体力作り
沐浴を終え、昨日と同じように儀式用の装束に着替え終えたところで、芽衣さんが迎えに来てくれた。
「芽衣さん、昨日の餃子、とっても美味しかったです。神社周辺での体力作りのトレーニングはものすごく過酷でへとへとだったんですけど、あの餃子を食べて元気がでました。でも食べ過ぎて、夜はすぐに寝ちゃいましたが……。本当は、戦闘服のイメージを頭に叩き込まなきゃならなかったのに」
「餃子、美味しく食べていただけて良かったです。これからも美味しくて元気が出るお食事を用意するので、頑張ってくださいね。……神社の周囲は地震で地面が盛り上がった場所があり、まるで山ですよね。くねくねして起伏もあるので、キツイと思います。私も当直の時をのぞき、朝あのあたりを走っていますが、かなりいい運動になります」
「……え、芽衣さん、あそこ、走っているんですか?」
「はい。体力作りのために」
……。すごい。さすが黒影を目指していただけあるな……。
「あのでこぼこ道をほぼ毎日走るなんて、芽衣さんかなり体力ありますよね?」
「そんなことはないですよ。神探しの翌日に神降ろしをする方に比べたらまだまだです」
「え……?」
「神探し、人によってはすぐ見つかり、数時間で終わりますが、それでもものすごく消耗するんです。精神的にも肉体的にも。どうしてそうなるのかは、おじいちゃんは分かっているみたいですが、私にはさっぱりで……。ただ言えるのは、神探しが終わった後の黒影の皆さんはみんなお疲れモードだったな、と。ですから神探しを終え、神社の敷地で晩御飯まで体力作りのトレーニングをする蓮さんを見て、すごい!と感心しました。さらに翌日に神降ろしまでやってしまうなんて、さらにすごいと思いました」
……そういえば鹿島建御はがたいがよくて体力があると言っていたな。俺はがたいはそこまでよくないが、体力は変わらずあるのかな。でも……
「……でもそれなら狭霧もすごいですよね。神探しと神降ろしと神憑りを一晩で全部やったんですよ」
「ああ、それはもう別格ですね。歴史に名を残す偉業ではないでしょうか」
そんなことを話していると本殿へ到着した。
「頑張ってくださいね」
芽衣さんが扉を開け、俺は昨日と同じように中へ入った。
◇
「おう、来たか。蓮」
「おはようございます。よろしくお願いします」
「うむ。見るからに元気そうじゃ。昨日の疲れも一晩眠れば回復か。若いと便利でよいのう」
じっちゃまそう言って豪快に笑った。
「では昨日と同じ場所に座るのじゃ」
俺はすたすたと歩き、昨日と同じ場所に腰を下ろした。
「そうそう。ひまりから聞いたぞ。おぬし達の面白い分析。影の血が浸食した幽霊、悪霊の話」
「あ、そうなんですね」
「おかげで謎が解けた感じじゃ。ここ数日のうちに、皆にも情報を開示できるようになると思っている。なのでくれぐれも無茶はせずに、まずは黒影の隊員として一人前になることを目指すんじゃぞ」
「はい」
「では始める」
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いよいよ蓮の神降ろしが始まります。
引き続きお楽しみください。




