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第10章 守護霊

まるで何もなかったかのように、レイカが彼の目の前に立っていた。


だが、何かが変わっていた。


彼女の髪――ほとんどはまだ赤かった――に、ゲンキと同じ白い筋が混じっていた。その肌はかすかな、超自然的な透明感を帯び、月明かりの下の霧のようにゆらめいている。ゲンキは彼女を見つめ、信じられない気持ちと、圧倒的な安堵感の間で揺れ動いた。


「レイカ…」彼は震える手を伸ばしながら、そうつぶやいた。


彼の指は彼女をすり抜けた。


二人とも思わずたじろいだ。


レイカは自分自身を見下ろし、それから彼に視線を戻した。その瞳は大きく、きらめいていた。「ゲンキ?なんで私ここにいるの……?私――私、死んだんだよね?」


その声は震えていたが、瞳に浮かぶ安堵は隠しようがなかった。レイジが間に割って入り、腕を組み、好奇心と抑制が混じった表情で二人の再会を見守っていた。


「ふむ。まさか、な」彼はそう呟いた。「お前たちが親友だとは知っていたが、レイカが守護霊シュゴレイになるなんてな……大したものだ。つまり、お前を家族だと思っていたってことだ、坊主。」


ゲンキはまばたきし、頬を赤らめた。「俺を、家族だと?」


レイカは、わずかに頬を赤らめ、妖怪の袖をいじった。「当たり前じゃない。あなたは私のウザい弟みたいなものよ」彼女はそうつぶやいた。


レイジは小さく笑った。「お前たちの心温まる瞬間に水を差すのは心苦しいんだが――本当に心苦しいんだが――俺がここを去る前に、これが何を意味するのか説明すべきだろう。レイカ、お前は守護霊シュゴレイ、つまり守護の妖怪だ。普段はお前のそばに受動的にいて、運気を高めたり、健康を保ったりする類いのものだ。だが、使い魔としては、お前の力はさらに強くなっている。治癒能力、結界術、そして、ああ――お前のおかげで、まだ彼は幸運に恵まれている。」


レイカは目を見開いた。「うわ。じゃあ、私、本当にすごいってことじゃん。ゲンキ、もっと私を褒めるべきよ。」


彼は笑った。喉にこみ上げる感情を隠しきれなかった。「分かったよ、お前はすごい、レイカ。ずっと前から、そうだった。」


彼の瞳に涙がにじんだ。レイカは彼に近づき、涙を拭ってあげようとした――だが、彼女の手は彼の頬をすり抜けた。彼女の笑みが揺らいだ。


「ねえ」彼女は優しく言った。「あの日、あなたにはどうすることもできなかった。誰も、あれが来るとは予想していなかったの。でも、私たちは今ここにいる。今がある。」


ゲンキは奥歯を噛み締め、袖で顔を拭った。「慰められるべきなのは俺じゃない。全てを失ったのは、俺じゃないのに。」彼は顔を上げ、掠れた声で言った。「あの時、あなたを守れなくて、本当にごめん。でも誓うよ――あなたに償うためなら、なんだってする。」


話している間に、レイジはいつの間にか静かに部屋から出て行っていた。


レイカは彼に小さく、優しい笑みを向けた。「その気持ち、すごく嬉しいわ、ゲンキ。でも、私がまだここにいるってこと、忘れないでね?私はまだ、あなたのことを見守っているから。だから話しかけて。毎日。じゃないと、寂しくなっちゃうから。」


彼女はきつく言おうとしたが、その声はわずかに震え、本音を漏らしていた。


ゲンキは再び手を伸ばし、彼女がいる空間を腕で抱きしめた。レイカも同じ動作を模倣し、二人の幽霊のような抱擁は、心安らぐほどの近さだった。


「約束するよ、レイカ」彼は言った。「俺たちは、一緒だ。」


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