CHAPTER18:別れ際の言葉
ミクレスたちはガムラスに、雪山の魔物を退治し、
見事任務を全うしたことを報告した。
ある意味彼の敵討ちという形になったため、
彼はとても感心したように誉め讃えてくれた。
アレイラの王国軍服は血に染まっていたため、ガムラスはローブを彼女に与えることにした。
そして、何から何までお世話になった彼に、ミクレスたちは深く礼をした。
また、アクスラ機関にいると、アクスラ機関に属している弓兵たちに睨まれたり
警戒されたりするため、翌日の朝、すぐに出発することに決まった。
ちょうどそのとき王国軍から大量の食料が届いたところだった。
彼らは持てるだけ食料を確保した後、
任務完了の言葉を綴ってキャリナーに運ばせることにした。
「いやー、一段落済ませると気持ちがいいな」
フルクが何気なく言った言葉だった。それには三人も同感だった。
任務の内容が内容だけに、終わったときの達成感はこの上ない。
そして出発のときがきた。
彼らはガムラスに別れを告げた後、朝早々にセレディーを後にするのであった。
たった数日しか経っていなかったが、彼らにはアクスラ機関への洞窟は
とても懐かしいものに感じられた。
というのは、この数日に起こったことがあまりにも長く感じられたことに他ならない。
彼らはこの任務を通して、セレディー大雪山の偉大さを痛感したとともに、
人間としての尊さや、仲間の大切さを強く学んだのであった。
洞窟を抜けた。来たときはひんやりと冷たかった空気が、今ではそうでもない。
前方には遥かなる草原が広がり、果てしなく続いていた。
そのとき、空の上から青い影が急降下してくるのを捉えた。
「ラフィーネ!」
ミクレスは叫んだ。ラフィーネはミクレスの肩に止まり、ピピっと嬉しそうに鳴いた。
リュット系の鳥は寒さが苦手だ。そのため今回の任務には殆ど参加することはなかったが、
今こうして久々に戻ってきてくれたのだ。
ミクレスは小さな頭を撫ででから、酸性角砂糖を食べさせてやった。
その様子を見つめながら、フルクは言った。
「それ、リュットか?」
「ああ」
「へえ、リュットをキャリナーにするヤツは初めて見たよ」
フルクは感心した。
そして、ミクレスの肩をつつくラフィーネを見て思わず笑顔を見せた。
「俺たちは城へと戻るが、お前たちはどうするんだ?」
フルクはラミネとミクレスを交互に見て聞いた。
「俺は本部に帰還して、総隊長に今回の件のことを直接報告するよ」と、ミクレス。
「そうか。ラミネは?」
「私はスホウさんっていう人のところで修行をさせてもらおうと思ってるの」
それは、フルクにではなくミクレスに対して言っている言葉であった。
ミクレスは咄嗟に叫んだ。
「スホウ!? やめとけ。あいつは頭痛いから、何言われるかわかんないぞ。
それに、お前は剣士志願じゃないだろ?」
「そうだけど、私は行く」
ラミネはしっかりとした目でミクレスを見つめた。
ミクレスはその目をじっと見つめた後、認めたように二度頷いた。
「じゃ、俺らはここでお別れだな」
フルクは呟いた。
ラミネとアレイラは少し寂しげに頷いた。
「でも、きっとまた会えるよ」
アレイラは明るく微笑んで言った。
「ああ、どうせまたいつか、一緒になることはあるだろうな」
フルクも別れ際の寂しそうな表情を浮かべて言う。
「俺はもう二度とごめんだけどな」
ミクレスはわざとらしく呆れたように言った。
「また会おう! 約束ね!」
ラミネはいっぱいの笑顔を見せて言った。
四人は別れの挨拶を済ませ、それぞれの道へと歩みだした。
ふあふあ。