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完結●黒影  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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気になる……

食堂に行くと、いつもより人が少なかった。

そのせいか、芽衣さんも俺たちに夕食を出すと、片づけを始めていた。


「僕たちの護衛任務についているはずなのに、リツコ先輩がいないね」


「狭霧と夕食――普通ならリツコ先輩、喜んでこの場にいるはずだよな」


狭霧は一旦夕食のトレーをテーブルに置くと、調理場の芽衣さんに声をかけた。


「芽衣さん、ひまり先輩は神社の警備に行ったんですよね? リツコ先輩の姿を見かけませんでしたか?」


「はい。ひまり先輩には別の者がお夕食のお弁当を届けに行きました。リツコ先輩は皆さんが寝ている間に夕食をとられて、その後は拝殿の方に行かれました」


「そうなんですね。リツコ先輩、僕らをおいて早弁か」


狭霧のふざけた調子に芽衣さんはクスクスと笑った。


「今日は人も少ないですし、芽衣さんも一緒に夕食どうですか? もし誰か来たら僕らが手伝いますよ」


「……そう、ですね。じゃあ、ご一緒します」


こうして俺たちは芽衣さんと三人で晩御飯を食べ始めた。


狭霧はここで俺たちの呼び方を苗字ではなく、下の名前で呼ぶことを芽衣さんに提案した。


確かに俺たちはすでに芽衣さんと下の名前で呼んでいるので、芽衣さんもこの提案を快諾した。


こうしてしばらくは他愛のない話、トレーニングに安藤教官が突然現れ、リツコ先輩がたじたじになったことなどを話した。そして遂に狭霧が切り出した。


「陽菜がまだ戻らなくて、僕も蓮もとっても心配しているんですよ」


狭霧の言葉に芽衣さんはお味噌汁の入ったお椀を置き、「ああ、それは」と言ってほほ笑んだ。


「大丈夫ですよ。神探しは時間がかかる人は二十四時間かかります。狭霧さんも蓮さんもあっさり縁のある神が見つかりましたが、多くの方は時間がかかっているので、安心してください」


「そうですか……」


「拝殿の様子、気になっています?」


芽衣さんがいきなり確信をつく質問をしてきたので、俺は里芋の煮物を転がしてしまった。


蓮は落ち着き払っているのに。


「蓮さん、分かりやすい」


芽衣さんがまた笑顔を見せた。


「正直、とても気になっています。陽菜が戻らないのと、拝殿に集まった人が何か関係があるのかな、って」


狭霧が直球勝負に出た。


「それは……私の過去の経験から判断すると、関係ないのではないかと思います。黒影の皆さんにとって神探しは重大な神事ですが、金山統括庁からすると大臣が足を運ぶほどの重要事項ではない気がします」


「拝殿に大臣や黒影の頭領がこんな時間に集まって会合をすることは、よくあることなんですか?」


今度は俺が直球で勝負してみた。


「よくあるかと言われると……そんなに多くはないですが、珍しいわけではないですね。おじいちゃんは金山統括庁に行きたがらないので(笑)。熱田大臣がここ(神社)にやってくることは頻繁にあります」


そこで芽衣さんは声をひそめた。


「端末を使えばいいのに、あの二人は直接会って話すのが好きみたいです」


俺と狭霧は「へぇー」と頷いた。


「神探しが行われている時に、今日みたいに拝殿で会合をしたりすることは?」


今度は狭霧が聞いた。


「それはないですね。基本的に大臣も黒影の皆さんもおじいちゃんに会いに来るので。神探しの最中、おじいちゃんは本殿にこもっていて会うことはできないですから」


「では今日のこの会合は以前から予定されていたものなのですか?」


俺が尋ねると、芽衣さんは首を振った。


「今日の十五時過ぎに、突然、今日は拝殿で会合がはいるって、連絡がきました」


「急に決まった会合だったんですね……」


俺はそうつぶやくと狭霧を見た。狭霧も俺を見て頷いた。


神探しの最中でじっちゃまとは会えないのに急に行われる会合。


これは何かある……。

そして陽菜の神探しとも何か関係がありそうな気がする。

これは俺の直観で根拠はないが……。


「お二人とも会合の様子が気になるんですね」


芽衣さんの言葉に俺と狭霧は黙り込んだ。


だが俺は思い切って聞いてみた。


「芽衣さんは気にならないのですか? 神探しの最中のじっちゃま……陰陽頭には会えないとわかっているのに、会合が急に行われることを」


「……気になります。ですが会合中の拝殿には近づくことも忍び込むこともできません。……最近坑道の結界で誤作動が頻繁に起きているそうで、その件で会合が行われているのかもしれません」


「芽衣さんは誰かに聞いたのですか、会合で何が話し合われているのか、なぜ急に会合を開くことになったのかを」


「……いえ」


「では聞いてみませんか?」


狭霧の言葉に芽衣さんは驚いた表情を見せたが「……分かりました。まずは夕食を終えてしまいましょう。社務所の当直の方が間もなく勤務に入ります。いつもそれにあわせ夕食を届けているので、その時に聞いてみましょう」と提案してくれたので、俺たちは夕ご飯を食べることに集中した。


この投稿を見つけ、お読みいただき、ありがとうございます。

次回更新は明日の朝7時に3話、夜21時に4話公開します。

次の更新タイトルは「嫌な予感」です。

ぜひまた読みに来てください!

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