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彼女が父と''仲良し''してたなんて信じられるか?  作者: 隆頭


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二十七話 目が覚めたならやることは一つだろ

 学校が終わって、お義兄ちゃんの病室にやってきた私は、のぞみお姉ちゃんと莉乃りのさんと目が合った。

 どうやら二人ともお義兄ちゃんのお見舞いに来たらしい。


美智みさとか…アンタもよく顔出せるね、自分が何したのか分かってるの?」


 希お姉ちゃんから鋭い視線が刺さる。

 お姉ちゃんの言い分は最もだ、私に言い返す言葉どころか、権利さえない。


「分かってるよ…今更なのは分かってるけど…ごめんなさい、やっぱりお兄ちゃんが心配で…」


「アンタ…はぁ、もういいわ…」


 お姉ちゃんは私に興味を無くしたようにお義兄ちゃんに向き直る。


 ここでじっとしていても仕方ないし、いくら個室とはいえここは病室だから、あまり長居してはいけないとも思う。

 でも…やっぱりお義兄ちゃんから離れたくない。


 しばらくすると、彩藤さいとうさんとお義兄ちゃんのお母さんが入ってきた。


「っと、随分と人がいるな…」


「そうね…希ちゃんはともかく、晴政に酷いことした二人がいるのもどうかと思うけど…はぁ、ここは病院だからあまり言い争いたくないわね…」


 二人の表情は暗い…まぁ当たり前だけど。

 こうしてお義兄ちゃんのお見舞いにきた皆が集まるのも見慣れた。

 それだけお義兄ちゃんは皆に愛されてるんだろうね。

 沈黙が流れる…これもいつも通りだ。


 だけど どんなことにもいつか変化は訪れるものだ、それを忘れていたことを思い出す…それは何故か。


 お義兄ちゃんが目を開けたんだ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 気を失っていた俺の視界に入ってきたのは、見覚えの無い天井と、見慣れた顔触れだ。


 目が覚めるや否や希が泣きついてきたり美智や莉乃が泣いていたりと、大変な事になっていた。

 母さんや彩藤さんまでいて随分と大所帯でお見舞いに来てくれていたらしい、ここまで心配してくれる人がいるのは嬉しいものだ。


 しかし呑気なことも言っていられない。


「マサ、捕まる前のことは覚えてるか?」


「……ちょっと待ってツヨシ…」


 状況が呑み込めず顔を右手で覆い左手を前に掲げる。

 聞けば俺は三日間ほど寝ていたらしい、だから体がしんどいのか…えっ、三日?うせやろ?

 それだけ寝てたのならもうちょっと落ち着かせて欲しい。


 という訳でもうしばらく入院することになり、あのクソチャラ野郎についての処遇はまた後日話すことになった。

 彩藤さんには名前を伝えておいたから、探してくれるってさ、頼りになるわー。

 俺の目覚めによって安心した皆は、母さんのみが残って帰っていった。


「大丈夫?じゃないわよね…何かあったら言ってちょうだい、着替えも持ってこなくちゃね」


「ありがとう母さん。それとごめんね、せっかく一緒になれたのにこんなことになって…」


「いいの!あなたは気にしないで!悪いのは晴政じゃないから、気にすることないの…」


 そう言って母さんはそっと抱きしめてくれた。

 いい加減母さんを安心させたいから、早く決着を付けなきゃいけないな。



 そうして三日後、俺は無事退院した。

 もっと長引くとおもったけど、意外とすんなりだったなぁ…なんて思いつつその日は家に帰った。


 また次の日、俺は彩藤さんと会っていた。

 これから話す内容があれなので、彩藤さんの家だけどね。


「取り敢えず、例のカスは見つかった。お前がよけりゃ今日でも明日でもやれるぜ」


 あのカスとは、あの時クソ親父と共謀して俺をハメた奴だな。

 まさか二度もクソ親父にしてやられるとは情けない話だが、それはそれだ。

 やられた分きっちり仮は返す。


「じゃあ明日にしよう、徹底的に叩き潰してやる」


 あまり手を汚すのは好きじゃないが、やつとてバカやってるからそうそう警察にも駆け込めない。

 こちらもクズになってやるよ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よぉ姉ちゃん、飯買ってきたぞ」


「おかえりなさい、わざわざいいのに」


 栄渡の野郎をハメて、あのオッサンからまぁまぁいい金を貰った俺は、大学で辛い目にあったらしく塞ぎ込んだ姉に飯を買ってきた。


 俺たちに両親はおらず、姉はバイトを転々としつつなんとか生計を立てていた。

 俺は俺でワルやって金を集めてるが、この金があるからしばらくは落ち着いていられる。


「姉ちゃん、バイトはどうよ?」


「まぁ…ぼちぼちだよ…」


 バツの悪そうに目を逸らすところを見ると、多分そう長くないか…。

 いくら不良やってるとはいえ、やっぱり家族のことは心配なんだよ…ましてや両親がいない俺たちは互いに支え合わなきゃならない。


「心配かけてごめんね、何とかするから…」


「まぁ、無理すんなよ」


 俺はバカだから、何が出来るってわけじゃない。

 でも姉が困った時には、何とかしてやりたいんだ。それが家族ってもんだろ?



 次の日、俺は先輩から呼び出しがかかった。

 指定された場所へ向かう。


「どもっす、アツシさん」


「よぉ、来たか」


 その場所は、俺らがよくたむろする廃工場だ。

 馴染みのある景色だが、漂う雰囲気は些か剣呑だ…ピリピリとするその圧に鳥肌が立つ。


「よぉっーす、アツシじゃんもう来てたのか」


「よう酒匂、仕事終わりか?」


「イェース」


 遅れて現れたのは酒匂さかわさんだ、この人は彩藤さんの相方的な立ち位置で、かなり頭が切れる。

 加えて柔らかい態度だから皆から慕われてる人だ、俺も何度か世話になった。


「もーすぐあの二人が来るからちっと待ってろよー」


 酒匂さんがここにいる数人に声を掛ける。

 集まりにしては妙に少ないな…下っ端は俺だけ?


 なんとも言えない違和感を感じていると、酒匂さんが現れた場所から二人、誰かがやってきた。


「えっ…」


 どうしてヤツがここにいる?


「よっすお前ら」


「お疲れさんッス」


 一人は分かる、彩藤さんだ。

 俺らのリーダー的な人だからここにいたってなんらおかしくないのだが…。


「いやー久しぶりだな、ここに来るのは」


 呑気にそう言った声の主に気付いたアツシさんが急に立ち上がった。


「おー!ひっさしぶりだなー!」


 彼は両手を広げてソイツに近付いて行く。


「おっ、アツシじゃん久しぶり。アツシも呼ばれてたんだ」


 その彩藤さんの隣にいたソイツが、俺にとってはありえないヤツだった。


「まぁなー、だってマサが呼んでるってんだから皆来るだろ」


「俺そんなにお前らと繋がりないぞ」


 どうして…どうして栄渡 晴政がここにいるんだ!

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