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黒影第一部隊頭領

ああ、思い出した。これはまさに忍者装束一式では?

軽そうだし、動きやすそうだけど、まさかこれで現場に出るのか⁉


狭霧に聞きに行こうと思ったが、十一時十分に一階の玄関ホールに集合となっていたことを思い出し、俺はひとまず普段着に着替えた。


すると机に置かれた端末が振動した。


使い方は一般的な端末と同じだったので、俺は通話ボタンを押した。


「ねぇ、蓮、隊服見た⁉ 私、くノ一になれる!」


やっぱりあれは忍者装束か。


「俺も見てびっくりした。動きやすいからかな?」


「多分そうだと思う。これ、いろいろアレンジしていいのかな。せっかくだからオシャレに着こなしたいなぁ」


陽菜はすっかりコスプレ気分だ。


「ところで陽菜、どうして俺の番号がわかったんだ?」


「あ、通話帳を見たら、部屋番号がそのまま端末番号になっているっぽかったから、かけてみたの」


「なるほどね、と、そろそろ集合の時間だ」


「だね。じゃ、後程」


通話を切ると俺は端末をブレザーの内ポケットにしまい、部屋を出た。



木ノ花先生に案内され、食堂に着くと、美味しそうな香りが漂っていた。


「京都から食材を調達するのも大変だからって、食堂の裏に畑と家畜小屋を作ったのよ。黒影の隊員の中にも公休の日に手伝っている人もいるそうよ。なんでも畑仕事はいい汗をかけるから、ってね」


この言葉を聞いて、改めて自分がどこにいるのかに気づかされる。

ここは京都とは違う。一連の災害後、手つかずで残された東京なのだ。


「そうだ。私、説明し忘れていた。食券の購入には端末が必要なのよ」


「俺、持ってきています」

「もちろん陽菜も持っています」

「端末ってこれのことですよね」


「みんな、えらい。そうしたらこの食券機から食べたいものを選んで、端末をここにかざして。基本的に朝と夜は支給で、お昼だけ食べた分をお給料から天引きって扱いになるから。あと食堂は二十四時間あいているわ。深夜とか変な時間帯はメニューが限られるけど。ティーメニューでケーキやワッフルもあるのよ」


「素敵~」


陽菜が大喜びをした。


全員食券を買うと、カウンターに向かった。


「あ!」


木ノ花先生の声に厨房にいた長身の男性が振り返った。


「ハナノコ!」


「天津くん、また厨房を手伝っているの⁉」


「手塩に掛け育てた野菜や鶏を、食べるなら美味しく調理してあげたいと思うのは当然の親心」


「気持ちは分からないでもないけど、公休の日も結局体を休めることできてないじゃない」


「みんな公休の日でもトレーニングをしている。一日休めば体を戻すのに三日かかる。日々精進あるのみ」


「……まぁ、確かに。あ、みんな、聞いて驚かないでね。こちらが黒影第一部隊頭領の天津あまつ てるさんよ」


驚かないでと言われても、俺と陽菜は「えっ」と大声を挙げていた。


狭霧は俺と陽菜の声の方に驚いていた。


黒影の頭領が食堂の厨房にいるなんて想像すらできなかった。


だが確かに、体格はしっかりとしているし、腕や胸、太ももや足の筋肉は相当鍛えていることは見れば分かる。


きりっとした眉、大きな瞳に、健康的な白い歯。力強く頼もしさが感じられた。


そうか、この人が黒影最強の天津頭領……。


「今年の新入隊員か。京都からの長旅、お疲れ様。君たちが来るのを楽しみにしていたよ」


よく通る声でにっこり笑った姿はとても清々しかった。


「みんな、自己紹介」


木ノ花先生に促され、簡単に自己紹介すると、天津頭領は滅茶苦茶笑顔になり喜んでくれた。


「もっと話を聞きたいし、話したいが、今はやることがある。今晩の歓迎会でまた会おう」


ほんの二、三言、会話を交わしただけなのに、俺は天津頭領のことをすごく好きになっていた。


俺たちの目を真っすぐに見る眼差し、その迷いのなさに、この人は信頼できる、ついていきたいと思わせる何かがあった。


「なんか、天津頭領、頼れる兄貴って感じでいいよね」


陽菜が俺に耳打ちしたが、同感だった。


黒影の頭領は、隊員の中でもっとも優秀というだけでなく、人柄や性格も秀でた人が選ばれている。天津頭領が選ばれたのは納得だった。


そんな天津頭領との思いがけない対面を終え、俺たちはそれぞれの料理を注文し、受け取ると席についた。


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

コツコツ更新していくので、引き続きよろしくお願いします。


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