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「天野くん、気が付いているのね」


「たまたまです。僕は任務についている黒影の隊服を知っていたので……」


「⁉」


俺と陽菜は顔を見合わせた。俺と陽菜の顔には「一体どういうこと⁉」って書いてある。


木ノ花先生は俺と陽菜を見ると、ため息をついた。


「さっき見せた集合写真は、確かに黒影の隊員よ。でも任務について現場に出る隊員とは違う。黒影には現場に出る隊員を支える黒子がいる。つまり、裏方の隊員よ。情報を分析したり、調べたり。各種乗り物の運転とかも彼らの仕事ね」


木ノ花先生はそこで言葉を切り、狭霧を見た。


「現場に出る黒影の隊員は、現状、第一部隊が十二名、第二部隊が十五名」


「えええ、そんなに少ないの⁉」


俺と陽菜の声がハモってしまった。


だが狭霧は落ち着いた様子で呟いた。


「非番や公休を考えると、窃盗団が来た時に対応しているのは八名程度……」


「その通りよ」


「え!」


さらに俺と陽菜の声がハモった。


「第一部隊も本来は十五名が適正人数。今の人数は最低ラインぎりぎりよ。諸事情あって今は十二名だけど、あなた達三人が正式任務に就けるまで成長してくれれば問題は解決よ」


「うっ…」


俺と陽菜は息のあったコンビのように同じ反応をした。


「前線の任務は誰でもできるわけじゃないから、人員の補充は簡単にできない。ではどうやってそんな少人数で現場を守っているのか? 気になるでしょうけど、それは私が説明するまでもなくすぐに分かるわ。というか、到着よ」


ジープがレンガ造りの建物の前で止まった。


「ここが寮で、隣のドーム状の建物が訓練施設。その横が図書室や娯楽室、食堂がある建物。そしてこっちのプレハブは倉庫。倉庫の裏手は駐車場になっていて、その駐車場から金剛お台場山につながる道路へ出られるわ」


木ノ花先生の説明を聞きながら、俺たちはジープを降りた。


「午後のオリエンテーションで実際にそれぞれの場所へ案内するわね。まずは寮へ入りましょう」


木ノ花先生が重厚そうなドアを「よいしょ」と引いた。


「さあ、入って。自分の部屋まで土足で大丈夫だから」


玄関ホールは天井が高く、正面の階段に設けられた大きな窓はいい塩梅で明り取りになっており、陽の光が降り注ぎ、気持ちのいい空間になっていた。


「向かって右が女子、左が男子の寮よ。エレベーターはこの階段下の裏側にあるけど、みんな鍛えるために階段を使っているわ。建物は四階建てだから階段でも問題はないはずよ」


確かに緊急招集された時にのんびりエレベーターに乗るわけにはいかないよな。


「一階の右手に私たち教官がつめる教務室、その隣が医務室。医務室っていっても広くて、病院みたいに手術室や病室もあるわ。で、この医務室へ向かう廊下をまっすぐ行くと、駐車場に出ることができるの」


できればお世話になりたくないのが医務室だろうな……。


「左手の手前の部屋はランドリールーム。隊服は基本職員が洗濯したものを届けてくれるから、私服を洗うためにある感じよ。その隣が大浴場。地震の副産物で温泉が出たのよね。それを引き込んでいるの。ジャグジーやサウナもあって健康ランドみたいでこの寮では名物とも言えるわね」


「え~。陽菜、温泉大好き♡」


「疲れもとれるわよ。じゃあ、陽菜を部屋に案内するから、男子諸君はここで待っていてね」


そう言うと木ノ花先生は陽菜を連れて階段を上って行った。


狭霧は玄関ドアの脇にあったベンチに腰掛けたので、俺も少し間をあけて腰を下ろした。


「階段と言い、玄関と言い、徹底的に体を鍛える作りになっているね。僕、力仕事向きじゃないから毎日筋肉痛になりそうだよ」


狭霧の隣に腰を下ろしたものの、何を話そうかと思案していた。狭霧から声をかけてもらえて俺は内心ホッとしていた。


「確かに体育会系な作りだな。俺は子供の頃からそこら辺を走り回っていて、机に座って勉強するより、体を動かす方が好きだった。だから重たいドアも階段を使うことも、全然問題ない。けど、そんな奴の方が少ない気がする。狭霧は物事を冷静に見て、そして適切な判断を下すことが得意そうだな。情報分析官とか、そーゆう頭を使う仕事が向いてそうだな」


「うん、僕もそう思う」


「あ~~~~」


突然明るいアニメのキャラクターのような声がしたかと思うと、医務室の廊下から女性が歩いてきた。

この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

初めての投稿でガチガチに緊張して作業しました。

不慣れなため至らないところがあるかもしれません。

どうか温かく見守っていただけると幸いです。


引き続きよろしくお願いします。

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