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第6話:初めてのダンジョン攻略

工房『小さな巨人』の初仕事は、素材の現地調達(狩り)である。  向かったのは、街から少し離れた『赤鉄の廃坑』。  かつては鉄が採れたが、今は硬い甲殻を持つ魔獣「アイアン・スパイダー」や、動く岩「ロック・ゴーレム」の巣窟となっている場所だ。


「うわぁ……ジメジメしてますわ。私の肌にカビが生えたらどうしてくれますの?」


 入り口に立つなり、リナが露骨に嫌な顔をした。  彼女はなぜか、フリルのついた作業着に日傘という、ピクニックのような格好だ。


「文句を言うな。お主が『虹色の塗料が欲しい』などと贅沢を言うから、その原料になる鉱石を取りに来たんじゃろうが」


 わしは特製のリュック(体格に合わせて調整済み)を背負い直す。  中身は空っぽだが、これからお宝で満杯になる予定だ。


「よし、陣形を確認するぞ。バードが前衛。わしとミヤが中衛。リナは後衛で灯り係じゃ」


「了解だ、親方!」 「あいよー」 「灯り係……。まあ、主役(私)を照らすスポットライトと思えば悪くありませんわね」


          ***


 廃坑の中は、予想通り魔獣の気配で満ちていた。  カサカサ、という不快な足音が響く。


「出たな。アイアン・スパイダーじゃ」


 暗闇から現れたのは、牛ほどの大きさがある巨大蜘蛛。  その体は鋼鉄のような殻で覆われており、普通の剣では刃が立たない。


「ヒッ、気持ち悪っ! 脚が多すぎますわ!」 「金貨3枚分の甲羅だよ! バード、傷つけずに倒して!」


 リナとミヤが勝手なことを叫ぶ。  バードが前に出た。


「任せろ……! 親方に貰ったこの腕、試させてもらうぜ!」


 蜘蛛が飛びかかってくる。  鋭い前足が、バードの顔面を狙って突き出された。


 だが、バードは避けなかった。  左手の剣で受け流すと同時に、右の義手を真っ直ぐに突き出したのだ。


「オラァッ!!」


 ドゴォッ!!


 鈍い音が洞窟内に反響した。  バードの拳が、蜘蛛の鋼鉄の頭部を真正面から粉砕していた。  まるで豆腐を殴ったかのように、硬い殻がひしゃげ、蜘蛛は一撃で吹き飛んで壁に激突した。


「す、すげぇ……!」


 バード自身が驚いて自分の手を見ている。


「前の腕なら手首が折れてたぞ、今の。衝撃が全然こねぇ!」


「当然じゃ。その義手には『衝撃拡散』のルーンを仕込んである。戦車の砲弾を素手で殴っても平気な設計じゃ」


 わしは鼻を鳴らした。  だが、感心してばかりもいられない。


「次が来るぞ! 右、ゴーレム2体!」


 地面が隆起し、岩の怪物が現れる。  物理攻撃が効きにくい相手だ。


「親方、硬いのは苦手だぞ!」 「馬鹿者、力任せに殴るな! よく見ろ、左膝の関節に亀裂がある!」


 わしは瞬時にゴーレムの構造的な弱点ウィークポイントを見抜いた。  200年の経験値が、敵の重心、素材の脆い部分を赤く光らせて教えてくれる。


「バード、その亀裂に指をねじ込んで『振動』の魔法陣スイッチを入れろ!」


「おうっ!」


 バードはゴーレムの豪腕を義手で受け止めると(カンッ!と高い音がした)、懐に潜り込み、膝の亀裂に金属の指を突き刺した。


「ここかぁッ!」


 カチッ。  義手の指先から、超高速の微振動が発生する。  共振破壊。  岩石の結合を内部から崩壊させる、対物質用の必殺技だ。


 ズズズ……ボロッ!


 一瞬でゴーレムの膝が砂のように崩れ落ちた。  バランスを崩して倒れ込む巨体。  その頭を、バードが踏みつけにして粉砕した。


「楽勝じゃな」


 わしは満足げに頷いた。  バードの戦闘センスは悪くない。わしの指示ナビゲートがあれば、Sランク冒険者とも渡り合えるだろう。


「……親方、あの」


 戦闘が終わると、リナがおずおずと手を挙げた。


「なんですの、今の戦い方は。野蛮すぎますわ。もっとこう、エレガントに戦えませんの?」


「勝てばいいんじゃよ、勝てば」


「美しくありません! ……ですが、あの蜘蛛の糸、シルクのような光沢ですわね。ドレスの刺繍に使えそうですわ」


「はいはい、回収回収ー!」


 ミヤがナイフ片手に蜘蛛の解体を始める。  わしはゴーレムの残骸から、動力源である魔石と、レアメタルの鉱脈を採掘する。


「バード、その岩をどかせ。奥にミスリルの原石がある匂いがする」 「へいへい。……たく、便利な体になったもんだ」


 バードは嬉しそうに岩を持ち上げる。  重労働も戦闘もこなす最強の相棒だ。


 結局、その日はリュックに入り切らないほどの戦利品を得て帰還した。    夕食の席。  ミヤが計算機を叩きながら叫んだ。


「すごいよ親方! 今日の稼ぎだけで、普通の傭兵団の一ヶ月分はあるよ!」 「ふん、まあまあの成果じゃな」


 わしはスープを啜りながら、心地よい疲労感に浸っていた。  仲間と

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