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 兵士一人当たり、一日に消費する糧食はパン、肉又は魚、脂肪等合計八六三グラムである。一万人の兵力ならば、四.三ラスト(八.六トン)になる。馬糧はさらに多く、馬一頭が消費する一日当たりの大麦やまぐさの重量は、人間の一〇人分に匹敵する。騎兵が五〇〇騎いれば、約二.二ラスト(四.三トン)となる。この数字は一日当たりであって、作戦期間中毎日欠かすことができない。仮に作戦期間が五〇日間だとしたら、合計三二五ラスト(六五〇トン)となる。これは、ダイゴが元いた世界のトラックを使っても容易ならざる数値だと思われた。

「アルテュール、辛い道となるぞ」

 夜が明けきらぬうち、出発を前に、ダイゴは念を押すように副官に語りかけた。それは強行軍となるという意味と、実父の遺体と対面する旅になるというもう一つの意味であった。

「大丈夫です、代理閣下。私も、そして父も軍人ですゆえ」

 内心はそうではないだろうと思いつつも、ダイゴはその言葉を尊重することにした。

「総兵力二〇〇〇、出発準備完了しました」

 作戦幕僚が報告に来た。

「よろしい。夜明けとともに、行軍を開始せよ」

 ダイゴは、乗馬しながら返答した。折しも、東の地平線上に一条の日の光が射そうとしていた。

「リーセロットさま、どうかご無事で」

 手綱を両手でつかむと、独り言が口から出た。

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