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 信長に範を取ったダイゴの軍制改革プランは、逐次仕上がっていった。

① 規律の確立

② 報酬支払方法の改善

③ 火力・機動力の強化

④ 砲兵・工兵の正規軍化

 これらの課題を解決するためには、従来の軍の在り方を一変させる必要がある。

 規律の確立のため、従来傭兵隊長が握っていた兵に対する裁判権を軍司令官の手に移す。そして、前線で法廷を開き、兵の犯罪は全軍で統一した軍法によって処断する。そのために、全国議会で軍法を法律として制定しなければならない。裁判に先立って、兵の非違行為を検挙する憲兵も制度化し、充実する必要がある。

 だが、軍法で締め上げるだけでは、問題は解決しない。規律を維持するためには、飴も必要である。そのためには、給料を遅配なく兵に渡さねばならない。

 ◇◇

 事務作業で何日か費やした時に、ふと考えた。そういえば、まだダイゴはネイザーラントに来て、首都とその近郊しか見知っていなかった。少しは、別の土地に足を向けるべきではないかと思ったのである。

 その考えを打ち明けると、アウグストは快諾を与えた。

「戦い方を考えるのに、地理を知らないのでは話にならないな。よかろう。貴公に一ケ月与えよう。資料部の将校を道案内に付けてやる」

 そう言われて、長官執務室から下がったダイゴに、時間を置かず軍事内局資料部の将校が訪れた。

「デ・レーケと申します。資料部地図課で測量官を務めております」

 ダイゴの部屋で、彼と同じくらいの背の高さの茶色い髪の若者が挨拶した。ネイザーラントでは、低身長に属する。

 テーブルをはさんで座ると、デ・レーケは机の上にネイザーラントの全体地図を広げた。

「補佐官どの、現在のネイザーラントは九つの州からなり、概ね東西方向に数流の大河が存在します。本来の九州の内、南部のノルトブラバンド、リンブルグの二州は、現在イスハニア軍が一部ないし大部分を占領しております。このような事情で、足を伸ばすとしたら、まずは戦場に近い南部のホーラント、ユートレヒト、ヘンダーラントの三州といったところにされるべきでしょう」

 資料部は、主として国土を測量し地図を作成する部署である。加えて、情報活動や軍事に関係する道路や橋梁の整備・管理も担っている。

「この度の旅行では、馬と同時に河川や運河を船で渡ることも多いと存じます」

 ここまで聞いて、

 ――うへえ、船か。

 と、ダイゴは内心、へこんだ。彼は船酔いする体質であり、船旅はできれば遠慮したかったが、ネイザーラントの地理的条件では、許されそうになかった。

 デ・レーケは貴族の子弟ではなく、父親は運河や堤防の建設に従事する技術者だという。だから足腰が軽く、遠出も気にならないという。軍事内局の職員としては、少数派に属する平民階級の出身であるとのことだった。

「父に着いて、幼い頃より建設工事の現場を転々とするうちに、私は地理に興味を抱くようになりまして、ライテン大学の博物学部に入りました。そこで測量学を学び……」

 と、デ・レーケは測量官になったいきさつを語った。元は親方に丁稚奉公した叩き上げの身でありながら、優秀な土木技師である彼の父親は収入もかなり豊かで、貴族や地主、レヘントでないにも関わらず、息子を大学に入れるだけの資力があったというのである。

「では、旅行計画の細部は、私の方で立てさせていただきます。今週中には仕上げるつもりですので、完成したら、補佐官どのに提出いたします」

 と言って、デ・レーケはダイゴの部屋を辞した。

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