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第17章: 1を超えて

ゲンキとレイカは彼の寝室で静かに座っていた。シーリングファンの優しいブンという音が空気をかき混ぜ、壁に貼られたテレビゲームのキャラクターのポスターをわずかに揺らしていた。この時ばかりは、彼らは訓練も、作戦や魔法の話もせず――ただ、そこにいた。


レイカは天井の近くでだるそうに浮かび、指で目に見えない形をなぞっていた。その守護霊としての半透明な光沢は、薄暗い光の中でかすかに輝いていた。


「ちゃんとした会話、しばらくしてなかったな」ゲンキはあくびをしながら伸びをした。パーカーは半分だけジッパーが閉められ、そのエメラルドの瞳は珍しく穏やかだった。


レイカは下を見なかった。「うん」彼女の声は優しかった。「ゲンキ……また一緒にいられて嬉しいけど……正直に言うとね、生きていた時が恋しいの。もう一度、地面を歩きたい。あなたがバカなことを言った時に、肩をパンチしたい。」


彼女は一拍置き、空中の手の動きを止めた。「守護霊もクールだけど、時々……ただ、普通だった頃が恋しくなるの。」


ゲンキは彼女を見上げた。胸の奥で何かが静かにねじれた。「ごめん、レイカ。君を救えなかったのは俺のせいだ。もしあの時、爆弾に気づいていたら――」


赤い光の筋が、まるで流れ星のように天井から落ちてきた。


レイカは彼の顔から数インチのところで止まった。その赤い瞳はきらめき、その声は怒りを帯びているにもかかわらず震えていた。「自分を責めるのはやめて!あなたが私を殺したわけじゃない、ゲンキ!」


声がひび割れたが、彼女は視線をそらさなかった。「私って――私が、あなたが救うべきか弱い女の子だったわけじゃない……私も自分を救えなかった。爆弾に気づかなかった。私が死んだのは……誘拐されたから……そして、サインを見逃したから――あなたが完璧じゃなかったからじゃない。」


ついに涙がこぼれ落ちた。彼女は顔を乱暴に拭い、頭をそむけた。


ゲンキは肩を緊張させ、下を向いた。「君の言う通りだ。ごめん。爆弾を見逃したことじゃなくて……君をもっと辛い気持ちにさせたことに対してだ。ただ、他の誰かを責めるよりも、自分を責める方が楽なんだ。」彼はそう認め、首の後ろをこすった。


二人は互いのスペースを抱きしめるように身を寄せた。それは本当のハグではなかった。彼の腕は霧のように彼女をすり抜けた。だが、それでも……それは助けになった。


レイカは小さく頷き、彼の肩のすぐ上に浮かんだ。「私も毎日、自分を責めてる。でも、もう過去のことよ。二人で乗り越えていこう。」


小さな笑みが彼女の唇に浮かんだ。「それにね、死ぬのも悪くないよ――あなたの情けないお尻を守ってあげられるんだから。」


ゲンキは小さく笑った。それだけで、その場の重みが少し軽くなった。


その日の午後、静寂は過ぎ去った。


裏庭では、ハルトがダイゴとの訓練の真っ最中で、二人の周りには風で引き裂かれた草と、かすかな焦げ跡が広がっていた。ゲンキとレイカは脇に立ち、新しい技術に集中していた。


レイジはポーチの階段から、腕を組み、口に爪楊枝をくわえて黙って見ていた。


「レイカは、お前のエネルギーで生きているだけじゃない」彼は浮いている少女に目をやりながら言った。「彼女は自分の力を強化できる――時には新しい力を得ることもな。十分な魔力をお前に与えてもらえば、物理的な実体化さえできるかもしれない……まあ、長くはもたないがな。」


ゲンキは眉を上げた。「じゃあ、俺はこのヒルに喜んで血を吸われろと?」


レイカはニヤリと笑い、彼の周りを一回転した。「あら、あなたの持っている一滴残らず、ご馳走になるわよ。」


二人とも笑い合った。二人の間の緊張はとっくに消えていた。その背景では、ハルトが誤って小さな爆発を起こした。煤まみれになった彼はダイゴの方を向いた。ダイゴは黙って、手から放たれる水の安定した流れで彼を洗い流した。


ゲンキは息を吐き、集中した。彼はレイカに魔力を送り始めた。それは彼の中を駆け巡る。消耗はあったが、彼の制御は鋭かった。彼のエネルギーは成長していた――もはや浅い水たまりではなく、バックパックいっぱいの量になっていた。それでも、レイカはその全てを吸い取った。


彼女の周りに結界がきらめいた。これまでに彼女が形成したどれよりも強かった。


「へえ、なんだか分かる?」彼女は腕に現れた輝きを見つめて言った。「あなたのエネルギー、本当に私をブーストしてくれるんだ!」


ゲンキは地面にへたり込んだ。疲労困憊だったが、満足していた。


その時、それは起こった。


十分前……


二マイル離れたコンクリートの屋上。黒いローブをまとった男が伏せていた。彼のスナイパーライフルが太陽にきらめき、その銃口は水原レイジの裏庭にまっすぐ向けられていた。


彼のイヤホンから、声が聞こえてきた。


「目標を確認」スナイパーは低く呟いた。「発射命令を待つ。」


サイコの滑らかな声が、サディスティックな喜びを帯びて返答した。「準備ができたら撃て。お前の標的はアイカワ・ゲンキだ。質問はなし。チャンスが見えた瞬間に、引き金を引け。」


スナイパーは呼吸を整え、ファイルをちらりと見て標的を確認した。十字の照準器の中に、疲れている少年が見えた。彼の結界は消えていた。


完璧だ。


今だ。


反応する時間はなかった。


ゲンキは変化を感じた――自分の周りの空気の圧力が歪むのを。彼は本能的に振り向いた。視界の隅に、何かが見えた――


銃弾だ。


時間が砕けた。


それは再び起こった。


世界が粉々に砕け散った。


割れたガラスが光を屈折させるように、全てが歪み、ねじれた。


そして、彼はまばたきをした。


銃弾はもはや彼に向かって飛んでいなかった――それは彼の頭の後ろの地面に埋まり、決して届かなかった脅威のように土に突き刺さっていた。


レイジの声が静寂を切り裂いた。「結界を張れ。今すぐにだ。」


石、氷、そして精霊エネルギーの層が、スナイパーの方向へと瞬時に立ち上がった。レイジとダイゴの両方が、一瞬でそれを投げ出したのだ。


レイジは振り返り、目を細めた。その琥珀色の視線は、ゲンキに釘付けになっていた。


「坊主……今、お前が何をしたか、俺には分からない……」彼はゆっくりと、重々しい声で言った。「だが、あれは精霊魔法じゃなかったぞ。」

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