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 最前線のブレダー城で、休戦ラインの監視・警備に当たる日々は、正直なところ必ずしもダイゴにとって緊張に満ちたものとはなっていなかった。

 敵であるイスハニアは、軍ではなく国家自体の継戦能力が既に尽きていることがわかっているので、戦争が再発する可能性は高くない。負傷者は首都に後送し、従軍商人が運航する運搬船から糧秣を定期的に受領できているので、兵力は維持している。傷付いた城壁の修復と休戦ラインを監視する騎兵隊を定期的に送り出す以外、やることはない。

 そのようなわけで、ダイゴは今日も朝から運河で釣り糸を垂れていた。魚釣りは、こちらの世界に来てから始めた趣味である。

 釣果は大して上がらなかったが、それでも時として鯉やスズキが釣れた。それらは、遠征中の彩に乏しい食卓に華を添えた。

 だが、週に一回の割合で首都から届くリーセロットの手紙は、緊張した外交交渉の経過を伝えていた。

 読む度にダイゴは自分の気持ちを引き締め、幕僚に対しても和平は簡単には進まないことを示して、緊張の糸を全面的には緩めないように命じた。

 それとは別に、

 ――早く首都に帰還し、リーセロットさまに軍状を報告したい。

 という気持ちがあったのも、事実である。あるいは、自分がこの世界からいなくなる可能性が否定できないのだから。

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