閑話 心当たり
マサがクソ親父家から救出され病院に搬送されてから三日経った。
峠は越えたものの未だ目を覚まさないアイツの見舞いに行こうと思うのだが、その前に酒匂に会いに来た。
「それで、手がかりは掴めたか?」
「ダメっす、そもそもクソ親父と面識があるヤツもッスけど、何よりマサ君に手ぇ出すバカってのが珍しいんで…」
そりゃそうだ、この辺の不良関係じゃマサは割と名が知れてる。
もしマサに喧嘩を売るとなればそれとは別のタイプの野郎だろうが、そうなると俺たちのネットワークじゃ特定するのは難しいし、そもそもここまでの事になるほどアイツを恨んでるヤツもいるのかどうか…だ。
そもそもクソ親父の単独犯でないという証拠もない。警察の取り調べの内容が分からない以上供述から確かめることもできない。
恐らく視野が狭まっているのだろう、どうにもスッキリしない。
「そうだな…ただ、マサの幼馴染が心当たりがあるっつってな」
「マジですか、誰なんス?」
俺の心当たりが間違ってなけりゃこないだアイツの妹に手を出そうとしてたヤツだ。
どうやらソイツは前々からマサに因縁を付けていたらしい。
裏木のことが好きだったらしく、彼女がマサと付き合ったことが気に入らなかったらしい。
二人が付き合ってからというもの度々マサに喧嘩を売っては軽くあしらわれていたらしいが、そりゃあそんなことするようなヤツなんぞ誰だって嫌だろう。それで好かれたいってのがあまりにも自分本位だ、それじゃダメだな。
それくらい自分本位で周りが見えていないバカなヤツなら、クソ親父に唆されたことで意気揚々とマサに突っかかる可能性は高い。
とはいえ仮定の話だ、もちろんマサが目覚めたらちゃんと話を聞くつもりだ。
「分かったっス、他の連中にも知らせとくっスね」
「あくまで心当たりだからな、それは忘れんなよ」
「もちろんっス」
酒匂にそう伝えその場を後にし、マサの母親と合流してマサのいる病院に向かった。
あの男の身の回りについて調べておかないとな…。




