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74-回収部隊

「さてと、まずはどの魔道具からいただこうかな⁈」


そう言いながらウキウキでギラードの腕を観察するイチ。

ふむふむ、赤、青、緑色の指輪がそれぞれ一つずつと、強面の人が好んで着けていそうなイメージの、人骨モチーフのゴテゴテとした装飾の腕輪が一つか、どれもこれも強力そうだ。



そして最後の一つ。



ギラードの掌を覆っていた、宝玉のついた指抜き手袋。

宝玉は緑がかった石に血飛沫のような赤い模様がある。

見た目は昔に図書館の本で見た印鑑とかの材料で使われる鶏血石に似ている。

綺麗だけど、なんか恐い感じがする。


「(それにしてもどれもこれも中二病男子が喜んで身につけそうなデザインだ。ギラード、趣味悪いな!)」


そう思いながら指先に魔力を込め、各魔道具に触れてみる。

これがかつての勇者達が変えられた魔道具なら、これで使い方が分かるかもしれない。


すううううう


指先から魔力が吸われる。注射器で採血される時みたいな感覚だ。


「うわあ!おそらくどれもこれも、かつてはドラフト上位者だった勇者が変化した魔道具みたいだな!軽く触れただけでも結構魔力が吸われるぞ⁈」


「イチ様、魔力酔いには気をつけてください」


「わかってるよ、本当に軽く触れるだけにする……ん⁈」


リコと会話しながら気付いた。指抜き手袋にだけは魔力がほとんど入っていかない事に。


「ありゃ、この手袋……魔力が入っていかないぞ⁈」


「そうなの⁈うーん……魔道具の事はわからないけどさ、やっぱり手袋は触れるだけじゃなくてちゃんと装備しないとダメなんじゃない⁈」


イチの疑問にそう返すフォレスタ。それは道理なんだけど……。


「(デザインが中二病過ぎてあんまり着けたくないんだよな~)」


でも思い返せばギラードは不思議とこの手の装飾品が似合っていた気がする。ある程度貫禄があれば似合うのかも。

そんな事を考えながら中二病指抜き手袋を嵌めようとした瞬間、










ずわっ!









手袋の内側から棘の様な根が生えてきて血管に侵入されたような感覚が迸った!


「(なんだこれ⁈)」


そう思った直後に、







ぐわんぐわんぐわんぐわんぐわんぐわんぐわんぐわんぐわんぐわん







頭を掴まれて振り回されたかのように脳が揺れる感覚!


「うわああああああああああああああああああああああああああ!」


絶叫するイチ。

反射的に手袋を外し投げ捨てる!

……が、貧血の様な症状が出て倒れそうになる。ジーンさんが支えてくれたおかげで何とか倒れずに済んだが顔色が相当悪かったのだろう、ジーンさんはイチの肩を押さえながら、意識を失わせないように声をかけてくれた。


「しっかり!大丈夫ですか⁈水ありますよ、飲みますか⁈」


「はあはあ……ジーンさん……あ……ありがとうございます……って言うかなんだ?この魔道具⁈」


魔力の消費量が群を抜いてデカい。いや、それだけじゃない。何というか、風呂桶の底に穴が開いて湯が勢いよく抜けていくみたいに、体の芯から魔力と一緒に大事な生命力も吸い出されるような感じがした!

冗談じゃない、こんなもん身に着けられるか!死んでしまう!



そう思った瞬間に、



頭の中に、指抜き手袋魔道具の使い方の手順のようなものが流れてきた。

そして最後には天空から落ちてくる火球のイメージが脳内に浮かぶ。

こ……これは……!



「これ……ギラードの必殺技の隕石を落とす魔道具だ!」


「ええ!あの⁈」


フォレスタが超反応する。無理もない、フォレスタの集落を破壊しつくした恐ろしい魔道具だもんな。

だが、これは凄い物を手に入れたぞ!



一瞬気分が高揚するが……すぐに頭が冷えた。



「でも残念ながら絶対に俺には使いこなせない。いや、これを使える人間はいない。シリウスさんが生きていてもおそらく無理だ」


そう吐き捨て、さっき投げ捨てた指抜き手袋を見やるイチ。

コイツは確かに強力な魔道具だが、これはリスクと引き換えに……いや何か発動に生贄を要求するタイプみたいだ。

感覚的にはシリウスさんが最後の戦いで使った黒虹彩剣の仲間の気がする。

竜人並の生命力を手に入れるか、人として何かを捨てるなりしないと使えない。


「使えないけど、わかる。これは絶対に竜人たちに渡してはいけない魔道具だ」


イチが静かにそう言うと


「わかった。宝玉はイチが翠亀剣で砕いて。ボクは手袋を燃やす。魔道具とは言え、手袋の部分なら燃えるかもしれないからね、ジーン、油を」


そう言いながら発火石を取り出そうとするフォレスタ。


そう思った瞬間に





パキッ





枯れ枝を踏みつぶしたような音がした。


「(誰かいる⁈)」


そう思い、音のした方向を見る。誰もいない。ベラーでもなさそうだ。


「(野生動物でもいるのかな⁈)」


そう思ってイチが音のした方向から視線を外そうとした時に、

音のした方向めがけてモモさんが無数の小石を投げた!


バチバチバチバチバチ


トタン屋根に雨粒が当たるみたいな音がした。

その直後、


「痛ええええ!」


悲鳴が上がった!やはり誰かいる!


「誰だ!」


イチが叫ぶ!その直後!



ぶわっ



返事の代わりの様に森の奥に赤銅色の輝きが見えた!



同時に物凄い殺気を漲らせながらこちらに向かって突っ込んでくる!




「来るぞ!構えろ!」




風切りのナイフを抜いて強めに握り込み…抉りこむように殺気の方に向かって思いっきり突く!

ナイフの刃先から槍のような衝撃波が飛び出した!


その動きを見て赤銅色の輝きが慌てて後退した!

が、カウンターの様に赤銅色の輝きの後方から無数の火球がイチたちに向かって飛んでくる!

やばい!防御出来ない!



ドオンドオンドオン



幸いだった。

火球はイチたちのいる所から少しズレた場所に連続して着弾した。

そして火球の飛んできた方向から舌打ちと声がした。


「チッ、さっきの石のせいで狙いがズレた、面倒臭い奴がいるな」


「この……馬鹿野郎!火を使う奴があるか!焼けちまうだろう!」


「心配するなチョビ、あの手袋はこの程度の火力じゃ焼けねえよ」


そう言いながら……デブとチビの竜人二人の姿が森の奥から現れた!


「……あいつらは!」


たしか森の民の集落を襲ってきたアンとチョビとかいう奴だ!


「(さっきこちらを伺っていた人影はこいつらか!よりによって厄介な奴らが!)」


イチが心の中で毒づきながら風切りのナイフを構える。

リコは慌てて後方に下がりジーンさんとフォレスタは弓矢を構え、モモさんは小石を握ってアンとチョビを睨みつけてる。

ゲス郎は……いつの間にか最後方に逃げていた。逃げ足早いな!


そう呆れていたが気付いた。アンとチョビはイチたちを見ていない。


アンは地面に落ちた指抜き手袋を、チョビはゲス郎をジッと見ている。

ゲス郎の手の中にはいつの間にか拾っていたのかギラードの腕がある。

それを見た後、竜人二人は眉間に皺を寄せてイチを睨みつけた。


「アン、やるぞ。ドラフト順位の低い格下と聞いていたが……腐っても勇者だ。目を離した隙に成長しやがる。おいそこの雑魚勇者、たしか名前はイチとか呼ばれてたよな⁈お前はエリトの野郎が執着してるから任せちまおうと考えていたが、予定変更だ。今潰しておかないと取り返しがつかない事になりそうだ」


「同意だ。見ろよチョビ、とんでもない物を見つけてやがる、返してもらうぞクソ勇者ども」


そう言って竜人二人が殺意を撒き散らしながら突撃してきた!

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