花冠作り
陽菜と俺でチュニックを仕上げ、芽衣さんと狭霧で花冠を編み始めた。二人が摘んできた花はバケツ五個分あった。もし長さが足りなかったらチュニックに使わなかった布や装飾品でなんとかする予定だった。
「出来た……!」
陽菜の言葉に狭霧と芽衣さんが手を止め、拍手を送った。
「私たちも花冠作り、手伝うね」
陽菜はチュニックを俺と一緒に畳むと、花冠作りに取り掛かった。
とはいえ、花冠を作るのなんて久しぶりなので、作り方を完全に忘れていた。陽菜も同じようで、芽衣さんに編み方を教えてもらい、たどたどしい手つきでのスタートとなった。
「あの……」
声の方を見ると、安藤教官がいた。
そうだ、刀を見せてくれることになっていたんだ!
京都に行っていた安藤教官は、俺たちが何かを作っているらしいという噂そのものを知らないようだった。
「なんだか立て込んでいるようですね。刀は陰陽頭に預けて清めてもらうので、お見せするのは今度にしましょう」
俺たちの様子を見て安藤教官が提案をしてくれた。
「すみません。それでお願いします」
俺が答えると安藤教官は頷いて、立ち去り、また戻ってきた。
「花冠を作っているんですよね? 実は姉が二人いまして、花冠作れるんですよ、僕。社務所に刀を預けたらお手伝いしましょうか?」
「安藤教官、ありがとうございます! ぜひお願いします‼」
陽菜の言葉に安藤教官は頷くと、「すぐに戻ります」と言って、社務所へ向かった。
「ごめん、寝坊してしまった。まだ手伝えることはあるか?」
安藤教官と入れ替わりで来てくれたのは佐保先輩だった。今日は公休日とのことだった。
「春秋先輩、チュニックは終わりました‼ ありがとうございます! 今はみんなで花冠を作っています。ぜひぜひお手伝いお願いします!」
陽菜の言葉に佐保先輩は「了解」と言い、部屋の中に入ると、陽菜の隣に座り、早速花を何本か取り出した。
「芽衣さん、これ、足りないかもしれないと言っていたので摘んできました」
芽衣さんの同僚の巫女さんが、バケツ二個分の花を持ってきてくれた。
「ありがとうございます。助かります」
芽衣さんはお礼を言うと花束を受け取った。
「今日も頑張っているって聞いたよ。僕、今日夜間勤務だから、何か手伝おうか?」
だん先輩が差し入れを持って顔を出してくれた。
丁度そこに安藤教官も戻り、だん先輩は安藤教官に花冠の作り方を教わった。
その後はだん先輩の差し入れを食べる以外は皆、黙々と花冠作りに集中した。
無言の時間が何時間か過ぎたころ、巫女さんがドアに現れた。
「芽衣さん、あの、子供たちが花冠作りを手伝いたいって……」
子供たちは以前、一の鳥居で見かけた子だった。
巫女さんが仕事の合間をぬって追加で花を摘んで運んでいたところ、子供たちと遭遇した。子供たちから何をしているのかと聞かれ、巨大な花冠を作っていると説明すると、自分たちも手伝い!となったという。
陽菜は「もちろん、大歓迎です!」といい、芽衣さんと二人、自分の周りに子供を集めた。
「巨大な花冠は、みんなが作った花冠をつなげて一つにするんだよ~。だからみんな、よーい、どん、で作り始めて。ここにいるお姉さんがストップって言うまで作るんだよ。一番長く作れるのは誰かな~?」
子供たちと遊び慣れている芽衣さんが、うまく子供まとめ、花冠作りをスタートさせた。子供の集中力が長くは続かないことを踏まえた采配だった。
さらに当直の職員二名が早めに出勤し、花冠作りを手伝ってくれた。花冠を作るようには見えない中年の男性職員が、みんなが作った花冠を一つにつなげる作業をしてくれた。
集中力が切れた子供たちにはだん先輩がくれた差し入れのお菓子を食べさせ、芽衣さんと陽菜は花冠を作り続けた。
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まさかの安藤教官まで参戦です。
引き続きお楽しみください!




