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完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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ブルーベリーを食べたり?

狭霧が尋ねると、木ノ花先生は端末をしまい


「黄泉の国の食べ物を食べてしまうと、黄泉の国に囚われ、もう戻れなくなってしまう。黄泉の国の食べ物、と言っても、見た目は私たちが口にしているものとなんら変わりはないそうなの。でも神味覚が発現している人は、その食べ物を口にした瞬間に、それが黄泉の国の食べ物って感じ取れる、というわけ」


「え、でも口の中に入れちゃったらアウトじゃないんですか~?」


陽菜の指摘に木ノ花先生も頷いた。


「そう思うわよね。でもそこはセーフみたい。口に含んで『これは黄泉の国の食べ物だぞ』ってなったら、ぺって吐き出して口を水ですすげばいいみたい」


「なんだか毒見に近いですね。失敗した人、いないんですかね……」


さすがの狭霧もあきれ気味だ。


「どうなのかなー。陰陽頭に会う機会があったら聞いてみるといいわ。とってもいいおじいちゃんよ」


「俺たち、陰陽頭に会う機会とかあるんですか?」


「熱田大臣が就任してから、陰陽頭、かなり自由に動けるようになったの。だから町をふらふらしていたら、会えるかもよ。間違いなく、陰陽頭の方から、みんなを見つけて声をかけると思うわ。そーゆう気さくな人だから」


「へぇー」


思わず三人の声が揃った。


「あ、陰陽頭って、黒影に入隊していないけど、もちろん神の力はすべて発現していて、そのどれもが強力。それでいて陰陽師としての力もあるから、式神を使ったり、結界をはったり、祈祷や祓いとか、ともかくオールマイティでなんでもできるから、引っ張りだこで。しかも何かあったらいけないって、大臣ど同等の警護もつけられちゃったの。本人は、自分を襲うとしたらそれはこの世ならざる者。こんなに警護をつけても意味ないって言うんだけど、がちがちに固められちゃってたの、これまでは。でも熱田大臣になってからは、式神を一体、大臣のそばにおいて、何かあれば式神経由で駆けつけるからって約束で気ままに過ごしているそうよ。護衛も一応形ばかりで何人かつけているみたいだけど、いつも巻かれちゃうみたい」


なんとなく俺たちとは少し上ぐらいの人を想像していたが、陰陽頭は結構高齢で、そしてやんちゃな人のようだ。


「あの、話を少し戻してしまうのですが、神の力は具体的にどんな訓練で発現するんですか?」


「神の力の発現に重要なのは、集中力よ、天野くん。運動をしている時って、余計なことを考えないでしょ。平均台の上でバランスとっている時に『今晩カレー食べたいな』とか思わないし、プールで一生懸命泳いでいる時に『漫画の続き読みたいな』なんて思わない。運動を真剣にやることで集中力を養いしつつ、黒影としての任務に必要な体力や運動神経を鍛える。その結果、神の力の発現につながる、って感じね」


「神視覚を鍛えるために、遠くを見たり、ブルーベリーを食べたり、とかじゃないのか」


「蓮、さすがにそれはないよね。それで木ノ花先生、集中力を鍛えさえすれば、神の力は発現するのですか?」


狭霧の問いに木ノ花先生は首を振った。


「集中力も必要だけど、心を無にする、空っぽにできることも重要なの」


「ああ、だからヨガなんですね~。瞑想~」


陽菜がヨガで覚えたポーズをした。


「そうよ、陽菜。集中力と心を無にする力、この二つが神の力の発現では重要なキーワードになるの」


「でもね~」と木ノ花先生は話を続けた。


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

次の更新は本日の夜21時に4話公開です。

更新タイトルは「ノンストップで三時間」です。

ぜひまた読みに来てください!

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