第4章:魂の目覚め
ゲンキは通りを駆け抜け、彼女につながるかもしれない手掛かりのわずかな気配を追い求めた。しかし、何もなかった。細い路地に飛び込み、廃工場を突っ切り、来月取り壊される薄気味悪い廃病院にまで忍び込んだ。それでも、何も得られなかった。
希望が薄れ始めたとき、必死の思いが閃いた。ゲンキは決意とともに、これまでにない速さで走り出した。腿は燃えるように熱く、肺は悲鳴を上げながら、駅にたどり着くまで走り続けた。
そこに彼女がいた。レイカだ。全身を縛られ、口にガムテープを貼られ、血まみれで打撲傷だらけだった。激怒していた。
彼女は泣きもせず、助けを求めもしなかった。まるで今にも誰かを殺しそうな凄まじい形相だった。
普段は冷静沈着なゲンキの中で、原始的な何かが弾けた。今日は考えるより行動するときだ。敵は5人、いい。分散させるほどの数ではない。慎重に――ゆっくり――行動すれば、何とか近づくことができるかもしれない。
「カチッ」。背後で銃がコッキングされる音がして、ゲンキは夢想から現実に引き戻された。6人だった。
ゲンキは振り返った――間に合わなかった。胸にトラックが突っ込んできたような衝撃を受けた。防弾チョッキが命を救ったが、体の内側で何かが確実に砕けた。彼は低い姿勢に身を落とし、背後から銃を撃った男を睨みつけた。その眼差しには、ゲンキ自身でも知らなかった激しい怒りが宿っていた。
そして蹴った。叔父との護身術の稽古で教わった通り、鋭い蹴りを男の手首に見舞った。彼はバネのように跳ね上がり、男に組みついて全身の力を込めて銃を構える腕をねじり上げた。
不気味ではあったが、どこか満足感を伴う骨折音がこだまし、男の腕は力なく垂れた。
最初の銃声で既に大きな音が鳴った。他の者たちが迫ってくる。ゲンキには考える暇はなかった。アドレナリンのおかげで痛みは鈍く感じるが、それも長くは続かない。
彼は走った。列車の車両に向かってまっすぐ――実際はジグザグに、遮蔽物を盾にしながら、教わった通りに走った。銃弾が飛び交う中、彼は顔を守るために腕を上げた。しかし、それでは防弾にならないと分かっていた。だが、構わなかった。
また撃たれた。右肩だ。彼は叫び声を上げたが、それでも走り続けた。
さらにもう一発。腹部に命中した。防弾チョッキが弾を受け止めたが、その衝撃で彼は息を呑んだ。
それでも彼は距離を縮めた。そしてその中の一人に飛びかかり、男を盾にして他の者たちの動きを一瞬止めた。しかし目の前にいた男も銃を手にしていた。至近距離では、避けようがなかった。
男が銃を撃った。しかし、世界は……砕け散った。
一瞬、彼にはガラスの破片が空中を漂い、キラキラと消えていくのが見えたような気がした。銃弾は後方の地面に命中した。彼は無傷だった。そのことに彼は疑問を抱かなかった。
彼は両拳を男の顎に突き上げた。一方の腕で反対側の腕を押さえ込み、さらに大きな力を加えた。骨が砕ける音が響き、その音すらも満足感を伴って聞こえた。
あとはもう記憶が霞んでいた。銃声。悲鳴。目眩くばかりの動き。
埃が静まった頃、彼は立っていた。血にまみれ、傷だらけで、かろうじて体を支えているような状態だった。
彼の周りには6人の男が倒れていた。気絶しているかもしれない。もっとひどい状態かもしれない。彼にはわからなかったし、確かめようとも思わなかった。
最後に彼の耳に届いたのは、サイレンの音と階段を駆け下りてくる靴音の轟きだった。意識は闇に沈んでいった。