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THE FINAL:破滅の兆候

――――ミクレスたちは解散し、それぞれの目的地へと向かっていた。


ラミネはミクレスと、ラブレイズ本部あたりまで同行することになった。

彼女にとっては少しばかり遠回りであったが、それでも仲間と一緒にいれるほうがよかった。


二人はセレディー大雪山沿いをひたすら西へと歩き続けた。

アクスラ機関とラブレイズ本部はそう遠くはないため、

一日もあれば到着するだろうと予測された。


旅の途中、ミクレスは歩きながら呟いた。

「ランツばあさんの家に行くといい。スホウはよくばあさんの家を訪れているからな」


「わかった」ラミネは答える。



もしスホウのもとで修行をすることが決まれば、当分の間は会えなくなるだろう。

そうなれば、ラミネはきっと寂しくなるだろうと思い、

ミクレスは時々彼女に連絡を入れることを約束した。




二人はそれからラブレイズ本部に着くまでの間、会話を交わすことはなかった。

というよりも、何を話していいのかわからなかったのだ。



そんなことをしているうちに、やがて二人はラブレイズ本部入り口の巨木まで来てしまっていた。


ミクレスは木の入り口を押し開け、ラミネは隣からそれを見つめていた。


「ラミネ」

ミクレスは振り向いた。ラミネはミクレスと目を合わす。

「頑張れよ。スホウの修行はきついぞ」

そういって、ニッと笑顔を見せた。


そして、ミクレスは本部の入り口へと入り込もうとした。


そのときラミネは待ってと叫んだ。

もう片足を木の中に突っ込んでいたミクレスは、首だけをラミネに向ける。

「どうした?」


ラミネは黙っていた。しばらく待っていたミクレスが、

何もないのかと思い、また中へと入ろうとしたときだった。


ラミネは小さな声でこう呟いた。


「ありがとう」


消えそうなほど小さな、でも、優しさに満ちた言葉だった。


「え?」


ミクレスは突然だったため、何に対してありがとうなのかよく理解できなかった。


「私が崖から落ちそうになったとき、助けてくれたじゃない」


「ああ、あれのことか。・・・まあ別に気にしてないけどな」


ミクレスは照れくさそうに曖昧な返事をした。

彼は思わず目を逸らし、遠くを見つめながら呟いた。


「じゃあな」


二人の髪が風に揺れる。ラミネは少し微笑みを浮かべた。


「うん、またね」





ミクレスは真っ暗な階段を、手で壁を追いながら下りていった。


ラミネとも別れ、また一人の旅が始まる。

結果を報告すれば、また次の任務が自身を待ち受けている。

しかし、何故か彼は今、清々しい気分でいっぱいだった。


やがて、階段も中間くらいまでやってきた。

そのとき彼は何か不思議な煙たさを感じ、咄嗟に鼻を手で覆った。


(なんだこれは・・・)


その煙は地下都市ほんぶから流れてきたものだと察せられた。

奥にいくほど生ぬるい空気が肌に触れる。


やがて小さな光が見え、出口が見えた。



そのとき彼は、まるで浸透していくかのようなじんまりとした不安に駆られた。


(まさか・・・)


ミクレスは咄嗟に階段を駆け下りた。

階段を抜けたとき、いつもは強い光を浴びて思わず目を瞑るのだが、

今回ばかりはそんな暢気なことができる状況ではなかった。


「なんだよ、これ・・・」


立ち込める煙の中、そこでミクレスが目にしたものとは・・・・




――――本部、崩壊。


読み終えた方は、「MESSAGE 作者より」をお読みください。


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