表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人は巡りて

作者: 七草せり

生ある物はいずれその命を全うし、此の世から無くなる。

人間にせよ、動物にせよ……。


人の死は突然で、考えもしない内に果ててしまう。

「寿命」というものだろう。


ある程度の覚悟や準備なくして去る場合、その言葉さえ遺された者は受け入れられない。


昨日まで、一週間前まで元気で生きていた人が、突然に此の世を去ってしまった時程、周りの人間は尚更受け入れ難く、途方に暮れる。

けれど人は巡りてまた此の世で生きる。

運命に従い。

何の前触れもなく突然死を迎えたとしても、巡り巡ってまた此の世に誕生する。

どんな人生を送るかは分からないけれど。

人はそうやって歴史を紡ぐ。命を繋ぐ。


母が突然他界した。本当に突然に。

一週間前、御墓参りに一緒に出かけた。

けれど数日後、体調を崩し入院。

いつもの入院で、暫くすれば帰宅できると思っていたし、医師の説明もそうだった。


……なのに。


母は無言で帰宅した。「ただいま」 もなしに。


生き絶える母を目の当たりにした時、母の靴を胸に抱き、私は叫んだ。


「この靴を履いて帰るんでしょ! 何でそこで寝ているの⁈」


無駄な言葉だと分かっていたけれど、余りに突然の出来事に受け入れられないと。


けれど暫くたち、少しずつ現実になってきた時に、「人は巡りてまた此の世に生まれる」

ゆっくりとそう考えた。


生あるものは天に還り、また生まれる。


流した涙は故人を偲び、笑った分だけ思い出す。

巡り巡りてまた会える日まで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 私も一昨年母を亡くしました。我が家は徐々に状態が悪くなり、これ以上は本人が辛かろうと納得したような見送りとなりました。それでも親に逝かれること、特に母に逝かれたことは堪えました。 亡きお母様…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ