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「ノルトブラバンド州のアンベルス市一帯は、イスハニア側の帰属地とする。但し、イスハニア王国は、アンベルス市街地の焼却について賠償金を支払う」

 これが長々と続いた外交交渉の末に、ブリタリア外務卿ロンズデール伯の示した最終妥協案であった。

 両国の代表団は、それぞれ宿舎に持ち帰り、検討することとした。その間、交渉は中断された。

「やむを得まい」

「やむを得ぬ」

 双方の首席代表は、仲介者に同じ結論を返して寄こした。

 それを受けて、ロンズデール伯は和平条約の条文の起案作業に入った。

 草案に対する意見の聴取と調整、浄書には、一〇日間を要した。正文はブリタリア語、ネイザーラント語、イスハニア語で用意された。

「十二カ年休戦条約」

 そう呼ばれる条約が、イスハニア王国と、ネイザーラント連邦共和国の間に締結されることとなった。飽くまで期限付きの条約ではあったが、これはイスハニア王国が主権国家としてのネイザーラント連邦共和国の存在を認めたことを意味する。

 聖歴一五九〇年一一月九日、ブリタリア外務卿が仲介人として見守るなか、両国の首席代表が条約の末尾に署名し、国章印を押した。

 あとは、当事国内での批准をするだけであった。

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