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完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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その時陽菜は

「もー、二人とも知らない間に勝手に何していたのよ~! それで怪我はないの、大丈夫なの?」


木ノ花先生の髪は乱れており、慌てて駆けつけてくれたのが伝わってきた。


「もう、本当にびっくりしたよぉ。突然物凄い雷鳴が聞こえてきて、陽菜、飛び起きたよ。絶対に何か起きているって思って、木ノ花先生を叩き起こしたら、先生は雷鳴なんて聞いてない、って言うし。でも木ノ花先生の端末に、『長清神社で強力な神の権能を検知、至急報告せよ』って来ていて、そこからはもう大変だったんだから!」


陽菜の髪は左側に束ねられており、こんな状況でも身だしなみに気を遣う、ティーンエージャーらしい姿だった。


それにしても二人は狭霧の変化をなんとも思わないのか?


立ち止まった俺たちを見て、芽衣さんが木ノ花先生に声をかけた。


「宮司より、布団を運ぶ手伝いを、天野さんと黒雷さんは頼まれています。お話は歩きながらでもよろしいですか?」


「そうだったのですね。失礼しました。私たちも手伝いますね」


「ありがとうございます」


木ノ花先生と芽衣さん、俺たち三人はそれぞれ並んで歩きながら、宿泊棟へ向かった。


気が付けば夜は明けていたようだ。


雨降ろしは続いているので、空に太陽はないが、夜の暗さは消えていた。


「木ノ花先生と陽菜も大変だったみたいだけど、何があったんだい?」


陽菜は聞きたいことが沢山あるが、自分たちのことも話したそうにしていたのを察知した狭霧が、陽菜に話すよう促した。


「この神社で何か起きている、ってなって、狭霧と蓮に連絡しようと思ったけど、まだ五時になったばかり。端末への連絡はできないから、陽菜が部屋を見に行ったの。そうしたら狭霧も蓮もいなし。それどころか他に三人、空の布団があるし……。どうしちゃったの⁉って思いながら、社務所へ向かったの。木ノ花先生と社務所で合流することになっていたから」


陽菜はそこで一呼吸して話を再開した。


「そしたら社務所には当直の職員の人が一人しかいなくて、そこに金山統括庁や防衛本部から連絡ががんがん来てて、木ノ花先生はそれを手伝っていたの。とにかく寝ている神職や職員を呼ぼうってなって、陽菜が名簿を見ながら連絡して。そこで少し落ち着いたから、職員の人に話を聞いたら、友達が寝ている間に消えたから探しているっていう黒影の新入隊員が来て、もう一人の職員、前歩いている人だよね? すごい綺麗……あ、それでその巫女さんと一緒に友達を探しに、授与所と拝殿に行ったと教えてもらったの。それで急いで授与所と拝殿を見に行ったけど、二人の姿はなくて。何度も端末に連絡いれたけど、つながらないし」


「……もしかしたら本殿の中では端末が使えないのかもしれない。神聖な場所だし、神事を行う場所だしね」


狭霧の言葉に陽菜は「なるほど……」と頷いた。


「ちなみに前を歩く巫女さんの名前は小笠原芽衣さん。じっちゃまこと陰陽頭のお孫さん。あと当然と言えば当然だけど、職務上、黒い影のことや影の血のことも知っていた」


俺がそう告げると陽菜は「えっ、そうなんだ! っていうか、全然似てない!」と派手に驚き、狭霧も驚いた様子で芽衣さんの後ろ姿を眺めた。


「それでね、一旦社務所に戻ったら、続々と神職と職員の人が集まってきていたの」


ひとしきり驚いた後、陽菜は再び話し出した。


「狭霧と蓮が見つからないから木ノ花先生が防衛本部に連絡をとったの。そうしたらじっちゃまから『長清神社の本殿に武装した黒影三名の派遣を求む、至急』っていう要請が入っていたことを知ったの。それで、狭霧と蓮はそこにいるんじゃないかってなって、慌てて本殿へ駆けつけたんだよ。神職や職員の人もじっちゃまが本殿にいるとなって大挙して押し寄せた感じ」


「そうだったのか……。僕がふらふらといなくなったことで、みんなに迷惑をかけちゃったね」


「……狭霧と蓮、本殿で何があったの? 本殿って神域で簡単に立ち入れることができる場所じゃないよね。二人とも以前と香りが変わっているし……。特に狭霧、別人みたいだよ」


その言葉で俺はもしやと思い、陽菜に尋ねた。


「陽菜、狭霧の髪の色や瞳の色が変わっていること、気づかない?」


「えっ……」


陽菜は歩きながら狭霧の前に回り込み、その顔をじっと眺めた。


「変わっていないと思う」


そうか。俺はてっきりすべての人に狭霧の変化が見えると思ったが、そうではないのか。神の力で神視覚が発現していないとこの変化は見えないんだな。ということは狭霧を見て驚いていた芽衣さんは、神視覚が発現していることは間違いなさそうだ。


俺は陽菜に狭霧の容姿が変化していることを教えてあげた。ついでに本殿で俺と狭霧は自力で神降ろしをしたことも。


「えええええええ、どーゆうこと⁉」


この衝撃情報に陽菜が目を丸くしたところで、宿泊棟の一階に着いた。


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

次回更新は明日の朝7時に3話、夜21時に4話となります。

更新タイトルは「確認」です。

ぜひまた読みに来てください!

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