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完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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陽菜の報告

「分からないってどーゆうことって、追及したのね。そしたら、歓迎会の時、天津頭領に連れ出されて話したことを、春秋先輩は阿曇先輩に聞かせたらしいの。こんな風に言われたけど、どう思うって。それがね、『君は黒影の頭領のことをどう思っているんだい? 信頼できない、仲間とは思えない、ついていきたいと思えないやつと思っているのかい?』って。春秋先輩は『そんなことありません。尊敬しているし、信頼しています』って答えたの。そうしたら天津頭領は『ではその頭領である僕が指揮した作戦に君が参加して、僕が死んで、君の友人も死んだら、その責任は僕にあると思うかい?』と聞いたの。そうしたら春秋先輩は『そんなことありません。最強と言われる黒影の頭領、天津頭領が死ぬような作戦であれば、それは最初から無理な作戦だったか、よっぽどの異常事態が発生したんだと思います』って答えた瞬間に気が付いたんだって。天津頭領が言わんとすることを」


陽菜はそこまで一気に話すと、一呼吸してから話を再開した。


「それで理屈ではそう分かっているけど、でもやっぱり納得できない、私はおかしいのかと、阿曇先輩に尋ねたんだって。阿曇先輩は正直正解が分からないし、どう答えると春秋先輩が納得するか分からなかった。そこで正直に自分はその立場にないから答えられない、って返事をしたのね。その返事を聞いた時、春秋先輩は特に怒ることもなく、『そうよね。ありがとう』とだけ言って、その後この話題が上ることはなかったって」


陽菜は自分の調査結果を報告できて満足気だった。


「うん。陽菜、ありがとう。春秋先輩も頭の中で僕の父を責めることを、そして僕を責めることは違っているって分かっていたんだと思う。でも怒りが収まらなくて、本人も悩んでいたのだろうね」


狭霧は陽菜の労をねぎらい、続けてこう言った。


「実は僕、春秋先輩と今日、話をする機会があったんだ。そこで誤解があったことが分かり、この問題は解決したんだ」


「本当! そうなんだ。良かった~」


陽菜はとても嬉しそうだった。


「それで陽菜、どうして僕が春秋先輩と話すことになったのか、とか、他を含めて、陽菜に聞いてもらいたいことがあるんだ」


こうして狭霧は俺に話したように、須虞那先生から第三次討伐作戦について詳しく聞いたことを明かし、陽菜もこの作戦について知りたいかと尋ねた。そしてそれを聞くことは命を危険にさらす可能性があることも明かし、それでも聞く覚悟があるか問うた。


陽菜の答えはもちろん「イエス」だった。


すると狭霧はあの録音データを陽菜の端末に転送した。


「これ、部屋で聞いてみるね。聞き終わったらちゃんと削除する」


こうして俺たちはそれぞれの部屋に戻った。


陽菜が録音データを聞き、「陽菜も熱田大臣に会いに行く!」と連絡が来たのは就寝時間ぎりぎりだった。


陽菜、きっと興奮してそうだな。ちゃんと眠れるといいのだが。


こうしていろいろな謎が解明した長い一日が終わった。


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

ちなみに陽菜は怖い話を聞いた時以外はすぐに熟睡できる寝つきがいいタイプです。

それでは引き続きお楽しみください。

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