第39章 テテパレ島
ゲンキとレイカはボートを降りて、島の苔むした岸辺に足を踏み出した。遠くで聞こえる嵐の轟音が、静謐な自然の音――鳥のさえずり、葉のこすれる音、打ち寄せる波の音――をかき消していた。島の中心部で荒れ狂う嵐のせいで、周囲の音がわずかにかき消されている。
ゲンキは肩に掛けた荷物の詰まったバッグの位置を直し、地図を広げた。地図の端が風にひらひらと揺れる。「よし」彼は島の細い端の近くを指さした。「俺たちはここに上陸した。島はかなり大きいが、この辺りは細いから、急げば数時間で中心部に辿り着けるだろう。」
ゲンキが鬱蒼とした下草の中に最初の数歩を踏み出す間、レイカは楽々とそのそばを浮遊していた。ツタが彼の足首に絡みつき、幅広のシダの葉が彼の肩を叩いた。彼はうめき声を上げながら、**精霊エネルギーの短剣**を召喚し、密度の高い茂みをきれいに切り裂いた。
ゲンキは泥とツタの中を何時間も歩き続け、額には汗が滲んでいた。彼はレイカのように物体をすり抜けられればいいのにと、心の中で願った。
「近づくにつれて、確実に気温が下がっているな」ゲンキは息を吐きながら呟いた。彼の息は薄い霧のように空中に漂った。
レイカは素早く上空へスキャンに向かい、**ヒュー**という軽い音と共に樹冠の中に消えた。数瞬後、彼女は戻ってきた。その声は快活だ。「嵐はもう遠くないわ!このペースなら、一時間以内に着くわよ!」
ゲンキは満足そうに頷き、大きな木の根に座り込み、ため息をついてバッグを下ろした。「よし。じゃあ、ここが深部へ向かう前に休むのに最適な場所だな。」
彼は水筒を取り出し、ごくごく飲んでから、バッグの中に手を伸ばしてビーフジャーキーの切れ端を取り出した。レイカは好奇心旺盛なハチドリのように、彼の周りをゆっくりと旋回して浮遊した。
「それでね」彼女は自分の食事を吸収するために彼の**精霊エネルギー**をわずかに吸い上げながら言った。「私たちは魔法の核を見つけて、それを封印して、出てくるだけでいいの?」
ゲンキは彼女が力を吸い上げていることにほとんど反応せず、小さく肩をすくめた。「そうだと思う、ああ。氷は俺が使える元素だから、その発生源はかなり早く突き止められるはずだ。」
彼が静かにジャーキーを噛む間、レイカは思慮深げに顎を叩いた。「分かったわ。じゃあ、数分間話す時間があるわね。」
「ああ」ゲンキは素っ気なく言い、再び地図に目をやった。
レイカは肩を落とした。「親友との数分間の休憩に、もう少しワクワクしたふりくらいできるでしょうに」彼女は腕を組み、**ふん**と鼻を鳴らした。
ゲンキは静かに笑い、集中していた表情に一瞬の温かさが戻った。「分かった、分かった。何の話がしたいんだ?」
レイカは上を見上げ、突然何かに気づいた。「お、あれは何かしら?」彼女は熱心に指さした。
頭上の枝に、鮮やかな黄色の羽毛、白い腹、そして滑らかな黒い嘴を持つ小鳥が止まっていた。それは彼らをまばたきし、不思議そうに首を傾げた。
ゲンキは彼女の視線を追い、地図の裏面をひっくり返した。裏には、島の希少な野生動物のリストが印刷されていた。「ここには**テテパレ・ホワイト・アイ**と書いてある――この島でしか見られないそうだ。」
レイカは目を大きく見開き、もっとよく見ようと身を乗り出したが、怖がらせないようにそれ以上近づいて浮遊することはなかった。「なんて可愛いの……」
ゲンキはゆっくりと頷き、空になったジャーキーの包みをバッグに押し戻した。「よし、移動の時間だ。これ以上時間を無駄にする意味はない。」
レイカは小さく、しぶしぶと**ふぅ**と鳴いた。「ブー……せっかくこの平和な瞬間を楽しんでいたのに……」
だが、彼女は彼について行った。遊び心のある口元の裏に決意が湧き上がっていた。
嵐の端に近づくにつれて、周囲の光は激しく波打つ雲の下で薄暗くなった。空気はより冷たく、鋭くなった。枝が風の中で不気味にきしむ。
そして、はるか上空、古代の木のねじれた枝葉の陰に隠れて、一つの小さな**目**が彼らをじっと見つめていた。




