表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

別世界(祭り作)

作者: 桜忠丸



久しぶりに外に出たら、まるで蜂の巣を突いたような騒ぎだった。

「外周第一壁突破されました!!迎撃部隊第一、第二応答無し!!」

「迎撃部隊第三、救援申請!!」

「迎撃部隊第四、準備できました!!」


近くにいた連中に話を聞く。

「一体こりゃ何の騒ぎだ?」

「外周第一壁が鬼の進行で潰されたんだよ!!しかも同時に護鬼教もテロを始めててんてこ舞なんだ!!」

「そりゃ大変だ」

肩を竦める、おどけるような仕草に一瞬ムッとした様子のその従業員も、仕事があるらしくすぐに走っていった。


「まさかまた護鬼教の仕業か?」

まぁ、考えていても仕方がない。

久し振りにあのバカに会いに行くか。






「この世界は、遥か昔に鬼に一度滅ぼされかけた。その時、誰が何をした?アンドリュー」

「当時希少であった金と鉄の合金を使い、シルブレット・スクリーアが鬼に対して有効な武器を作りました」

「正解だ。ではなぜシルブレットは金と鉄の合金が鬼に有効だと気が付いた?キャシー」

「えぇと……。確か金のアクセサリーを着けた人と鉄のアクセサリーを着けた人が襲われなかったから?」

「語尾が気になるが正解だ」

ピリリリリリリリリ…。

「失礼」

教授は携帯を取り出した。

「私だ。どうした?……何?分かった」

「学徒よ、今、外周第一壁が鬼によって破壊された。一度寮に戻りなさい」

その言葉で一気に騒ぎだす教室。

「あぁーうるさいうるさい。そら、さっさと行く!!」








「おい、武章(タケアキ)!!どうなってんだこれ!?」

「おぅふ!!」

あ、やべ、タックルしちゃった。

涼成(スズナリ)…。痛ぇよ」

「わりぃわりぃ。んで?」

「お前も知ってるだろ、鬼が来たんだよ」

「オッケー。おまえが言うんだ、間違いない。俺の武器はどこだ?」

「俺の部屋だ。ロックして「おまえの部屋だな!?サンキュー!!」あるんだが……」

武章の部屋だな。

よっしゃ、行くぜ。






「……で、言うことは?」

「悪かった」

鍵がかかっていたので、壊したら怒られた。

おまえそんなこと言ってねぇだろ!!

「……はぁ。まずいいや、おまえの給金で賄うから。さっさといけ」

「わかってるよ!!」


飛び出す。





「外に出る。全員を非難させろ」

「わかりました!!」

耳元の無線のチャンネルをオープンにしたのだろう。

そのまま、口元のマイクに話す受付。

「殲滅第一隊長、向井涼成が出ます。非難してください」


「よし、俺は後出るぜ?」

「御武運を」








「くそったれ、何だこいつは!?」

「あの隊長が来るまで持ち堪えりゃあ何とかなるだろ、来るぞ!!」

『ゴァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』





それは、龍の形をしていた。


それは、角を持たなかった。


それは、人を喰わなかった。


しかしそれは、全てを壊した。






「おい、おまえら、大丈夫か?」


「…つ……あ?殲滅第一隊長?」

「あぁ、さっさと外周第二壁内にはいって護鬼教の制圧に回ってくれ」

「わ…かった」


全員が外周第二壁の中に入ったのを確認して、向き合う。


『ゴァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァァァァァァ』

「おうおうおう、やる気だなぁ」

散弾銃を構える。

「ただまぁ、まともにやりあうわきゃないけど、な」

引き金を引く。

即座に反転、近くの廃屋に身を潜める。









くそっ。

どんだけ生命力あんだよ!!

ポーチの残弾を確認……後10発。

装填中なのも合わせて28発か。


にしても…。

なんで角がないんだ?


ピリリリリリリリリ。


!!

ざっけんな!!


「こなくそ!!」

走りだす。

龍が此方に向かってくる。

引き付けて、引き付けて…。


すれ違う。

同時に三度引き金を引く。

ようやく、一息つける。

「なんだよ!?」

『すまない、そいつが最後だ。やはり此方で鬼繰師がいた。そいつも捕えたからさっさと戻ってこい』



どうやら、さっき助けた奴らが上手くやったらしい。


「なら、こっちも頑張んなきゃな」

ボッ。

煙草に火をつけ、口に咥える。


「来いよ、龍」










先程の突進で幾つかの廃屋に火が回ったらしい。


ひどく蒸し暑い。


残弾は残り三発。

どちらも満身創痍。


『グァァァァァ』

言葉は伝わらない筈なのに、俺にはそいつが『これで終わらせる』と言っているように聞こえた。

「オーライ。次で終わりだな」

何本目になるかもわからない煙草に火をつける。




『ゴァァァァァァアァァァァァァァァァァァァ』







「――い、おい、涼成!!涼成!!」

「……うっせぇ」

目を開けると、そこには武章の顔が。

「そこは美女だろう……!!」

「知るか!!んな冗談言えるなら大丈夫だな。すまない、運んでくれ!!」



どうやら担架に載せられているらしい。


横になって見れば、龍の死骸が。



背景の街並みでは、廃屋からあがっていた、燃え尽きようとしている炎が、幾筋の煙に変わろうとしていた。

規定の言葉を変えましたがこれくらいなら許容範囲だよね?


ダメなら連絡下さい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 飛び道具の使い方がかっこいい・・・実は武器好きですか? いや、他作も武器の描写が印象的だから・・・ 楽しませてもらいました。ゴチソウサマです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ