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「弾薬は、本日の消費量を基準にいたしますと、あと五回は戦闘可能です」
後方幕僚の報告があった。計算してみると、目の前のイスハニア軍を壊滅させるだけの数字である。まずは安心材料となった。続く主計監の報告でも、糧秣は心配ない量を確保できているとのことだった。
――初日はしのぎ切った。
ダイゴは、痛快感と裏表の安堵の感情に浸っていた。できることなら、明日以降もイスハニア軍が同じ攻撃を繰り返してくれることが望ましい。もっと望ましいのは、攻撃を諦めて撤退してくれることだが、スピノラはどちらも選択しないだろう。メレヘンでの悪夢が、瞬間的に甦る。敵は、同じ手を繰り返すまい。そして、必ず攻撃を再開するだろう。どんな策で来るか? それがわかれば苦労しない。警戒態勢を維持させつつ、軍に休養を取るように命じてから、ダイゴは自室に戻り、アルテュールの持ってきた堅焼きパン《ビスケット》と焼いた干し鱈の昼食をとった。




