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完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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町で課外授業

「本来施設内で授業をしているはずだけど、町で課外授業ということで、みんなの外出届は出しておいたから。シートベルト、つけたわよね。では出発」


町までは木ノ花先生が運転するバンで行くことになった。


座席は狭霧と俺、陽菜とリツコ先輩という形で落ち着いた。


リツコ先輩は放っておくとすぐ狭霧の方にフラフラ行ってしまうのだが、天の羽衣とエレメント使いへの興味が高まった陽菜がリツコ先輩を離さなかった。


陽菜の質問攻めでリツコ先輩は狭霧にちょっかいを出せないでいた。


しかも木ノ花先生が「リツコ、先輩なんだから、後輩の質問にはちゃんと答えてあげてよ」と釘をさしていたので、陽菜の質問攻めにリツコ先輩は耐えていた。


こうして車は順調に町へ向けて飛ばしていた。


「あ」


狭霧が小さくつぶやいた。


狭霧は窓の外を見ていて、その先には……。


休憩所があった。


今日は休憩所に寄ることもなく、そのまま一直線、町へ向かった。


町へ着くまでの道中、何か起きないか心のどこかで心配していたが、何事もなく町に到着した。


木ノ花先生は防衛統括本部専用の駐車場に車を止めると、「陰陽頭が管理する長清神社にまずは行ってみましょうか」と言った。


駐車場は町の入口にあったが、長清神社は町の端の方にあった。そのため神社へ行くまでの間、町の中を通るのだが……。


初めて来たのでその発展ぶりに驚いてしまった。金山統括庁に行った時に町は通っていたのだが、あの時は窃盗団の襲撃を受けたと思っていたので、周囲の景色をじっくり見る余裕はなかった。でも今は違う。じっくり町の様子を見ることができた。


レンガ造りの町と聞いていたので、レトロなイメージを持っていたけど、町中にはいたるところにスクリーンモニターが表示されているし、洋装の人も多い。


有名な海外ブランドのお店も数件見かけたし、大通りの広場には巨大な噴水もあり、定期的にプロジェクションマッピングで映像も流れていた。


アイスやクレープ、バーガーなどのファストフードを扱うお店の向かいには市場のように新鮮な野菜や果物を販売するお店もある。


平日の夕方に近い時間だが、子供から大人、老人まで沢山の人がいた。活気があった。


初めてじっくり見る町の様子に俺は驚きでいっぱいだったが、隣を歩く狭霧も同じようで、頬が高揚してほんのり赤くなっていた。


「ねぇ、ひなっち、お願い。ちょっとだけ狭霧くんのところに……」


「あ! リツコ先輩、あれ、あれを見てください! この前来た時は気づかなかった~! あれ、人形焼きと雷おこしのお店ですよね。昔の東京の名物ですよね?」


「う、うん……そうね」


陽菜の質問攻撃は、町についてからさらにヒートアップしたようで、さすがのリツコ先輩もたじたじのようだった。


「どうじゃこの町は。よく栄えているじゃろう」


「はい。想像以上でした。京都の町は……高齢者ばかりで、子供もほとんどいないですし、十代や二十代もわずかでしたから」


「この町は金山の採掘のために、働き盛りの男性が沢山集められた。同時に町づくりも進められ、町ができるとお店で働くための女性が沢山やってきた。そして彼らが自由恋愛の末に結婚し、子供を産み、育てている。かつての日本の当たり前がここにあるのじゃ」


「そうなんですね……」


……。


俺、今、誰と話している⁉


俺は左を見た。


誰もいない。


右側にいる狭霧を見ると、狭霧は町営博物館の建物を見つけ、興味をひかれているようだった。


俺はもう一度、左を見た。


……。寝ぼけていたのかな。



この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

次回更新は明日の朝7時に3話、夜の21時に4話です。

次の更新タイトルは「長清神社」です。

ぜひまた読みにいらしてください。

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