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「本日の戦いが、決戦となろう」
ダイゴは、恐らく当たるであろう予感を感じていた。
イスハニア軍には、第一線陣地は食い破られたものの、相当の人的代償を支払わせた。第二線陣地を突破できなければ、さすがのスピノラも短期では片付けることが可能とは思わなかった。射石砲でブレダー城の城壁を崩し始めてはいるが、まだ完全な崩壊には程遠い。ゆえに、本日の戦闘で我が方の戦力の覆滅を狙ってくるはずである。
一方、ネイザーラント軍の準備した陣地も、残り一線である。そこを破られても、ブレダー城で籠城戦という選択肢もあり得るが、既に出した損害は軽くなく、どれだけ戦闘を継続できるかは、正直なところダイゴには目算が立たなかった。それでも、彼は努めて戦いを長引かせるために、籠城戦を最終的には選択するつもりだった。
夜が明け、いずれかの陣営に勝利が訪れ、反対側には敗北が訪れると思われる日が始まろうとしていた。朝食は、夜明け前に済ませた。太陽が地平線上に顔を出すと同時に、戦いは始まった。
擲弾の投擲、次いで猛烈な銃火が放たれた。イスハニア軍は中央の突破口に戦力の大半を集中させており、ここに勝負を賭けていると思われた。
――あれを使う時が来るか。
ダイゴは、夜中の内に、いざという時の切り札を動かしていた。上手くいくとは限らない。効果は未知数である。しかし、最後には頼らざるを得ない手段だった。
「卿を信頼して、この国の未来を託します」
リーセロットの書簡を取り出し、今一度目を通した。ここで負けるわけにはいかないのである。そのことを、ダイゴは嚙み締めた。
突撃、反撃、突撃、また反撃の応酬が、数時間続いた。イスハニア軍が掘削した塹壕からは、なおも兵が列をなして前に進んでいる状況が見えた。第二線陣地には、収容できない両軍の死体が入り乱れていた。




