表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/245

リツコ先輩の戦闘スタイル

俺は声をあげそうになり、慌てて手で口を押えた。


狭霧も陽菜も目を大きく見開き、驚愕していた。


「みんな、落ち着いて。あれがリツコの武器なの。一面に血があるようにみえるけど、血の割合はほんのわずか。リツコは水のエレメント使い。自身の血を水に混ぜてまき散らしただけよ。リツコは神降ろしを一度した時から、体が変化したの。分かりやすく例えるなら、体を巡る血液が聖水と同じ力を持つようになった。それ以降リツコは自分の希望で、この『血の結界』で戦うの」


木ノ花先生は早口で事の次第を教えてくれたが、俺は驚きで言葉がでなかった。


……リツコ先輩が医務室によくいるのはもしやこの戦闘スタイルと変化した体のせいなのか⁉


俺がそんな風に思っていると、リツコ先輩が木ノ花先生を見た。


「さすがに町には小笠原のおじいちゃんの結界があっちこっちにあるから、そう簡単にここまでくることはできないみたい……」


「おっと」


リツコ先輩が鳥居からさらに上空へジャンプした。


すると鳥居と同じぐらいの大きさの黒い蛇が現れた。


いや、あれは黒い影だ。


胴体には沢山の傷があるようで、そこから白い蒸気が立ち上り、動く度に黒いタールのようなものが滴り落ちた。落ちた黒いタールは玉砂利のリツコ先輩の血の結界に触れ、一瞬で蒸発した。


蛇型の黒い影は、周囲を伺うようにし、俺たちを発見すると、目的は俺たちとばかりに、一目散に鳥居に向かってきた。


「おーい、私のこと、無視、す・る・な!」


リツコ先輩の手から血の銃弾が放たれ、蛇型の黒い影の全身を直撃した。


攻撃を受けた部分から黒いタールが一斉に滴り落ちた。そして血の結界に触れ、勢いよく蒸発し、辺り一面は蒸気に包まれた。


まるでドライアイスのスモークの中にいるようだった。


そして蛇型の黒い影は、ガラスを爪で引っ掻くような嫌な鳴き声を発した。


さらにリツコ先輩が攻撃すると、その巨体が玉砂利の上に落下、今度はおぞましい悲鳴のような声をあげ、のたうちまわった。


リツコ先輩はさらに攻撃を続けた。


蒸気と飛び散る黒いタール、赤く染まった玉砂利。


地獄絵図だった。


「何も見えないけど、すごく臭い」と陽菜。


「なんか俺も匂いをうっすら感じる」と俺。


「僕も匂いが……臭い。木ノ花先生、この硫黄みたいな匂いはなんなのですか?」と狭霧。


「黒い影がリツコの血の混ざった水に触れると、体が溶けるのよ。白い蒸気とものすごい匂いがするらしいわ。……私は神の力がないから見えないし、匂いもわからないのだけど。というかそもそも今、黒い影の姿、見えていないからね、私。ついでに拝殿に逃げている人たちも。動物園の虎が逃げてこっちに向かっているから拝殿に逃げて、って言ったから」



そうか。神の力を持たない木ノ花先生や他の参拝客には何も見えていないんだ。


だが俺の目には、蒸気が立ち込め、黒いタールが玉砂利の上でぐつぐつ沸騰する泡のようにはじけて消える様子が見えていた。


そして崩れつつある蛇型の黒い影も。


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

リツコ先輩しかできない戦闘方法。

引き続きお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ