表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/245

童顔セクシー美女

廊下の暗がりから明るい玄関ホールに姿を現したその女性の姿に、俺は心臓が飛び出しそうになった。


点滴を打っていて、左腕で点滴スタンドを持ち、頭に包帯を巻いている様子は怪我人そのもの。


だが、着ている服が、男性用の大きめの白いシャツで、胸元のボタンはかなり開いている。


豊かな谷間が丸見えだった。


しかもシャツの下の下着が明るい陽射しで透けて見えている。


さらにスカートやズボンといったものをはいていない。


俺は目のやり場に困り、隣の狭霧を見た。


すると狭霧は丁度立ち上がった瞬間で、着物の上に羽織っていたマントを脱いでいた。そしてそのまま女性のそばに行くと、そのマントをふわりと肩からかけてあげたのだ。


「わぁ~、今年の新人隊員は優しいねぇ~」


俺はようやく女性を直視できるようになり、今度はその顔とさっき見た谷間とのギャップに驚いてしまった。


いわゆるセクシーすぎる谷間に対し、顔はものすごい童顔。


でもとても可愛らしい顔で、声ともマッチしていた。


この顔でまさかのあのボリューム。というか、これだけのインパクトとギャップに動じることなく、スマートに動けた狭霧が奇跡に思えた。


「ねぇ、君、ものすごいイケメンだよね、イケメンくんだよね。わぁ~、嬉しいなぁ。こんなイケメンくんが後輩で入ってくるなんて。で、名前は? 名前は何て言うの?」


そういうと右腕を狭霧の腕に絡めた。


必然的に狭霧の腕は彼女の胸に押し当てられているわけだが、狭霧の表情は全く変わらなかった。


「黒影の方なんですね。はじめまして、僕は天野狭霧と言います」


冷静だ。


「えー、狭霧くんっていうの。名前もカッコいいね~」


陽菜はものおじしない感じだが、こちらの先輩はそれとは違い空気を読まないで突き進む感じだった。


「狭霧くん、私はね、瀬織せお 津子りつこだよ。みんなからはリツコって呼ばれ……」


「リッコォォォォォ!」


今度は力強い女性の声がして、俺は飛び上がりそうになった。


カツカツという音と共に、袴姿に白衣を羽織った女性がホールにやってきた。


首には聴診器がかかっており、明らかに女医さんだった。


「トイレが終わったらすぐ病室に戻らないとダメでしょ。どこで油を売っていると思ったら、こんなところで何しているの?」


そのままリツコ先輩のところに歩み寄ると、ワイシャツの襟をぐいっとひっぱり、狭霧から引き離した。


「新入隊員よね、二人とも。この子が変に絡んでごめんなさいね」


そう言うと女医さんは「えー、まだ狭霧くんと話したい~」とだだをこねるリツコ先輩を引きずり、廊下を戻って行ってしまった。


「あ、狭霧、マントは?」


「あ、うん。ここでは隊服もあるだろうし、いつか返してもらえれば……」


俺は絶対、リツコ先輩はマントを返さずに部屋に飾りそうな気がした。


「お待たせー。二人とも三階まで来て」


木ノ花先生の声がホールに響いた。


「はーい」


俺と狭霧は三階へ向かった。



寮生活と聞いていたので、てっきり相部屋かと思ったが、ものすごく広いというわけではないが、一人で過ごすには十分なスペースの個室に案内された。


狭霧は俺の向かいの部屋だった。


四階は教官や職員の部屋で、三階以降が黒影隊員の部屋だった。


黒影は発足時の第一期から俺たちで第十三期目だった。年次が古い先輩から下の階に住んでいるという。


さっきのリツコ先輩は何期生だろう?


顔と体のどちらで年齢を推定すればいいかわからず、俺は推理することを止め、ひとまずベッドで大の字になってみた。


窓からはうららかな春の日差しが降り注いでいた。


東京は一連の災害以降、天候が不安定と聞いていたが、今日は穏やかに晴れていた。


そして鳥のさえずりも聞こえてきて、とても心地よかった。


このまま眠ってしまいそうだったので俺は慌てて起きると、備え付けの洗面所で顔を洗った。


さっぱりしたら目も覚めた。


俺は部屋に届いていた段ボールを開封し、荷物を整理することにした。


クローゼット、棚、勉強机など一通り揃っているので、出した荷物は手早くそこに収めていけばよかった。元々あまり荷物がなかったので、片づけは思いのほか早く終わった。


そうだ、着替えるように言われていたっけ。


俺はクローゼットにあらかじめ用意されていた服を取り出した。


一つは青色上下のジャージだった。これは訓練の時に使うと言われた。


二つ目は濃いベージュのブレザー、白シャツ、ネクタイ、ブレザーと同色のズボンという洋装だった。これがここでの普段着だ。

学生服みたいだな。


一連の災害以降、衣料品も不足し、その結果、原点回帰で着物や袴が普段着として採用されるようになった。だから俺たちは学生時代、学ランやブレザーとは無縁で、着物に袴だったし、今着ている服もそうだ。だから普段着のこの洋装は何気に嬉しかった。


そしてもう一つは……。


もう一つは現場に出る時の隊服なので、俺は自衛隊が来ているような制服を想像していたが、まったく違った。


これは……。


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

初めての投稿でガチガチに緊張して作業しました。

不慣れなため至らないところがあるかもしれません。

どうか温かく見守っていただけると幸いです。

引き続きよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ