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完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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その報告、聞こう

「金剛お台場山防衛本部の木ノ花葵より緊急通達


黒影第一部隊所属の四尊夜見が医務室勤務の須虞那紬医師を切りつけ、長清神社へ向け、逃走中。

現在、自転車に乗り、町の中を走行している可能性あり。

警察官及び警備員は添付写真の少年を見かけたら防衛本部もしくは近くの黒影隊員へ連絡をお願いします。

武器の所持は不明、可能な限り戦闘を避けてください。

黒影隊員はBプランでの確保をお願いします。

なお、一般市民が巻き込まれないよう、細心の注意を払うよう、お願いいたします。

 以上」


添付された写真は、医務室で最近撮影された夜見先輩の姿だった。


長髪の髪は肩までの短さになり、顔も肩幅もぐっと小さくなっていた。


警備の神職者にもこの通達が届いていたようで、端末をしまうとその人は拝殿の入口の扉へ俺たちを連れて行ってくれた。


扉を叩き、「緊急の連絡がございます」と、その神職者が声をかけるのと同時に、扉が開き、天津頭領と沫那美先輩が出てきた。


そしてストンと音がしたので振り返ると、俺たちの後ろにリツコ先輩がいた。


リツコ先輩はウィンクして拝殿の屋根を指さした。


拝殿の屋根で、俺たちの部屋とこの拝殿自体を警備していたようだ。


「天津頭領、木ノ花先生の緊急通達で、重要な追加情報があります」


狭霧が天津頭領に声をかけた。


「その報告、聞こう。美鶴、熱田大臣を頼む」


「分かりました」


するとそこに熱田大臣が現れた。


大臣は俺と狭霧を懐かしむような目で見た。


「……?」


「近いうちに話をしよう」


そう言うと俺と狭霧の肩に順番に手を置いた。


その手から伝わる暖かみ、重みは何かなつかしさを感じるものだった。


「大臣、こちらへ」沫那美先輩に促されると、熱田大臣は振り返ることなく、護衛のSPと共に授与所方面へ歩き出した。


「こっちで話を聞こうか」


天津頭領に言われ、俺と狭霧、リツコ先輩は拝殿の中へ入った。


入れ違いで拝殿を出た権宮司は、俺たちを案内してくれた神職者に何やら指示を出していた。


「それで、重要な追加情報とは?」


俺と狭霧は夜見先輩が神社を目指す目的がなんであるかを話した。


「なるほど。ということは本殿の警備を強化した方がいいな」


天津頭領は陽菜が春秋竜美であると聞いても驚く様子がなかった。


一方リツコ先輩は「嘘ぉ~」と驚きを隠せずにいた。


「あの、天津頭領は陽菜が本当は誰であるということを知っていたのですか?」


俺が思わず尋ねると、天津頭領は「ああ」と言い、


「さっきまでこの拝殿でその件を話していたんだよ。玉依陽菜の神探しが難航しているのは、彼女が春秋竜美であると明らかになかったからなんだ。今、彼女は自分と縁のある神と向き合い、そして自分自身と向き合い、葛藤している。そのことを陰陽頭が権宮司に伝えたんだ」


「神探しの最中なのにどうやって⁉」


「黒雷くん、それは陰陽頭だからできる離れ業だ。陰陽頭は祈祷をしつつ、自分の魂の半分を幽体離脱させ、権宮司の元へ行き、話をしたんだ。玉依くんのことを。でもこれは異例だ。離れ業だが滅多に使うものではない。だが今回は玉依くんの件以外でも、僕たちに早く話しておきたいことがあったから、この奥の手を使ったんだ」


「そうなんですね……」


「リツコ、君は本殿の警備を頼む。四尊は僕らの仲間だったが、今は違う。手を抜かずに、油断もせずに」


「はい、分かりました」


いつもと違い、真面目な顔で頷くと、リツコ先輩は拝殿を出て行った。


「あの……四尊先輩は須虞那先生を傷つけましたが、一人でここへ向かっているんですよね。町では警察官や警備員が警戒をして、黒影の隊員も目を光らせています」


「うむ。それなのにリツコを本殿に配備するなど、なぜ厳戒態勢をとるのか、気になるんだね、天野くん」


「は、はい」


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

次の更新は本日の夜21時に4話公開します。

ぜひまた読みに来てください!

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