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完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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熱田尊が目にしたもの

時を同じくして、窃盗団の襲来回数がぐっと減った。


それまでは毎晩のように出没していたのに、三日に一回、一週間に一回と減り、山肌での露頭掘りは一切しなくなり、採掘場だけに現れるようになった。


採掘場の警備を強化した結果、窃盗団の襲撃そのものがなくなった。


ただ、金剛駿河山の方には窃盗団はこれまで通り現れていた。


そのため窃盗団が金輪際来ないという確証がなかったため、形ばかりとはいえ、金剛お台場山でも窃盗団に対する警戒は続けられていた。


黒影の隊員はその頃、二十名足らずで、第五期の入隊は十名だった。


七十名いた隊員が三十名まで減ったわけだが、窃盗団の警戒に割く人数も減っていたので問題はなかった。むしろ窃盗団の襲撃がゼロの日々が続く中、十名も入隊したことを須虞那先生は驚いていたという。


そんな折、体力テストや運動能力を試すテストが行われるようになり、特に優秀な結果を残した隊員は任務時間を減らされ、さらなる訓練が行われるようになった。そしてそのメンバーには、第五期で入隊した隊員の多くが選ばれたが、須虞那先生や狭霧の父親も選ばれていた。


訓練施設は当初からあったが、この選抜メンバーの訓練用に改装が行われ、現在のような形になった。そしてこの生まれ変わった訓練施設で訓練を主導したのが、熱田尊だった。


そして熱田尊の訓練を受ける中で、須虞那先生は自分がなぜこの訓練を受けるのかの理由を知った。


実は消息を絶つ隊員たちは、帰還命令が出た後も、記録用に映像を撮り続け、本部への送信を続けていた。そしてそこには、隊員たちが突然次々と不自然な動き、宙に浮いたり、見えないものに引っ張られたように飛び上がったり、投げ飛ばされる姿が映っていた。


そしてそうやって引っ張られたり、投げ飛ばされると同時に、その隊員の体がみるみる小さくなり、着ていた隊服の中にすっぽり隠れる赤ん坊ぐらいの大きさになり、さらにそのまま小さくなり、やがて衣類の動きはやみ、服がパタリと地面に落ちる様子が映されていたのだ。


熱田尊はその当時さまざまな業務を担当していて、偶然この映像をみることになった。


そしてその映像を見た熱田尊の目には、隊員たちが黒い人影のような者に襲われる様子が見えていた。体のどこか一部でもその黒い人影に触れられると、その黒い人影に吸収される様子が見えたのだという。


吸収するというのは、血肉をすするというようなものではなく、頭から順に足まで吸い込まれていくというものでもなかった。


人間の体を包むオーラのようなものが吸い込まれることで、大人の姿から子供の姿へ退行していき、最後のオーラを吸い込まれると、その体が綺麗に消えてしまうというものだった。


しかし、そのように見えるのは熱田尊だけだったので、当時の上層部はその話を信じようとしなかった。


だが。


採掘場の坑道の一つで行方不明者が出始めたのだ。


それはあの行方不明になった窃盗団や黒影の隊員と同じで、坑道には作業員の衣服や採掘の道具が散乱している状態だった。


すぐにその坑道での採掘は中止され、その坑道に近づかないことでそれ以上の行方不明者を出すことはなかったが、またいつ行方不明者がでるかわからなかった。


さらに現在その坑道だけで行方不明者が出ているが、別の坑道や新たに掘り始めている坑道で同じ事態が起きることも懸念された。


そこで上層部は熱田尊に映像をさらに分析し、そこに映る物がなんであるのか、また倒す方法があるのか、調べることを指示した。


熱田尊にそのような指示を出しつつも、上層部は一連の行方不明者はあくまで窃盗団の仕業という主張を変えることはなかった。


上層部の誰一人として熱田尊が目にしたものが見えず、政府への報告、国民への発表で、犯人は目に見えない化け物、とするわけにはいかなかったからだ。


熱田尊は上層部の指示を受け、京都から数名の僧侶や陰陽師を招き、映像に映る物の正体を掴もうとした。


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

果たして映像に映る謎の正体は明らかになるのでしょうか⁉

続きをお楽しみください。

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