性に襟を掴まれているだけで、殆ど宙に浮いている状態だった。

 

 眼下には荒野が広がり、すぐ上には白い雲がある。それだけでかなりの上空を飛んでいるのだということが分かったし、それに高所のせいで恐怖を覚えた。


 女性は爆心地からある程度離れた後、スカイボードを空中で止めた。

「なんとか逃げ切れたわね……対人戦で久々に焦らされたわ」

そういうと、ミクレスをボードの後尾に乗せる。ミクレスはふうっと息をついた。

「あの女はシノビとかいうものらしい。俺も正直ビックリしたよ、あんな女がいるなんてな」


 女性は何かを押したのか、ボードは急に超低速で前進し始めた。女性はボードに腰を下ろし、ミクレスの隣に座った。

 「シノビか……いわゆる忍者ってやつね。……まあそりゃ勝てませんわ」


 ミクレスは女性にチラっと視線を移した。

「そういえばさ、見たことも無い武器使ってたけど、あんた何者?」


 見たことも無い武器。主に飛び道具で、バンバンと音が鳴るものや、望遠鏡のようなもの、タマゴ型の爆弾など、どれもこれもこの時代には存在しないものばかりだ。しかも、あれほどの高威力なら気になるのも仕方ない。


 「私はF・Iエフアイ。ちなみに、この武器は拳銃って言って、引き金を引くと弾丸を発射する、この時代で言う飛び道具の最上級ってところかしら。んで、こっちはバズーカ砲。そこらへんの物体なら一瞬でオシャカよ。あと、この球形の玉は手榴弾といって、糸を引いた数秒後に爆発する仕組みになってる時限爆弾みたいなものよ」

女性は武器を見せながら説明をした。やっぱり、どれもこれも見たことが無い。

「そんなもんどこから持ってきたんだよ? 少なくとも、今まで見たこと無いぞ?」


 ミクレスは女性から拳銃と呼ばれるものを受け取り、興味深そうに見つめた。

「そんなの当たり前じゃない」

女性は言う。ミクレスは引き金に指を当て、カチっと押した。


 バンと音が鳴り、びっくりして拳銃を落としそうになった。咄嗟に掴み、すぐに女性に返す。

「どういうことだよ?」

ミクレスは話を戻した。


 「まぁ後で教えてあげる」

女性はウインクをした。そして、気をつけながら立ち上がる。

「ちょっとそのへんの高台に降りましょう」


 そして女性はミクレスに手を差し伸べた。ミクレスはそれを掴み、引き起こされた。

「しっかりつかまってなさい」

そう言うと、女性はそこに堂々と立った。しかし、ミクレスは遠慮がちに肩をつかむ。


 「何やってるのよ? 下手すれば荒野に真っ逆さまよ? しがみついときなさいよ」


 そうは言われても、女にしがみつくなんて簡単にできることじゃない。というか、初対面の女性に身体を寄せるなんてこと自体ミクレスにとっては有り得ないことだった。


 「あー、もしかして……」

女性はニターっと笑って振り向く。そして、ミクレスの目を変な目で見つめて呟いた。

「いやらしいこと考えてるんじゃないの〜?」


 ミクレスは赤くなる。

「バッバカヤロ! いやらしいことにならないように遠慮してんだよ!」

そして舌打ちをした。女性はご機嫌で前を向いてこう言った。

「大丈夫大丈夫! 男に触られる訓練ならちゃ〜んと受けてるよ!」


 どんなことを言われても、ミクレスはしがみつくつもりはない。そんな頑固なミクレスに、女性は荒業をとることにした。

「もうっ! ほんとシャイな子ね」

女性は超低速で前進するボードを止め、その一瞬、高速でバックさせた。


「うわああ!」

ミクレスの身体は前に吹っ飛んだ。そして、女性の身体にぶち当たる。女性は視線をミクレスにやってこう言った。

「ふふ、慣性ってこんなとき便利よね!」

 

 そして、女性はボードの前進スイッチを踏んだ。次の瞬間、ボードは高速で前へ進む。次に下降スイッチを押し、ボードは下降前進状態になった。


 「さあ! 降りるわよ!」

ミクレスは女性から離れ、合図とともにその場に飛び降りた。ボードもそのすぐ前で停止する。


 そこは、荒野の高台に出来た大きな円形状の広場だった。高台は円柱で、荒野から垂直に立っている。それが見渡す限り広がっており、とても険しい様子だった。実はミクレスも、こんな荒野にやってきたのは初めてで、自然によってこんなに巨大な石の塔ができるのかと思うと驚かされた。


「どこだよ……ここ」

ミクレスは高台の下を見下ろして呟いた。女性は背後から答える。

「ここは天なる峡谷ヘブンズキャニオン。この時代では、ラズナ荒野と呼ばれているわ」

「え……? この時代って?」

ミクレスは、彼女が何を言ったのか理解できなかった。


 ミクレスは振り向き、女性を見つめる。

「どういうことだよ?」

低く少し怖さを感じさせる声だ。


「あーごめんごめん。さっきも言おうとしたんだけど……」

女性は苦笑いを浮かべて頭をかいた。


「あたしね、未来からこの時代にやってきたの」


「……?」


「あはは、やっぱりわかんないか。じゃ、一から説明するね」




さぁーてまた謎がやってまいりました!

次回はF・Iの真実に迫ります。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ