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Chapter 67: Cage of the beast

カイトは最も近い触手へと飛びかかった。口元にかすかな笑みが浮かぶ。

一瞬、それは完璧な一撃に見えた——だが次の瞬間、彼は触手を蹴り、さらに加速してゲンキへと突進した。


ゲンキの目が見開かれる。ほんの一瞬だけ、カイトが正気に戻ったと思ってしまった。だが違う——防がなければ。

彼は身を低くし、頭上をカイトが駆け抜けるのをかわした。


カイトは別の触手に跳ね返り、再び彼に向かって突っ込む。

レイカが障壁を張るが、今度はカイトがそのまま弾かれて戻ってきた。

セイジの触手が空中のカイトを絡め取り、そのまま武器のように投げつける。


障壁は無意味だった。防げばセイジがカイトを投げつけ、

防がなければ、カイトが自力で跳ね回る。


レイカはゲンキの背後に浮かび、苦い表情を浮かべた。

「くそっ! どうすれば勝てるのよ!?」


ゲンキは桟橋から離れて走るが、二本の巨大な触手が目前に叩きつけられ、退路を塞いだ。

彼は跳躍した——だがカイトが上空で待ち構えており、再び衝突する。


「ぐっ……!」

ゲンキは力を込めて押し返す。

「こんな強さ、前はなかったはずだ! 魔術師と互角だなんて——どうなってる!?」


カイトは容赦なく攻め立てる。

その横で、複数の触手がゲンキに狙いを定め、粘つく糸を放った。

レイカが障壁を張り、攻撃を防ぐ——


——だがその下から、水面を裂いて無数のエイの尾が飛び出し、螺旋を描いてゲンキへと迫る。


彼は後方宙返りでかわすが、今度は触手から無数の棘が雨のように降り注いだ。

咄嗟に氷壁を作り出し、嵐のような攻撃を防ぐ——だが背後から迫る針の一撃に気づくのが遅れた。


鋭い尾が、彼の脇腹を貫いた。


「ゲンキ!!」レイカが叫び、彼のもとへ飛び込む。


ゲンキは歯を食いしばり、尾を引き抜く。

レイカの手が光り、傷口がじわりと塞がっていく。


彼の頭の中で、戦いの記憶が駆け巡る。

以前の技を使えば勝てるかもしれない——だが時間がかかる。カイトを傷つける危険もある。

封印術……それも時間が必要だ。


氷、水、雷、霊術……どれも足りない。


新しい力が必要だった。


そして思い出す。リョウが最後に教えてくれたこと——

封印を解く方法。


繊細な魔術構造の解体を思い描きながら、掌に封印を呼び出す。

雪の結晶に翼をあしらった紋章。それがゆっくりとほどけていく。


「まさかお前を解く日が来るとはな……だが今は、非常時だ。」


解けた封印から吹雪が噴き出し、轟音とともにカイトを飲み込んだ。

氷の嵐が唸り、周囲を白で覆いつくす。


「終わりだ、オカザキ。」


ゲンキの掌から、小さな鳥が飛び出した——腕ほどの大きさ。

純白の羽、漆黒の嘴。

その目がゲンキを見据える。鋭く、そしてどこか確かめるように。


ゲンキは微笑んだ。

「久しぶりだな……テテパレ・ホワイトアイ。」

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