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13-戦い

「30人以上の勇者が行方不明って…!どういう事だ⁈」


思わず叫んでしまう。それを見たエリトはニヤリと笑って


「それについての詳細が手紙に書いてあるらしいぜ?見るか⁈」


そう言って、懐から紙の様な物を出した。

見るためにエリトに近づこうとした瞬間、社長が叫んだ。


「イチ君!動かないで!…エリト君!すまないが、その手紙の内容をその場で読み上げてくれないか⁈」


「社長ー♪何言ってるんですか!イチ君宛の手紙を、俺が勝手に読むわけにはいかないじゃないですか♪」


ケタケタ笑いながら、エリトが話す。しかし、社長は冷静に返した。


「君には…社口としか名乗ってないんだがね…君は…いつから私の事を『社長』と呼ぶようになったんだい?」


エリトの顔から笑顔が消えた…が、すぐにまたヘラヘラして


「やだなー!みんなそう呼んでますよ!今さら何言ってるんですか!自分にも『社長』と呼ばせてくださいよ~♪」


エリトと社長の間に緊迫した空気が流れている。

しかし、手紙の内容は気になるな…そう思いながらエリトの持っていた手紙の方を見ると…



手首の所に刃で切られたような真新しい傷がある!



「おい!エリト!その手首の傷!今ついたものだろ!お前…!まさか!」


思わず、声を発する。気付いたリコが身構える!

エリトは「ああ?これね?」みたいな顔をしながら言った。


「ちょっとナイフの扱いをミスっちゃってね!俺としたことがドジだよなあ!」


「…俺の剣には魔法が掛かっている、ちょっとその傷口の残留魔法を調べさせて貰って良いか?」


ウソである。この剣には何か魔法が掛かってる気はするが、俺には傷口の残留魔法なんて調べられない。

エリトの反応を見るためのハッタリだ。


しかし、エリトは少しも慌てず


「どうぞどうぞ!いくらでも調べてよ♪」


そう言って、エリトは傷口のある方の腕をこちらに見せた…かと思うと…



掌がこちらに向けられた!



『アクセル255』発動!


考えるより前に斜め前に超加速で駆け出す!

今、自分のいた辺りに大砲みたいな雷の束が通過した!


「もうちょっと泳がせておくつもりだったんだけどな!今殺すしかねえなあ!」


「エリトおおおおおおおおお!」


ジグザグに走りながらエリトに接近する!

第二、第三の雷の大砲が横をかすめる!

エリトの攻撃は凄まじいが、直線的だ!躱せる!


エリトは面白くなさそうな顔をしながら


「強くなってるじゃねえか…クソが…」


そう毒づき、前に出していた掌を引っ込めた。そして今度は両手を使い、子供が忍者ごっこで手裏剣を飛ばしている時みたいな構えをした。


(何か来る!ヤバい!)


素早く伏せる!

頭上を雷の絨毯が駆け抜ける!

エリトの両手から前方向に、扇状の広範囲への雷攻撃が出た!

クソっ!これじゃ近付けない!


慌てて距離を取る。

あの範囲攻撃は雷の大砲よりは射程は短そうだ。

一旦下がって…


そう思って振り返ると


自分の後方にリコや社長たちや、村人たちが見えた。


(ダメだ!下がれない!リコたちが攻撃に晒される!)


体を出来るだけ低くして、斜め前方向に駆け抜ける。

すぐに次の範囲攻撃が頭上を通過する!

髪が焦げる匂いがして、皮の鎧が傷つく!


そのまま、奥の林の方に逃げる。

あそこなら障害物も多いしなんとか戦える。

何より『アクセル255』の時間制限がきてしまう。一旦戦場を変えないと!


十数発の範囲攻撃と雷の大砲を躱して…林に逃げ込めた!


「チョロチョロ逃げ回りやがって!出てこい!イチ!」


(危なかった…ここでクールダウンしないと…!)


そう考えていたら、林の中を雷の大砲が飛んでくる!

何本も木が燃え、真っ二つになる!


(この中であと180秒も?キツイ!時間を稼がないと!)


「おい!エリト!お前のこの行動は、シリウスさんも知ってるのか?答えろ!」


エリトは「ふむ⁈」と言った顔をして攻撃を止めた。


「どっちだと思う?」


「シリウスさんはこんな手を使う人ではないと思うし…何よりお前の事は良く知ってる。上手く立ち回って、シリウスさんの信用を得つつ、裏で自分にとっての邪魔者を排除してるんだろう!」


エリトは「へえ!」と言った顔をして笑った。


「いい線、行ってるじゃないか!凄いねえイチ君!」


「そりゃどうも!褒められても嬉しくないけどな!」


あと120秒…もっと時間を稼がないと…。


「こちらは、カセーツさんが行方不明になってる!お前…何か知ってるのか⁈」


「カセーツさんが⁈それは知らなかったなあ⁈」


ビックリ!と言う顔をするエリト。

よし…このまま…時間を稼いで…

あと90秒!


そしてエリトは「ふふふ」と笑って


「俺って本当に優しいわ。こんな見え見えの時間稼ぎに付き合ってあげるんだから!イチ⁈少なくともあと1分くらいはクールダウンしないと、お前の祝福は使えないんじゃないのか⁈でもこれ以上は付き合ってあげられないから、お前のお姫様たち黒焦げにするからな♪」


(クッソおおおおおおおおお!読まれてる!)


リコたちの方に駆けて行くエリト。

ダメだ!もう隠れていられない!

木の陰から姿を出しエリトを追おうとすると


雷の大砲が目の前に迫っていた。


「俺様がお前から目を離す訳ないだろう⁈本当に単純で助かるわ♪」


振り返って掌をこちらに向けていたエリトが邪悪な笑みを浮かべていた。









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