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閑話 莉乃の友人

 未だに状況が飲み込めない。

 まさかあの時の話を録音されていたなんて…。


 今 私は、私のことをずっと心配していた友人に先程のことを問い詰められている。


「どういうこと?あれを聞く限りあなた、私たちを騙して栄渡えどくんを悪者にしたって、ことよね…」


 彼女も困惑しているが、その声色も眼差しもとても鋭い。その圧に気圧されしまい言葉につまる。


「何か言ったらどうなの!…あなた自分が最低なことをしたの、分かってる?」


 何も言えない私に痺れを切らした彼女が怒鳴る。

 そして諭すようにそう言った。

 状況をようやく理解し始めたものの、バツが悪くなり結局 言葉が出てこない。

 いつまで経っても何も言わない私に対して、彼女は呆れたように溜息を吐いた。


「はぁ…あなたがどう考えているか分からないけど、もう彼には関わらない方がいいんじゃない?」


「そんなっ、嫌だよ!」


 ハル君から離れるなんて考えられない。

 だって私は彼女なんだよ?それなのに…


「あのねぇ、いい?あなたは自分が好きだと言っている栄渡くんが、暴力を振るわれているのを見て、それを止めなかったどころかネタにして笑っていたのよ?それなのに彼が好き?笑わせないで!」


「うぅ…」


 彼女の言うことはもっともで、私はというとただ俯いて声を出すことだけしかできない。

 しかし彼女はそんな私を気にせず進める。


「あなたはもう栄渡くんに近付かないこと、いい?」


 そう言われるが、彼のことが好きなので離れたくないという気持ちが強く返事ができない。


「彼のことが本当に好きならもう諦めなさい、これ以上はただの嫌がらせなんだからそっとしといてあげるの。自分でやったことなんだからね」


 友人にそう言われるも、いつまでも納得できない私だった…。



 彼女は私がハル君を好きだと言った時に背中を押してくれた友人だ。

 もちろん彼ともそこそこ話すし彼には良い印象をもっている。


 しかし先日 私が言った嘘を事実だと思った彼女はハル君のことを失望したと言って彼に敵意をむき出しにした。

 射殺いころさんとばかりのその視線は、ソレを向けられていない私でさえ怖くなるほどだった。


 そうしてあの録音だ、彼女にとって私は最低な嘘つきだろう。

 ハル君から私を少しでも遠ざけることで彼の心を守ろうとしているのは私でも分かる。


 しばらくはハル君のそばに行くことはできないだろう。

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