第28章 獣の本質
ゲンキとハルトは、その音に凍りついた。獣の魔術師の炭化した死骸は、病的な音を立ててひび割れ、黒焦げになった脆い表面が乾燥した樹皮のように砕けていく。さらにひび割れが広がり――突然――それは止まった。
そして、外側の層が爆発し、破片が飛び散った。
その中に、わずかに焦げただけで無傷のランジロウが立っていた。
「フン。皮を剥ぐのを手伝ってくれて、感謝するぜ、ガキども。本当に助かった。」
ゲンキとハルトは二人とも激しく呼吸し、肺が燃えるように熱かった。彼らは残っているエネルギーを集中させ、防御態勢をとった。ゲンキは剣と短剣を召喚し、ハルトはわずかに浮かび上がり、エネルギーが彼の周りでパチパチと音を立てた。
ランジロウは動じることなく、首の関節を鳴らした。
そして、彼は再び変身した。
現れたものを表現する言葉はただ一つ、「竜」だけだった。
巨大な体が彼らの上にそびえ立つ――全身が鱗に覆われ、巨大な翼が背後に広がり、巨大な爪がかすかな光の中で光を放っていた。
ゲンキは獣の魔術師を見上げ、畏怖と恐怖が入り混じった目で言った。
「火は吐けないだろうが、それ以外は……恐竜か何かを使っているに違いない。」
ランジロウは深く、喉の奥から出るような笑い声を上げ、地面が彼らの足元で震えた。
「俺は獣の一部を取り込むだけでなく、それをある程度誇張することもできるんだ」彼は唸った。「そして、この形が生まれた。」
彼は巨大な尾を振り回した。
少年たちには反応する時間がほとんどなかった。
衝撃。
彼らは近くの建物の壁に叩きつけられ、地面に激しく倒れ込むと同時に、瓦礫が彼らの周りに崩れ落ちた。
ハルトは咳き込み、喉に血の感触があった。
「ゲンキ、頼むから、まだ一つくらいアイデアがあるって言ってくれ。」
ゲンキは震えながら体を起こした。視界がぼやけている。たった一撃で、二人とも重傷を負ってしまった――そして、その巨体にもかかわらず、獣の魔術師はかつてないほど速かった。
「計画なんてないよ、ハルト。ごめん……」
ハルトの目に絶望が閃いたが、それは一瞬で終わった。すぐにその目に炎が宿った。
「なら、元の計画を貫くだけだ。」
彼は立ち上がろうとしたが、片足が反応しなかった。彼は顔をゆがめ、痛みをこらえようと唇を噛んだ。
「足が動かない……でも、手伝う。」
彼は風の気流を作り出し、ゲンキを空中に投げ飛ばした。「頑張れ、ゲンキ。」
空へと舞い上がりながら、ゲンキは最後の**電気**を体中にみなぎらせた。彼は空中で短剣を投げたが、それは分厚い鱗に当たってチャリンと音を立てて跳ね返った。
ランジロウの尾が戻ってきた――彼を叩き落とす準備だ。
ゲンキは**氷の足場**を生成し、間一髪でそこから飛び出し、竜の背中に着地した。彼は剣を掲げ、前方に駆け出した。
彼は再び短剣を投げ、首の後ろを狙った。
チャリン。またもや弾かれた。
「いいさ。どうせ狙いはここだ!」
彼は両手で剣を握りしめ、その巨大な翼の一つに強く振り下ろした。
彼の全力を持ってしても、刃は表面をかろうじて引っ掻いた程度だった。
突然、尾が上方にむち打つように巻き上がり、圧殺する力で締めつけてきた。
ゲンキは叫び声を上げ、視界が薄れ、体が圧力の下で軋んだ。
ハルトは残されたエネルギーの全てを使い、**炎の爆発**を竜の口の中に直接放った。
ドカン。
炎は内側から爆発し、ランジロウは苦痛の咆哮を上げながらのけぞった。ゲンキはその反動でぼろ人形のように投げ出され、地面に叩きつけられた――だが、生きていた。
歯を食いしばり、ゲンキは最後にもう一度、短剣を投げた。
今度は、竜の開いた口の中の、焦げた皮膚の塊を狙った。
短剣は焼けた肉に突き刺さった。
ランジロウは痛みに気を取られ、手遅れになるまで気づかなかった。
刃はそこに留まった。
そして――ゲンキはそれを感じた。
短剣と剣をつなぐ紐を通して、奇妙なエネルギーが押し寄せた。
刃が光り始めた――秒を追うごとに、ますます明るく、大きくなる。
ランジロウの目が恐怖に見開かれた。
彼は何が起こっているのかを悟った。
「奴の生命力を吸い取っている……」ゲンキは、剣が力で膨れ上がるのを見つめながら囁いた。「これか、俺の武器の能力は……」
ランジロウは荒々しく暴れ回った。短剣に噛みつき、爪で引っ掻き、頭を激しく振った――だが、何も効果がなかった。
光はさらに強まった。
竜の断末魔の咆哮の下で、地面が震えた。
そして――永遠に続くかと思われた後――ランジロウは激しく倒れ込み、崩れ落ちた。
ゲンキは短剣を引き戻し、完全に消耗して膝をついた。武器からエネルギーを再吸収すると、力が彼の中に流れ込んできた。
「ランジロウのエネルギー……全部吸い取ったのか?」
竜の体は薄れ、ランジロウは人間の姿に戻った。
かろうじて息をしている状態だった。
ランジロウは弱々しく、震えながら立ち上がろうとした。
そして、その時、彼は現れた。
煙と影の中から、シンラ・クロザネが姿を現した。
闇の魔術師が戦場に足を踏み入れたのだった。




