けっして酔っぱらってはいけない部屋
貧しさに、世間に負けて丸坊主。
後は野となれ山となれ。
芒の山と空の月。
黒い坊主が丸儲け。
これが飲まずにいられるかい。
菊花に盃、実に結構。
一杯やらずにいられるかい。
九に九が重なる苦肉の皮肉。
重陽の月は幸か不幸か。
死んで花実が咲くものかい。
さくら恋しく歌い出す。
矢でも鉄砲でも持ってこい。
貧しさを笑う世間の荒波。
黒い坊主が丸儲け。
菊花を前に盃を呷る。
やがて廻りくる運命の時。
シカトの利かぬ神無き月。
鬼は来たりて雨風を呼ぶ。
死期は至りて師を走らせる。
これが飲まずにいられるかい。
酒が回ってきたようだ。
酔いを醒ましに斎場を出る。
外は雨。
風は戦ぎて柳は揺れる。
よろめいた私。
そして気づけば──。
月の夜に坊主の読経の声が静かに響く。
寂しげに菊の花が咲う。
今夜彼らは私を肴に酒を飲むようだ。
今年の重陽の節句9月9日は赤口だったようです。
赤口とは六曜の一つで、仏滅に次いで縁起の悪いとされる凶日とされており、「赤」という字が血や火事を「口」という字が争い事を連想させるということらしいです。
本作品はそんな日のお通夜での飲み過ぎが禍した主人公が、弔う側から弔われる側になったというオチでした。
まあ、あれだけ戯れ言を並べていたのだからバチも当たろうということで。(笑)
なお、ネタ元の花札は意外にも実際の季節感とは違いがあるようです。雨なんて明らかに11月のイメージじゃないですしね。




