はじめに
はじめに
僕は、しがない不動産会社の営業マン。
特に秀でた才能はないし、営業成績もそこそこ。
唯一の才能は生まれてこのかた、お金には縁がないことぐらいである。
「印税収入でうはうはですよ。」
テレビ番組で、よくわからない小説家みたいな人が言っていた。
僕は、これだと思った。
文章力には自信があると思っていた。
さっそく何か書いて『うはうは』してやろうと思ったが、全くアイディアが浮かばない。
自分のボキャブラリーの少なさが切なく思えた。
現実はなかなかうまくいかないんだと改めて感じた。
『うはうは』が諦めきれない僕は、ない頭を
回していろいろストーリーを考えてみたけれど、どれも薄っぺらいサスペンスや恋愛ものばかりだった。
読み返すと、サスペンスは犯人が冒頭で分かってしまうし、恋愛ものに関しては筆者である僕が鳥肌立つほどのレベルだった。
プロローグからベッドシーンは画期的だと思ったが、ねっとり描写しすぎて気持ちが悪かった。
完全に小説家への夢は暗礁に乗り上げていた。
いろいろ考えていくうちに思った。
「こんな薄っぺらいストーリーを考えるならば、自分の半生を書いた方がよっぽど面白いんじゃないか。」
こうして、今に至っている。
ただ、実名など使える度胸も勇気も僕にはない。
きっと中途半端なものになるかもしれないが、名前以外は全てノンフィクションで書いていきたいと思う。
最初は、『うはうは』目的の動機が不純なつもりでいたが、今はなんとなく一端の作家のつもりでいる。
自己満足のマスターベーションな話になるかもしれないが、最後まで書き切ってみる。
さて、この話は筆者である僕自身の話。